街頭演説集

第221回 コンビニ交付手数料

各種証明書のコンビニ交付手数料減額は理屈が通らない!

Facebook 2020.1.30

 去る1月28日は221回目の街頭演説。テーマはコンビニ交付手数料についてです。

 呉市は平成29年1月から、所得・課税証明書、住民票、住民票記載事項表明書、印鑑登録証明書を、コンビニエンスストアで交付手続きができるようにしました。その後31年1月には第2段として、戸籍証明書、戸籍の附票に拡大しました。
 これらは市役所等での窓口手続きと異なり、コンビニが営業中の6時半から23時までであれば、いつでもどこでも交付を受けられるため、住民にとっては大きなサービス享受となります。実際市外で交付されたのがコンビニ交付全体の約3割を占め、その内半分が県外となっています。
 尚コンビニでの手続きには、設置された多機能端末機にマイナンバーカードを挿入し、自身で操作する必要があることから、マイナンバーを取得していないとできないこと、ICTが苦手な高齢者は敬遠しがちであること、呉市は高齢化率が高いことなどの理由から、同じ中核市に比べて、コンビニ交付率が低いのが現状です。具体的には、所得・課税証明書で僅か0.6%、住民票や印鑑登録で1.23%、戸籍では0.98%に止まっています。
 因みに中核市58市中、コンビニ交付に踏み切っているのは47市81.0%です。その中で、窓口サービス手数料とコンビニ交付手数料とが同額としている市における平均コンビニ交付率は、所得・課税証明書で2.06%、住民票、印鑑登録、戸籍の附票で3.38%、戸籍で1.23%です。呉市はこれまで同額にしていましたから、他都市と比べて利用率が低いことが分かります。
 そこで呉市はこの利用率を向上させ、同時に政府の意向を踏まえてマイナンバー取得率を増やす目的で、昨年12月定例会に手数料条例改正案を上程し、各交付手数料を100円引き下げることと致しました。確かに他の中核市でも、同様の措置を講じているところが増えて来ています。近隣では海田町が去る1月16日からコンビニ交付サービスを開始したばかりですが、当初から手数料を役場窓口に比べ100円安価に条例設定しました。
 当局の説明では、コンビニ交付率が向上すれば、その分窓口業務が楽になると言いますが、その効果は僅かしかありません。
 参考までに呉市におけるマイナンバー取得率は15.6%で、全国平均が13%程度なので、そんなに低い訳ではありません。但し鳴り物入りで住民基本台帳カードを導入したにも関わらずその投資が無駄になった政府にしてみれば、何としてもマイナンバーカードは普及したい訳です。

 一方呉市は、受益者負担の徹底化から、来年度から各種手数料と使用料の大幅改定をしました。総じて値上げすることになります。これは平成19年度に一斉改定、26年度に部分改定をしてから、この度の令和2年度が3度目となります。
 通常なら決められた時間に、市役所本庁舎市民センターに足を運んで証明書を交付してもらうところ、コンビニといういつでもどこでも便益の提供を受けられるのですから、寧ろその対価として手数料をアップするのが理屈と言えましょう。これでは、他の手数料や使用料の値上げと整合性が取れないことになり、全く説明がつきません。案の定私の追求に対して、当局から明快な答弁は得られませんでした。
 実際、各コンビニへの多機能端末機能付与とそれらに通信回線で繋ぐためのイニシャルコストは3,950万円もかけています。そしてランニングコストは、毎年度1,460万円もかけ続けているのです。これに対して窓口業務は訪れる人が若干減ろうが、かかる人件費は変わりません。
 加えて、コンビニでの交付1件に対し、コンビニへ支払う手数料117円が発生し、それを呉市が血税から支出しているのです。本来なら交付を受ける受益者たる市民が負担するべきで、それなら理屈は通ります。従いまして、この度の各証明書交付手数料100円減額は本末転倒と言えます。
 具体的には戸籍証明書は450円から350円に、他の証明書は300円から200円になるのです。これら委託手数料の増額、手数料減額をトータルした呉市への影響額は、年間200万円となります。
 この様な全く理屈通らない愚策の背景には、政府を忖度してマイナンバーカードを普及したいとの思惑が透けて見えることから、私は本条例改正案に反対を致しました。

タイトルとURLをコピーしました