街頭演説集

第210回 ネーミングライツ

ネーミングライツ応募者の採点結果を公表せよ!

Facebook 2019.11.9

 昨日は210回目の街頭演説。公務出張が重なり遅れて金曜日の実施となり、ようやくクールビズを終えてネクタイ着用となりました。テーマは、ネーミングライツについてです。

 さて呉市では、今年度から公共施設の命名権をを企業広告の意味合いで企業に付与する「ネーミングライツ」をスタートさせました。
 これは一般的には、市有財産の効率的運用で市の歳入源に資することが挙げられ、公共団体と企業双方にメリットがあります。「マツダスタジアム」がその代表格と言えましょう。それに加え、昨年7月豪雨災害からの復興を目指すために、企業の社会的貢献を促す目的があり、呉市としては時宜を得た取り組みです。
 先ず昨年12月に第1次募集を行い、その結果3施設が決まりました。具体的には、呉市総合体育館(オークアリーナ)は広島市信用組合による「シシンヨーオークアリーナ」、この4月にリニューアルオープンした呉市営プール(二河プール)は日鉄日新製鋼(株)呉製鉄所による「日鉄日新製鋼アクアパーク」、コテージ梶ヶ浜はビルックス(株)による「コテージ梶ヶ浜ビルックスライドステーション」です。呉市営プールとコテージ梶ヶ浜は名称が長いので、非常に覚え難いというのが私の個人的感想です。
 第2次募集は今年2月に実施され、やはり次の3施設が決まりました。呉市文化ホールは呉信用金庫による「呉信用金庫ホール」、呉市体育館は(株)IHIによる「IHIアリーナ呉」、呉市役所1階のシビックモールは国際ソロプチミストによる「国際ソロプチミスト呉広場」です。
 これら計6施設は、今年4月から令和6年3月末日までの5年間の契約となっています。つまり、5年間に亘ってこれらの愛称が使われることになり、その後の契約更新も当然視野に入って参ります。
 第2次募集以降は今年3月より随時募集となっており、市が要求する最低価格や他の応募基準さえ満たせば早い者勝ちとなります。現在まで4施設が決まりました。
 呉市二河球場とそれに隣接する呉市スポーツ会館は、いずれも大之木建設(株)による各々「鶴岡一人記念球場」と「鶴岡一人記念スポーツ会館」です。ここは企業名を冠しない異例のネーミングで、実際スポーツ会館の玄関には鶴岡一人像が飾られています。呉市総合スポーツセンターは(株)ミツトヨ広島事業所による「ミツトヨスポーツパーク郷原」です。これら3施設は1ヶ月遅れの今年5月からスタートしました。契約期間はやはり令和6年3月末日までとなっています。
 そして市役所1階の「呉市市民ホール」は、新日本造機(株)が「新日本造機ホール」を命名し、さる10月1日から使用されることになりました。但しこの施設は既に「くれ絆ホール」という愛称が市民に定着しています。東日本大震災を機転に「絆」という単語が流行し、それを受けて呉市民ホールの愛称を行政が「くれ絆ホール」と命名し、新庁舎建設時も正面及び西側エントランスにわざわざ「くれ絆ホール」と名盤を設置した経緯があります。つまりこの愛称は、非常に広く市民に根付いていると言えましょう。先日文科省が常用漢字以外で最も国民が使用している漢字が「絆」だったと、発表したところです。名盤を掲示する経費は、受注企業が負担することになっていますので、呉市は痛くも痒くもありませんが、このネーミングが今後本当に根付くのか甚だ疑問です。
 例えば「大和ミュージアム」は行政が一般公募により決定した愛称であって、正式名称は「呉市海事歴史科学館」です。後者で呼ぶ人は恐らく皆無でしょう。ですから、この施設に限ってネーミングライツはふさわしくないですから、呉市としても公募対象施設には組み入れないとみています。同様のケースでは、「呉市総合体育館」の愛称「オークアリーナ」が定着しているので、ここも対象施設に入れるのはどうだったのか疑問が残ります。但し、結果的に「シシンヨーオークアリーナ」となったことで、「オークアリーナ」が残り、救われた格好です。
 私は、「愛称」として定着している施設はネーミングライツの対象に含めるべきではないと考えます。

 ところで、日鉄日新製鋼(株)は日本製鉄(株)と合併し、来年4月1日から日本製鉄(株)となることが、去る10月3日に発表されました。旧会社である日新製鋼は日本製鉄の完全子会社に組み込まれていましたので、日本製鉄が存続会社になり、長年親しまれて来た「日新製鋼」が消滅することになったのです。
 となれば、今年度からスタートした「日鉄日新製鋼アクアパーク」の愛称はどうなるのでしょうか?公募では、このネーミングで審査会が採点した上で決定した経緯があるからです。この方向性について担当部署である呉市資産経営課に確認したところ、現段階では不明との回答が帰って来ました。募集要項や契約書に、名付け親企業が倒産したり、名称変更したり、合併して社名変更となった場合の取り扱いについて、明記されていなかったのは問題でした。
 私見ですが、来年度から「日本製鉄アクアパーク」に変更されるのではないかと予想しておきましょう。

 一方、これら10施設における各募集段階で、何社が応募したのでしょうか?随時募集の4施設は1社でしょうから、第1次、2次募集6施設における募集企業数が気になるところです。
 実は、ネーミングライツは価格競争で、高い値を付けた企業が落札するものと思っておりました。この度の10施設で最も高額な命名権は、「呉信用金庫ホール」年額324万円です。次いで「シシンヨーオークアリーナ」の216万円、「新日本造機ホール」の187万円と続き、最安値は「コテージ梶ヶ浜ビルックスライドステーション」と「国際ソロプチミスト呉広場」の32万4千円でした。これら10施設の命名権料を合計しますと、年額1,277万8千円となります。
 因みに現在呉市は、「呉市二河公園多目的グラウンド」を希望価格(最低価格)50万円で募集しています。他にも自由提案も受け付けており、希望価格30万円以上、期間3年以上が目安となっています。
 「呉市ネーミングライツパートナー募集要項」では、その評価項目別の採点表が掲げられており、価格のみで決定することではないことが判明致しました。具体的には、経営状況等で20満点、社会的貢献度で20点満点、愛称の親しみ易さやふさわしさに30点満点、肝心の提示金額で30点満点の採点基準が示されていました。これらはネーミングライツ審査委員会を設置して審査するとしています。
 となれば、何故この企業提案が採用されたのかは、第3者たる市民にその理由を開示する責務が呉市側にあります。単なる決定企業とネーミング、ネーミングライツ料のみが公開されたのでは、透明性が確保できないからです。
 私は以前から当局に対し、プロポーザル方式によるマニュアルを策定し、各課が統一的基準で実施するよう要請して来ました。その結果、去る8月23日に呉市契約課が「呉市プロポーザル方式の実施に関するガイドライン」を策定したところです。
 この度の担当部署たる資産経営課は、県内他都市の手法に倣ったと言っていますが、そうではなく、恣意的なものが働いたとのではないかとの疑念をあくまで払拭することが、プロポーザル方式による随意契約における発注者責任と言えましょう。勿論、企業イメージに悪影響を及ぼさないよう次点以降の応募者名はA社、B社等代名詞で公表することも配慮するのは当然で、ここのともガイドラインで触れています。
 私は、ネーミングライツ決定に係る評価点数を公表するよう、強く当局に要請したところです。

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