街頭演説集

第225回 会計年度任用職員制度

嘱託・臨時が新年度から会計年度任用職員で待遇改善へ!

Facebook 2020.2.29

 去る2月26日は225回目の街頭演説。テーマは会計年度任用職員制度についてです。

 これまで呉市役所において、正規職員と非正規職員の給与格差が顕著でした。それは、「同一労働同一賃金」の視点から乖離していたのです。私は過去の一般質問で、この格差を可能な限り埋めるよう主張して来た経緯があります。
 結局呉市はその時点では動かず、地方自治法と地方公務員法が改正施行されるこの4月に合わせてようやく、その格差解消がある程度図れることになりました。それが来年度からスタートする会計年度任用職員です。

 呉市では地方公務員法第17条に基づく非常勤一般職員をこれまで採用して来ませんでした。その代替措置として同法第3条第3項第3号に基づく特別職たる嘱託員を採用して来たのです。
 この一般職と特別職の違いは、地方自治法第203条の2を根拠に、「非常勤職員に対しては手当を支給しなくてよい」との拡大解釈を採用することで、人件費を抑制できることにあったのです。これが正規と非正規の給与格差に直結する要因だったのです。
 但し、非常勤職員に対しては、同法第203条の2第4項で、費用弁償を条例で定めれば支給が可能です。費用弁償というのは、通勤手当に相当するものです。ところが、呉市は、職員給与条例第17条や報酬・費用弁償条例第2条第28号で、任命権者たる市長に委任する形を採っており、議会が介入できなかったのです。このため市長裁量となり、費用弁償は支払われることはありませんでした。
 つまり、嘱託雇用することで、週29時間労働であっても、その方々に対しボーナスや通勤費用に該当する費用弁償が支払われることはありませんでした。同様に、繁忙期や業務が多岐に渡る職場、或いは産休・育休を埋めるため臨時で雇用する臨時的任用、いわゆる臨時職員にもボーナスや通勤手当は支給されることはなかったのです。この方は週38時間45分働いていたにも関わらずです。
 但し教員の臨時採用は県費であり、市立高校は県教育員会に準じるため例外だったのです。

 この度の会計年度任用制度は、これらの非正規職員を地方公務員法第22条に追加され明確に位置付けると共に、同一労働同一賃金の下、ボーナスの一部である期末手当と通勤手当に該当する費用弁償が支払われることとなったのです。
 現在嘱託員2,722名、臨時職員89名の合計2,366名の内、1,740名がこの4月より会計年度任用職員に移行することになりました。ボーナスと言っても一般職と異なり勤勉手当は支給されず、期末手当のみですので、年間2.6ヶ月分となります。しかもその対象となるのは週28時間以上で半年以上継続勤務する者となっており、全体の約1/3である562名となります。
 具体的には、一般事務補助員、給食調理員、学校業務主事(用務員)、生徒指導員、特別支援学級指導員、放課後児童会支援員、嘱託ごみ収集員の月額報酬支給者がこれに該当致します。但し、一般事務補助員や放課後児童会支援員でも週20時間(一日4時間)勤務の方や学校教育指導補助員も週20時間ですから時給報酬となっており、費用弁償はあっても、期末手当は対象外となるのです。

 問題は、一般事務を補助していた臨時職員に皺寄せが行くということです。彼らはこれまで正規の一般職員同様、週38時間45分勤務でした。それが大幅に時間短縮され29時間勤務になります。そうなりますと、月額報酬が一気に下がりますから、月々の生活費や保険料・ローン支払い等で困難になります。当局は期末手当を含めた年額報酬全体ではアップすると答弁しましたが、実際どの程度アップになるのか、今後詰めて参る所存です。
 但し、彼らは地方公務員法第22条第5項に基づく臨時職員でしたから、半年の有期契約で、最長1年しか勤務できませんでした。会計年度任用職員になることで、それが必要とされれば、1年ごとに無期限に契約更新できることになったのは強みです。
 これまで、彼らは1年間勤務後一旦退職手続きを取り、1週間を開けて再度任用されておりました。つまり事実上1年を超える継続雇用が続いていたのが現場の実態なのです。これは法の趣旨を逸脱しており、極めてグレーな対応を呉市は行って来たのです。私は過去何度もこの点を指摘しており、改善を求めて来ました。この度の制度改正により、このグレーはなくなることとなります。
 結局呉市は、法が改正施行されなければ動かなかったのです。私は東京都多摩市の様に市独自に非常勤職員任用条例を制定し、新制度へ移行するのを待たずいち早く格差を是正すべきだと、平成29年6月定例会一般質問でも訴えて来ました。それでも当局は動きませんでした。
 嘱託員の賃金単価も人事院勧告は参考にせず、一切アップして来なかったのです。ようやく動いたのは、平成25年度の総務省通知を受け、26年度から週28時間以上の嘱託員については報酬単価を通勤距離に応じて僅かに加算したに過ぎません。これでも通勤費よりは少なかったのです。しかも費用弁償や通勤手当であればそれは非課税になりますが、報酬加算されれば、課税対象になる不利もありました。これらも悉く私が一般質問で指摘して来た訳です。

 一方、この度の期末手当等支給により、呉市の負担は年間約3億4千万円増加します。これは全国の自治体どこでも同様の傾向です。
 そこで私は、「これらの増額負担分が交付税措置されるのか?」と、去る12月定例会に上程された会計年度任用職員給与費用弁償条例制定案に対し、本会議場で質問致しました。それに対しては、国がまだ指針を発表してないので未定ということです。総務省と財務省とのせめぎ合いがあるようですが、財務省の財布の紐は固そうです。
 いずれにしましても、待遇格差がまだ残っているようですので、今後更に内容把握に務めて参る所存です。

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