街頭演説集

第206回 天応義務教育学校の創立

呉市が天応地区に初の義務教育学校創立へ!

Facebook 2019.10.20

 去る10月7日は206回目の街頭演説。テーマは天応義務教育学校創立についてです。

 呉市は昨年7月の豪雨災害からの復興計画で、天応地区計画を地元代表者によるワークショップを踏まえて、9月26日の呉市議会豪雨災害復旧・復興対策特別委員会で発表しました。そのメイン施策は、裏山の土砂が崩落した天応中学校の復活を断念し、天応小学校を活用した義務教育学校を創立するというものです。
 被災後、天応中学校は海辺の天応小学校に仮移転し、小中が一緒のキャンパスでこれまで授業を行って来ました。同中学校跡の崩落した裏山は、現在国直轄で今年度末を目途に砂防堰堤を構築中で、全ての復旧が完成するのは後5年かかると言われています。
 そこでこの度の計画では、現在の天応小学校体育館を小中学生が使える仕様の若干広いアリーナと特別教室を備えた複合敵屋体に建て替え、1年生から9年生までの義務教育を一貫する学校を新設することになります。令和2年度に基本・実施設計を行い、3~4年度に建設工事、5年度から新施設を利用する見通しです。

 ここで「義務教育学校」というのは、平成28年度改正施行の学校教育法で設立が初めて認められたもので、現在呉市が実践している一体型小中一貫教育校と異なり、9年生までを一つの学校として校長が1名、副校長2名体制となるものです。
 呉市は文科省から研究費補助を受け、全国に先駆けて小中一貫教育を推進して来ました。その一体型小中一貫教育校としての第1号は、平成18年度開校の呉中央小学校と呉中央中学校です。これらは同一敷地内にあり、愛称は「呉中央学園」ではありますが、実際は小学校と中学校は別組織となっており、校長もそれぞれに赴任しています。
 その後、警固屋、広南、倉橋と各学園が創立されましたが、これらはいずれも校長や教頭が小学校と中学校にそれぞれ在籍しています。
 当初教育委員会は、法律が追いついていないので、「小中を別の学校とせざるを得ない」と答弁して来ましたが、法改正されてからも、義務教育学校に転換しようとしませんでした。このことを私が、2年前の9月定例会一般質問で追求しました。教育委員会は、義務教育学校への転換を拒否し、過去の答弁との矛盾を露呈したのです。
 その理由は、

  1. 校長が1名になるので、中学校校長会、小学校校長会にそれぞれ出席せねばならず、負担が大きい
  2. 小学校と中学校両方の教員免許者が不足

の2点です。しかしながら、

  1. 副校長が2名になるので、負担の抑制は可能
  2. 両方の教員免許取得まで暫定措置があるので、それまで研修を受け資格を取らせばよい

と、克服はその気になりさえすれば容易です。それより、

  1. 二人の頭がいることで、1年生から9年生を一貫して教育するための統率性が取れない
  2. 6年生で卒業式を挙行し、7年生で入学式を挙行するという二度手間が省ける

というメリットの方がお釣りが来る訳で、教育効果も大きいとみます。
 私はこれらを主張し続けて来ましたが、教育委員会は無視し続けました。それがこの度手のひらを返したように、私の主張を受け入れるような方針転換です。しかも地元要望は、これまでの一体型小中一貫教育校であって、これを受けて教育委員会が義務教育校を逆提案したというではありませんか。
 「既存の学園はどうするのか?」と私が特別委員会で畳みかけますと、「天応義務教育学校を実践しつつその効果を見極めた上で、有効とあれば他校にも展開して行く」との答弁が帰って来ました。私の主張を以前突っぱねた経緯があるため、おいそれと方針を変更するにはメンツに関わるため、災害復興という特殊事情に乗っかる格好で、義務教育学校への転換を図ろうとしている思惑が透けて見えます。

 一方、義務教育学校への転換は、通学区域の弾力的運用にも影響を及ぼすことが予想されます。といいますのも、落走小学校を平成27年度末で廃校して、吉浦小学校へ吸収統合した経緯があるのです。落走地区はJR天応駅が近くにあるように天応地区の方が近いため、学校選択制度を活用して、天応小学校・天応中学校を選択した児童生徒や保護者が少なからずおられます。つまり今後人気のある天応義務教育学校への入学を望む児童生徒が増えることになり、落走地区が真っ二つに割れるでしょう。
 はじめから落走小学校は天応小学校に統合すべきだったのです。呉市立小中学校統合基本方針はそのようになっていましたが、途中で地元を忖度して教育委員会が変更したのです。落走地区は昔の吉浦村であるし、現在も吉浦地区自治会連合会に所属しているので、地元コミュニティに整合性を合わせるべきというのがその理由です。
 この方針転換に唯一反対を表明したのが私でした。

  1. 天応小学校は将来小規模校に転落するのは時間の問題であり、その際、統合対象校がなくなる
  2. 天応へなら徒歩通学が可能だが、吉浦へは公共交通機関を利用し、通学補助対象となる

がその理由です。
 結局この度の天応義務教育学校創立により、私の危惧していたことがいよいよ表面化することになりそうです。初めから落走小学校を天応小学校に吸収統合させていれば、このような問題は生じなかったのです。
 しかも児童生徒に対しては、できるだけ徒歩通学を推奨するのも行政の務めですが、呉市は何と落走地区から天応小学校を選択した児童にもバス定期代を全額補助して来ており、教育理念が全く欠けていると言われても仕方ないでしょう。内規には「通学は原則徒歩」と記述されており、これにも矛盾しているのです。このことも義務教育学校創立に合わせて改善を図るべきです。

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