街頭演説集

第228回 交通政策費補正予算

広電路線の一部生活バス化による経費節減神話が崩壊!

Facebook 2020.3.20

 去る3月17日は228回目の街頭演説。テーマは、交通政策費補正予算です。

 呉市は交通局を平成24年度から広島電鉄に民間委譲して以来、その路線毎の経営赤字分に2%の利潤を上積みした上で、経営支援補助金を同社に交付して来ました。しかしながら、年度末において、毎回必ずといっていい程、赤字幅増に対応して補助金の追加補正を行って来たのです。因みに令和元年度当初の経営支援補助金予算は3億8千万円です。
 ところが中間期段階で、年度末に補助金が4億8,800万円にまで膨らむ見通しが報告されました。

 にも関わらず、去る3月11日に審査された補正予算計上額は、何と1億7,600万円の減額だったのです。一見これでは当局への追求はし難い訳です。
 実はこれにはトリックがあり、毎年度予算計上段階では、年度初めの4月から年度末の3月末までの1年間における積算の上での補助額でした。それをこの度は、昨年10月から今年3月末までの半年間を支払わずに、令和2年度に回すというものです。そうなれば令和元年度予算は9月末までの半年間に縮減されることから、下半期の半年分を減額する補正が組まれたという訳です。
 この理由ですが、広電は国や県、熊野町からもバス事業に係る補助金交付を受けていますが、毎年度末に支払われるのは、前年度下半期の10月から翌年3月末までと、当該年度上半期の4月から9月末までの、計1年分だというのです。つまり、広電からの要望を受けて、それに合せたという答弁でした。
 しかしこれでは、当初予算との決算比較ができ難くなります。しかも、令和2年度は下半期から広電の7路線を生活バス路線に移管しましたので、その減額分が半年間で7,500万円となっていました。それを昨年9月定例会の補正予算時に、減額分として敢えて計上しなかった経緯があるのです。その心は、その分の減額補正をしなくても、どのみち年度末には補助金を増額せざるを得ない事情がありました。つまり、予想を遥かに超えた経営悪化が進んでいるためです。
 ということでこの度は、議会や市民の目をごまかす減額補正予算となった訳です。
 予算委員会で私はこのことを指摘しつつ、7路線の生活バス化によって、実際どのように支出を抑制したのか分析を試みました。と言いますのも、路線バスを短絡化することは、市民に乗り換えの不便をお願いすることになりますので、それへの説得材料として、生活バス化することで補助金を抑制できるとの説明が、昨年9月定例会での補正段階でなされていたからです。
 当時の説明では、昨年10月から今年3月末までの半年間で、広電バスにおいては7,500万円を減額し、生活バスにおける移管路線部分は4,900万円の増額、差し引き2,600万円が節約できるとしていたからです。

 ところが実際は、4,900万円では足らず、5,710万円の増額補正をこの度強いられ、この半年間における7路線移管部分の補助金は1億610万円と、倍以上にまで膨れ上がりました。その内訳は、乗客減による減収分が2,600万円、人件費高騰分が2,800万円の増、修繕費用に300万円でした。つまり、生活バス移管による7路線分の経費を大幅に見誤ったことになります。
 となりますと、路線の短絡化及び生活バス化により、半年間で2,600万円節約できるとしたのが、逆に3,110万円の負担増になることが、私の追求により明らかにされたのです。「市民に不便を強いる代わりに税金からの持ち出しを節約する。だから市民にはご理解頂きたい」という、当局の政策根拠がガラガラと崩壊した瞬間でした。
 これでは我々議会も、市民に対する説明責任を果たすことができません。「生活バスに移管した方が経費が節約できる」とは一体何だったのかと、原点に立ち返らざるを得なくなる訳です。
 つまり当局は、年度末における補正予算が、決算ベースと大きく乖離していたことを、議会に対し丁寧に説明しなければならない立場だったのです。
 それを昨年9月に、10月から広電路線バスから7路線を生活バス化する際、広電バスへの経営支援補助金を減額補正せず、加えてこの度の年度末補正では、補助期間を半年削ることにより、実態を解り難くする姑息な手段に打って出たのです。それも広電から、補助期間変更依頼があったからだとして、「自分達には責任がない」とでも聞こえる答弁に終始したのです。
 例え広電から、国、県、熊野町による補助期間を揃えるよう要請があったとしても、呉市として、特に今年度下半期から路線短絡化という特殊事情も加わった訳ですから、少なくとも今年度に限っては期間を変更するべきではなかったのです。当初予算と比較し易いよう、年間の補助期間を今年度は予算期間と揃えた上で、令和2年度予算を編成する際に、当年度上半期の半年に限定した予算を組むべきでした。そうすれば、令和3年度予算からは、前年度下半期から当年度上半期まで1年間の補助期間に揃えることができたのです。
 私は、このことを指摘し、当局の欺瞞性を白日の下にさらすことに成功しました。

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