街頭演説集

第218回 国からの派遣人事

予算を伴わない国からの派遣人事は議会軽視そのもの!

Facebook 2020.1.16

 去る1月6日は、令和初の新年の幕開けを迎え、通算218回目、演説初めとなりました。テーマは国からの部長級派遣人事についてです。

 呉市長は昨年7月1日付けで、部長級たる財務部参事に財務省主計局からの派遣人事を発令しました。これは議会にとって正に寝耳に水です。同参事への特命とは、呉駅周辺地域総合開発や西日本豪雨災害からの復旧事業について、国から予算を引っ張って来ることです。
 ここでの問題点第一は、年度途中からの大物人事は、予算の裏付けが全くないことです。本来であれば、6月定例会に派遣人事に係る補正予算案を提示し、議決を経た後に人事をするのが筋です。つまり、議会を完全に無視した格好です。
 第二は、これで副市長と合わせ、国から2名も派遣されたことになり、この人件費増が大きな財政圧迫要因になり、職員再配置計画による人件費抑制方針に背くことになることです。
 前々市長時代は、助役や副市長2名の内、一人を国から派遣していました。それを財政集中改革を実行する際に、前市長時代は副市長2名は、市生え抜き人事に変更していたのでした。それを新市長が就任するや否や、昨年度から新たに総務省からの派遣により副市長を立て、市長の一存で方針転換しました。
 それが更に、今年度途中の人事発令で、国から2名の大物職員を抱えることになったのです。有能な生え抜き職員を積極登用すれば、十分対応できるというのが私の主張です。
 第三は、人件費増に対する費用対効果です。災害復旧事業で国から補助金を取って来るために新たな人材が必要でしょうか?大いに疑問です。またその様な国とのパイプやコネを使おうとする姑息とも言える考え方は、私としては好きではありません。
 呉駅周辺地域総合開発においては、国が補助金を交付する前提として、JR西日本が応分の負担をする必要があります。現在進めようとしている広島駅再開発では、ドル箱ですからJRが負担することになっています。
 ところが、呉駅開発では、JRは殆ど支出しないのではないかとみています。例えばポートピア駅は、全額市費で建設した後、JRに寄付しましたし、広駅や阿賀駅の駅舎建設にしてもそうでした。ましてや新広駅は、駅舎を呉市が建設し、寄付も受けて頂いておりません。維持管理費がかかるためです。現在駅舎のように見える建物は、当初福祉建物と呼び、呉市所有施設のまま今日まで続いているのです。
 中心市街地活性化法に基づき、国県市が中通のサン劇跡地や銀座デパート再開発に補助金を用意したにも関わらず当事者たる権利者全員が負担する合意が得られなかったため、頓挫した経緯を思い起こすとよいでしょう。これと構造がよく似ているのです。
 尤も、呉駅周辺地域総合開発そのものが、身の丈に合った開発から逸脱しており、人口減の著しい呉市においては非現実的です。そのような政策のために、人件費を投じることに対し、大いに疑問を感じている訳です。

この様な中で、昨年12月定例会において、呉市は一般会計補正予算を提案しました。12月補正予算は、毎年夏に行われる国の人事院勧告に基づき、職員人件費を年度当初の4月に遡って手当するのが慣例となっています。後は、当初見込みより退職者が増えることになったことで、退職金を増額補正するなどがあります。
 ところが、この度の総務管理費の中の一般管理費、即ち一部職員の人件費増3億9,500万円の内数として、参事の人件費が含まれていたのです。この特殊事案を当局は議会に対し、一切説明しませんでした。誰も気付かないと踏み、そのまま押し通そうとした節が伺われます。
 このことに対し、去る12月19日の予算特別委員会で、私が糺したのです。当局は、参事の人件費がそれに含まれていると答弁せざるを得ませんでした。つまりこの様な重要な人件費増を、議会からの質問が出ないと説明しないという姿勢は大問題です。議会軽視と言われても仕方ないでしょう。議会に説明しなかったということは、そっくりそのまま市民に対して説明責任を果たしていなことと同義です。これでは到底ガラス張りの政治とは言えません。
 しかも、当該参事に対し既に毎月給与を支払い、ボーナスまで支給しているのですから、この予算を議会が否決し難い状況を創り出しているのです。丁度広島高速5号線・二葉山トンネル工事費を契約時から勝手に増額して工事を進め、後から県議会や広島市議会へ負担増額の補正予算を提案したのと同じ構図です。つまりサイは既に投げられているため、否決できない訳です。

 一方呉市長は、ワンダーランド構想推進会議をマニフェストに従って昨年度起ち上げました。私の主張によって、非公開だったのを第2回会議からようやく公開に踏み切りました。
 その際傍聴して判ったのですが、その構成員に2名の呉市顧問が入っていたのです。一人は広島大学名誉教授、もう一人はIT専門家です。彼らは地方自治法による特別職公務員であって、月額報酬を支給しています。これも議会への報告や説明は皆無でした。
 このように、市長がマニフェストの中身を埋めるため丸投げする手法に、顧問や副市長、参事といった人事を積極的に登用しており、隠れた人件費増があるのです。
 更に呉市は課長級として2名の職員を広島県から受け入れています。この場合は、給与は県が直接支払い、その負担金を12月補正しますから、この度の財務省からの派遣人事に係る給与支払いとは構造が異なります。この違いも私は指摘しましたが、当局は同じであると答弁したのです。委員会後にこれは間違っていたことを認められました。
 私はこの様な理由から、この部長級人件費増額を後出しじゃんけんの如く含む今年度補正予算に反対したところです。

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