街頭演説集

第224回 スポーツ施設の指定管理

スポーツ会館の食堂復活!文化芸術にも門戸を開放せよ!

Facebook 2020.2.24

 去る2月18日は224回目の街頭演説。テーマはスポーツ施設の指定管理についてです。

 呉市にある36のスポーツ施設中19施設を来年度から5年間の指定管理を締結する議案が、昨年呉市議会12月定例会に提出されました。これまではこれら全施設を非公募で公益財団法人・呉市体育振興財団に一括指定管理を指定していましたが、私による平成30年12月定例会一般質問の提言が市長の英断で受け入れられ、呉市営プールと同敷地内にある多目的広場の2施設は分離別枠となり、しかも久々に公募となったのでした。
 前市長時代に、体育振興財団が公益法人化したのを機に、スポーツ施設の指定管理を公募から非公募に転換しました。私は、「これでは競争原理が働かないので、指定管理者があぐらをかくことになる」と、かねがね苦言を呈して来た経緯があります。
 この度の呉市営プール「日鉄日新製鋼アクアパーク」は、3者が応募し、体育振興財団が敗れ去ったのです。結果は、シンコースポーツ中国(株)が年間約7,700万円の指定管理料で指定されました。

 一方、他の17施設は応募者が1者しかなく、既存の体育振興財団が指定を受けました。これは、過去の実績から、全施設のスケールメリットを活かした効率的運用が既存指定管理者に有利に働いたとみるのが一般的ですが、それだけではありません。同財団は呉市が100%出捐し、元々旧市内のスポーツ施設を管理委託する目的で設立した経緯があるのです。
 従いまして、財団の登記簿上の本部は、公共施設たる呉市スポーツ会館内にあるのです。ということは、本社に纏わる経費である一般管理費がかかりませんので、指定管理料提案でそれだけ有利になるのは自明の理です。実際市営プールの指定管理に指定されたシンコースポーツ中国は、一般管理費を660万円計上しているにも関わらず、その他17施設指定管理の同財団では、その費目計上すらありませんでした。
 これではスタートラインから不公平が存在していることになります。私は、公募要領段階から「一般管理費は控除して指定管理料を評価する」との記述を入れるべきだったと指摘しました。
 同様の問題は、野呂高原ロッジに本部がある一般財団法人・野呂山観光開発公社や、県民の浜・輝きの館に本部を置く(株)県民の浜、桂浜温泉館に本部を置く一般財団法人・倉橋まちづくり公社、文化ホールに本部を置く公益財団法人・呉市文化振興財団、朝鮮通信使資料館「松濤園」に本部を置く公益財団法人・蘭島文化振興財団、安浦まちづくりセンターに本部を置く公益財団法人・安浦町生涯学習振興財団にも同様の事が言えます。因みに、文化振興財団も、私の指摘を受け、この度から同様に非公募から公募に転じました。

 ところで、体育振興財団は、市内4施設、即ち下蒲刈、川尻東、音戸、豊各プールにおける自主事業で収入を計上せず、赤字を出していました。その穴埋めは本来の指定管理業務に係る指定管理料で穴埋めすることになります。即ち市民の税金です。
 何故自主事業で収入がゼロかと問い質しますと、泳げない子どもを対象に無料で水泳を教えているのだそうです。受益者負担がないのはおかしいですし、民間企業への経営圧迫要因にもなりましょう。その理由として「合併町には泳げない子どもが多くいる」と珍答が却って来ました。旧市内には泳げない子どもが少ないとでもいうのでしょうか?どちらかと言ったら、自然に囲まれた環境の方が海がそばにありますので、水泳を嗜む機会が多いはずです。
 要は合併4町と旧市内を差別していることが判明しました。市長は「行政は公平でなければならない」と、常日頃職員に訓示しておられますが、指定管理者を指定するのは呉市ですし、回り回って血税が使われているのですから問題です。

 そして、もう一つ。スポーツ会館の指定管理に関してです。これは17施設の内の1施設で、その中に財団事務所があり、登記されているのですから、財団としてここを落とす訳にはいかない事情がありました。実際年間約4,400万円の指定管理料収受計画を計上しています。
 ここは、スポーツ学生等を受け入れる旅館業法に定める簡易宿泊営業施設です。にも関わらず、その中にある厨房・食堂機能が平成29年12月以来停止していたのです。それは委託業者が経営が成り立たないと言って契約解除に至ったことが原因です。
 スポーツ施設条例では、食堂・厨房を借りる団体は使用料を指定管理者に支払わねばならないとされていますが、財団はそれを徴収せず、年間100万円の委託料を逆に業者に対し支払って来たことが、私の調査で明らかになりました。これは明らかに指定管理者たる財団が条例違反を行ったことになります。それは指定管理計画にはその委託料は未計上でしたから、財団が被って来た訳です。
 そこで私は、「平成31年4月に市営プールが通年型温水プールとして生まれ変わりスタートするのですから、そこと隣接するスポーツ会館が協力して、プール利用者の食事を請け負えば、経営が成り立つのではないか」と指摘しました。これは平成30年12月定例会での一般質問です。それを市が受け入れて財団を指導すれば、アクアパークオープンに間に合ったはずです。
 財団は委託料支払いによる過去の悪夢があり、呉市は「オープンしてしばらく様子を見て検討する」との後ろ向き答弁でした。この一件があり、この度の新指定管理期間での公募では、財団が勝ち残るにはこの食堂復活をアピールせざるを得なかったのです。呉市としても応募要領に食堂利用を掲げました。
 実は、旧市営プールは夏場だけのプールであり、その期間のみ社会弱者団体がうどんを提供していました。新プールにはその設置スペースがないため、食事は一切できないのです。案の定、食事ができないことへの利用者の不満の声が行政に多々届いたようです。これらのこともあって、1年遅れてのスポーツ会館食堂経営なのです。
 私は昨年12月定例会での本議案質疑の際、指定管理議案を可決後、来年4月の新指定管理に間に合わせて食堂を復活オープンさせるべく、市が管理監督を怠ることのないよう注文を付けておりました。その結果、昨年12月下旬から今年1月下旬にかけて、財団が公募を行った訳です。結果は1者しか応募はなかったのですが、近々事業者が決定することはほぼ間違いありません。
 尚、旧市営プールと違って、新市営プールには150台もの駐車場が備えられていますので、プールを利用されない方でもそこに駐車して、道路真向かいの食堂に足を運ぶことも可能です。幸い駐車料金はかかりませんので、市民にとっては朗報となるでしょう。

 最後の問題は、折角食堂を任された業者が安定経営を続けられることです。
 スポーツ会館における平成29年度の宿泊稼働率は、平日で僅か7.9%、土日祝日でさえ21.8%でしかなく、年間総平均で11.8%にしか過ぎなかったのです。以前音戸ロッジが廃業した際ですら25%程度だったと記憶しています。これでは旅館業として成り立ちません。
 実は条例で、スポーツ会館は5人以上のスポーツ団体しか宿泊できないよう縛りがあるのです。このような規制は条例を改正して取っ払うべきです。公務員には経営感覚が全くないと言われても反論できないでしょう。
 団体に限定せず個人でも、そして目的は芸術文化でも宿泊可能にすればよいのです。その際、スポーツ団体と差別化するために、申し込み時期解禁に差違を付けるなど、いくらでも工夫の余地はあると考えます。
 宿泊稼働率が向上すれば、呉市が財団に支払うべき指定管理料が減額されますし、食堂経営も安定する訳です。そして何よりも、市民サービスが向上しますので、正に三方一両得になるとみています。

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