街頭演説集

第207回 生活バス化に係る補正予算

生活バス化と路線バス短絡化に係る補正予算はセットで!

Facebook 2019.10.21

 去る10月15日は207回目の街頭演説。テーマは、生活バス化に係る補正予算についてです。

 呉市は、去る10月1日から新たに7路線を広島電鉄による路線バスから、生活バスに転換し、実施しました。具体的には、

  1. 焼山熊野苗代線(苗代下条~呉駅前、神山峠~北原)
  2. 阿賀音戸の瀬戸線(見晴町~鍋桟橋)
  3. 阿賀音戸の瀬戸線(阿賀駅前~鍋桟橋)
  4. 呉倉橋島線(藤の脇~田原~鍋桟橋)、
  5. 仁方川尻線(小須磨~仁方駅南口)
  6. 仁方川尻線(中国労災病院~川尻小用入口)
  7. 広長浜線(中国労災病院~東小坪)

です。
 これらは先駆けて生活バス化した焼山循環線(北、中央、南コース)、音戸さざなみ線、白石白岳交叉点循環線、横路交叉点循環線の6路線と合わせて一括プロポーザルを行い、新たな複数の事業者が担うこととなりました。
 何故路線バスを生活バスに移管するかと申しますと、各路線の中でも一部の乗降客が極度に少ない部分は、空気を運ぶこととなり、経費的に非常に不効率だからです。そこでそれらの区間を路線から切り離し、これを短絡化と呼びますが、その部分を生活バスとして別の事業者に経営を任せることで、全体の経費を抑制し、呉市からの補助金を減額することに繋がる訳です。
 具体的には、呉市内を走る広電バスにおいて、今年度の呉市からの赤字補填額、即ち経営支援補助金予算は3億8千万円でした。ところが、実際は経常収支率が悪化の一途を辿り、今年度末における経営支援補助金は4億8,800万円に膨れ上がる見通しです。それを不採算部分である路線の一部区間を切り捨て短絡化することで7,500万円圧縮でき、4億1,300万円となります。
 短絡化した部分を生活バスに移管することで新たに発声する赤字補填額は4,900万円でよく、差し引き2,600万円を節約できる計算なのです。

 そこで呉市は、去る9月定例会に、生活バス化に係る補正予算を6,900万円計上しました。この内2千万円は、短絡化により新たに路線バスと生活バスの結節点としてのバス停を設置する等の初期投資分で、残り4,900万円が純粋なイニシャルコストにおける赤字補填額となります。
 ところが、広電バスへの経営支援補助金はこの度減額されなかったのです。理屈的には、生活バス化することのメリットを強調するためにも、生活バス赤字補填額は増額補正されたなら、路線バスへの赤字補填額は減額されなければなりません。即ち短絡化により経費圧縮分の7,500万円を減額するべきなのです。そうしなければ、年度末に新たに増額補正が再度組まれると予想していますが、きちっとした議論が議会においてできなくなるからです。逆に議会を煙に巻こうとしていると言われても仕方ないでしょう。
 恐らく当局の言い分はこうです。現段階での見通しは7,500万円を圧縮できても、4億1,300万円の経営支援補助金が尚必要であり、当年度の当該予算が3億8千万円ですから、既に当初予算を超えており、減額補正するのは意味がないということでしょう。ただ、このような趣旨で真っ向から答弁ができず、終始曖昧な態度で逃げるのに精一杯といった印象でした。
 つまり、この9月補正で経営支援補助金を減額補正せずとも、3月補正で3,300万円増額となることが予想されます。もしこの度7,500万円減額補正しますと3億500万円となり、年度末には1億800万円の増額補正せざるを得ないからです。それをこのまま減額補正をしなければ、3,300万円の増額で済み、議会の目をごまかせるという算段でしょう。
 生活バス化は、市民にとっては乗り換える機会が増えることとなり、トータルの運賃やいきいきパスでは不利にならずとも、不便を強いることには違いありません。それを市民にご納得してだく頂くためにも、広電バスへの経営支援補助金の減額補正をして、その効果額を明らかにすべきというのが、私や一部同僚議員の主張なのです。私はこの意味で、本補正予算に反対を表明し、討論致しました。

 一方、この度の交通政策費補正予算では、他にも委託費として400万円が組まれました。これは呉市のバス政策に係る基本方針として、路線バスが路線単位で50%の経常収支率を切れば生活バスへの転換を図り、更にそれが15%を切った段階で、コミュニティバス等への転換を図るというものです。既に警固屋の元気丸や吉浦のあじさい号がそれに当たり、地域のタクシー事業者と地元公的団体が営業主体になっています。
 このような中、生活バスの中で既に下蒲刈町を走るひまわり交通の経常収支率は既に11.4%です。安浦町を走る安浦交通では、19.9%ではありますが、路線が複層しており、年々収支率が下がっているため、ボーダーラインの15%を切るのは時間の問題です。
 そこで、専門のコンサル業者に委託して、今後のバス事業の在り方を検討するというのです。同時に川尻町では路線バスがこの度生活バスに転換されはしますが、町内を走る野呂山タクシーによる生活バスと国道31号線で重複していることもあって、こちらはワークショップを開催し、市民と行政でお金をかけずに在り方を検討致します。これらは遅きに失した感は否めませんが、この度の生活バス化を契機に、一気にメスを入れようとするものです。
 バス事業は本来民間事業であって、当然収支が黒字にならないと継続は不可能です。しかしながら、モータリゼーションの波と人口減少も伴って、バス事業を継続運営するには、どうしても公金を投じざるを得ない現実があります。それを市民の足を公共の使命として確保しつつ、どの程度まで経費を抑制できるのかが、これからの課題である訳です。

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