街頭演説集

第241回 見せかけの地域協働から脱却し、住民自治の抜本改革を!

Facebook 2020.6.21

 去る6月15日は241回目の街頭演説。テーマは住民自治組織のあり方についてです。

 呉市は今年度予算に、初めて住民自治組織のあり方検討委員会を起ち上げる予算30万円を計上しました。これは私が以前から主張していたもので、地域の担い手不足解消や地域世話人の負担軽減を主な目的とし、抜本改革を目指すものです。
 呉市は平成19年度に策定された財政集中改革プログラムの2つめの柱に「ゆめづくり地域協働プログラム」を位置付けました。これを基に、市内28地区の自治会連合会単位にまちづくり委員会(合併町は協議会)を組織してもらい、そこにゆめづくり地域交付金を交付して、市の行政サービスで手の届かない部分を住民自治組織に委ねたのです。
 その交付金の上乗せ部分として、複数のまちづくり委員会が共同で実施する市民ゆめ創造事業、地元団体が公共施設を補強したり拡充する場合の地域協働公共施設整備(まち普請事業)、子ども団体が主体となる子どもまちづくり事業において各交付金制度を後追いで起ち上げました。特に子どもまちづくりと言っても、企画書は地域世話人が作成したりしており、事業も地域団体が全面的にバックアップしています。
 この様に、地域協働プログラムによって、地域住民に新たな負荷ががのしかかったのです。

 また、以前成人式は呉市主催でしたが、これを地区自治連主催に移行し、助成金を交付するようになりました。或いは地域に根ざす健康づくり事業を推奨し、交付金を支給、その受け皿として地区単位に健康づくり運動普及推進協議会を起ち上げさせたのです。或いは、介護予防事業の一環としてのふれあい・いきいきサロンを地区社会福祉協議会に委ね、そこに助成金を交付しました。
 これらは近年地元負担が増加した内容ですが、以前からあったものとしては地区社会福祉協議会に実施委託している敬老会があります。地区社会福祉協議会は、老人集会所の指定管理も半強制的に担っており、大変な事務量です。他にも共同募金委員会、交通安全推進協議会、公衆衛生推進協議会、青少年補導員連絡協議会、防犯連合会、人権教育・啓発推進協議会があります。
 これらは全て公的補助金が交付されていますので、会計事務は勿論のこと、交付申請や交付請求、実績報告も行い、予算、決算の総会議決も必要です。それぞれが縦割り行政による紐付き予算なので、その都度負担が地域世話人にのしかかります。
 ところが、これらの役員は殆どが充て職で重複しており、同じ世話人に負担が加重されているのです。しかも殆どが無報酬ですし、自治会加入率も落ち込む一方です。ということで、自治会長にさえなり手不足となり、その結果自治会を解散するところも出始めて来ました。一昔前は老人クラブの解散が相次ぎましたが、その再燃になりかねません。
 結局、呉市からの種々の補助金のために、その受け皿となる類似の地域団体を各々地元に創らせ、その業務を行わせていることが問題です。
 私は、縦割り行政から来る交付金を一本化し、受け皿団体を統合すべきだと考えます。これは、浜田市や総社市が採用している総合交付金制度によく似ています。そのためにまちづくり委員会に地区自治連を含めた既存組織を統合すれば、人材不足に対応できる訳です。その地区の事情に合わせ計画に基づき、自由に行政に縛られることなく交付金を使えるようにするのです。その際合併町に配慮して、プレゼンテーションを行った上での課題解決型交付金という加算制度を導入するのも一案です。これは浜田市が採用しています。

 では、これらの人材不足問題がこれまで表面化しなかったのは何故でしょうか?実はここに隠された秘密があるのです。
 それは市民センターがある地区では、会計事務や事務連絡等の住民に最もしわ寄せが行く業務を市民センター職員が行って来たことです。旧市内における市民センターのない9地区と市民センターのある19地区とに大きな不幸平が内在していたのです。これでは市職員任せですから、地域人材が育つ訳がありません。
 しかも、呉市が補助金を交付して、その会計事務処理を市職員が行っていることになり、正に自作自演です。市民センターをする地区の殆どでは、自治会連合会自治会長会議での資料準備は職員が行っているようです。健康づくり運動推進協議会の会計事務は、17市民センターの内、13センターにおいて職員が行っていたのです。老人集会所の指定管理の会計事務においても、市民センターの職員が行っていたことが一部で判明しました。
 これは女性会・赤十字奉仕団の分団でもそのような傾向があるようです。呉市の場合、女性会と赤十字奉仕団の構成員が同一であるにも関わらず、別会計で事業実施しており、やはり負担増に繋がっています。
 ところで、呉市における市民センター職員の事務分掌では、

  1. 地域協働の推進に関すること
  2. 社会福祉団体等との調整に関すること

が記述されており、これらが住民自治組織等の事務を行っていることの根拠であると呉市は説明します。
 しかし、本来これは住民自治組織をサポートするという意味であって、事務局そのものを請け負うということとは違うはずです。つまり、呉市の弁明は詭弁でしかありません。
 そこで私は、組織を可能な限り一本化した上で、その事務を行う者を例えば呉市職員OBをまちづくり委員会等の嘱託雇用して専念させ、その人件費を負担する制度の構築を提唱しています。これなら、市民センター職員の仕事量が減りますので、職員体制再構築計画や行政改革にも寄与できます。加えて地域人材が育ち、地域世話人の負担が減じ、なり手不足解消に繋げていけるのです。これに近い制度は伊勢市が採用しています。

 一方、今年度起ち上げる住民自治組織のあり方検討会では、これらの課題を逐一把握、整理した上で、呉市担当部署がたたき台を作って臨まねば効果は見い出せないでしょう。諮問委員には、地元住民代表として、自ら事務を担って来た旧市内の地区から選出すべきと、私は主張しています。
 また現在福山市でも、今年度に「地域コミュニティの再構築に向けた懇談会」を起ち上げ、同様に地域世話人の負担減を検討するということです。これは特に自治会長の負担軽減に重きが置かれているようです、自治会における回覧物の削減を含めた情報発信方法の見直しが含まれており、呉市も検討に加えるべきでしょう。自治会が呉市の下請け機関に成り下がっている現状があることは否定できないからです。
 呉市は、去る3月の予算委員会で私の質問に対し、できれば今年度中に改革案をまとめたいとの答弁でした。しかし、福山市は平成30年度から事前の有識者会議、令和元年度は住民代表による検討委員会で議論し、それら踏まえて今年度、仕上げに入ろうとしています。
 本市は、今年度から合併町のみに適用して合併町地域まちづくり振興補助金を実質的に4年間かけ段階的にゼロにしますので、令和4年度まで3年間かけ、この際じっくりと抜本改革内容を練り上げるべきと考えています。

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