街頭演説集

第246回 焼却施設再整備、炭化炉導入で環境負荷低減と有用化を!

Facebook 2020.7.22

 去る7月20日は246回目の街頭演説。テーマは、一般廃棄物焼却施設「クリーンセンターくれ」の再整備についてです。
 今年度の呉市予算にはクリーンセンターくれ再整備検討費として851万円が計上されました。
 焼却炉の耐用年数は25年で、平成15年度途中に供用開始し、26年度から長期包括契約に切り替え、残り8年となっています。つまり令和10年度を目途に、大規模改修を行って延命を図るか、炉を含め施設を新たに建て替えるかを選択する必要があります。その際、国への補助金申請に係る計画策定や、それに伴う生活環境影響調査を実施する必要があり、8年間を要するとしています。
 同施設は、日附環境美化センターを平成26年度末に廃止した後、音戸、倉橋両町のごみを受け入れるようにしました。現在23年を経過する芸予環境衛生センターでは、豊、豊浜両町のごみを受け入れていますが、ここも廃止してクリーンセンターくれへの統合も検討対象に入って参ります。

 ところで、全国でごみ焼却によるダイオキシン問題が発生した際、それをクリアする基準の焼却炉に転換する必要に迫られました。そこで呉市を中心として、江能4町(その後対等合併して江田島市に)と呉市への編入合併前の蒲刈、下蒲刈、川尻、安浦各町、そして愛媛県関前町(その後今治市へ編入合併)からの一般廃棄物を受け入れる目的でクリーンセンターくれを建設したのです。
 その際、国庫補助金たる環境型社会形成推進交付金を活用して灰溶融設備を導入しました。これは、ダイオキシン類の分解と重金属の封じ込めにより環境負荷を低減することと最終処分量を減量化することが目的でした。即ち設備から産出される溶融スラグを利活用しようとしたのです。
 しかし、当初実験的に公共事業で路盤材に活用したものの、コンクリート製品としてJIS規格に適合しなかったこと、砂の代替材として埋め戻し材やクッション材として活用を検討するも課題を克服できなかったことで、利活用には至りませんでした。
 そこで平成20年の議会委員会において、クリーンセンターくれによる焼却灰を受け入れて埋立処分する建設予定の一般廃棄物最終処分場「エコ・グローブくれ」には溶融スラグを一旦埋めておき、その後利活用が可能になった段階で掘り出して使用するとの答弁がありました。
 ところが、去る3月定例会における不肖による予算総体質問では、溶融スラグのみを取り出すことは不可能であると、過去の答弁を否定する答弁がなされたのです。つまり、現在のクリーンセンターくれにおける焼却では二酸化炭素を多く排出するばかりか、全くリサイクルできなかったことが判明したことになります。これでは環境政策として、あまりにもお粗末です。

 そこで私は、先の予算総体質問で、クリーンセンターくれの延命化を図るより建て替えた上で、焼却炉の代わりに炭化炉設置を提唱しました。
 炭化炉とは、焼却炉と違い「燃やす」のではなく「蒸す」手法で、灰になって埋めるのではなく、有価物である木炭を産み出す装置です。二酸化炭素放出もかなり抑制できますし、その過程でバイオマス発電もできます。そして処分量の大幅減量になり、最終処分場の延命化を図れる訳です。炭化物は木炭燃料に止まらず、土地改良資材、畜産・水産飼料、環境保全材、建築資材、医療・食品資材等への利活用が図れます。つまり、新たな価値を生むのです。
 特に土壌改良剤として、呉市が敢行栽培から無農薬有機栽培に政策誘導する際に、農家に無償提供した上で、環境保全型農業への転換を目指すことが可能となります。そして無農薬有機作物による学校・保育所給食への転用まで視野に入って参ります。
 呉市は、一般廃棄物を炭化炉で受けた場合、ごみの中に重金属等様々な有害物資が混入していることを理由に難色を示しました。しかし技術革新の中で、炭化炉における木炭生成過程で有害物質や金属を無害化できる、とはメーカーサイドの意見です。加えて、今後紙おむつは感染症廃棄物に指定されることが予想されており、焼却炉では新たに処理設備が必要になりますが、炭化炉ではそれが不要だといいます。
 実は炭化炉は、広島、熊本、大阪、横浜各市や東京都が既に導入しています。しかしこれらは、全て下水汚泥を送泥管網で誘引する手法であって、一般廃棄物を炭化の対象物とはしていません。だからこそ呉市がこれを率先して導入すれば、環境負荷を低減する先進事例となり、大いに価値があるのです。
 更に、呉市は屎尿処理施設の統合を計画していて、令和6年度からは、クリーンセンターくれの隣接地に施設建設した上で供用開始となる予定です。ここから送泥管で炭化炉施設に接続すれば、これも有用化できる訳です。

 一方、クリーンセンターくれには焼却炉が3炉あり、原則2炉を運転、3ヶ月連続運転したら、休止炉を稼働させるローテーションを組んでいます。その間空き炉は1~2ヶ月かけて整備・点検します。災害等でごみが大量発生した場合は、一度に3炉を運転することもあるそうです。
 その1炉の容量は126.8t/日ですから、最大受け入れ容量は380.4t/日となります。
 また、呉市の可燃ごみは年間約7万tです。それに粗大ごみを破砕した分(不燃ごみを加えた9千tの内数)や江田島市からの受け入れ年8千t、芸予環境センター分をも受け入れると年1,100tですから関前町(岡村島)分を加えたとしても、高々年約8万トンです。これを1日平均に換算すると、呉市内での可燃ごみ191.7tを含む約219tになります。
 炭化炉の容量は特注が可能で、最大150tだそうです。ということは、120~130t容量の炭化炉を3基設置すれば、災害等不慮の出来事を踏まえた上での処理が可能と考えています。
 ところで我が国は、第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)によるパリ協定に対し、2030年に協定発効時の2016年比で26%もの温室効果ガス削減目標を掲げています。環境省として、炭化炉導入には当然手厚い補助制度を構築して来るでしょう。
 このような意味から、8年後に間に合わせるべく、早急に炭化炉の研究と検討を進めるべきです。

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