街頭演説集

第248回 スポーツ会館の食堂を持続可能な安定運営にするために

Facebook 2020.8.6

 去る8月4日は248回目の街頭演説。テーマは呉市スポーツ会館の食堂運営についてです。
 同館は、ネーミングライツで、昨年度より「鶴岡一人記念スポーツ会館」と呼ばれており、スポーツ団体の合宿施設として、旅館業法でいう簡易宿所に当たります。指定管理者である、呉市が100%出捐した公益財団法人・呉市体育振興財団が運営していますが、会館内にある食堂・厨房の外注先シダックス(株)が平成29年12月に経営難で撤退したため、久しく合宿者に食事を直接提供することができませんでした。これでは宿所の役割が果たせません。
 そこで私が平成30年12月定例会一般質問で、食堂復活を提唱したことを受け、令和2年7月から復活したものです。隣接地に令和元年度から復活オープンする呉市営プールが温水化し、通年利用が見込まれることや、同プールに夏場開設していたうどん店もなくなったことで、ニーズがあるというのが私の考えです。しかも、再オープンした呉市営プール「日本製鉄アクアパーク」には150台を収容できる無料駐車場がありますので、スポーツ会館駐車場と合わせて、一般市民が自家用車で来場して、昼食だけでも摂ることができ、便利です。

 実は呉市スポーツ条例では、スポーツ会館内の食堂・厨房をテナント借りする場合、財団に利用料金を月額5千円納付することになっています。ところが財団は、シダックスとの契約において、呉市長の許可を得ることなく利用料金を徴収せず、逆に委託料を100万円支払っていたことが私の調査で判明しました。これは条例違反となります。
 そこで私は、令和元年度から5年間の新たな指定管理者募集において、これまでの非公募から公募にして競争原理を働かせるよう一般質問で要請したのです。それを受け市長の英断もあり公募となった結果、財団が再受注したものの食堂復活に繋がったです。
 但し指定管理者公募期間が、新たな市営プール開業2年目からになったことで、食堂復活が1年遅れてしまいました。しかしながら、指定管理公募時の仕様書や応募提案に基づき、財団が昨年12月に公募した結果、地元のワタセ企画㈲(すてら・ダイニング)が受注したのです。
 また、これまで市内18スポーツ施設を一括指定管理していたのを、私の提案を下に、令和2年度から17施設と1施設に分離公募することになりました。その1施設とは、装い新たに平成元年度より再スタートした呉市営プールです。ここは体育振興財団が不採用となり、シンコースポーツ(株)が初めて採用されました。
 このような経過の中で、食堂がスポーツ会館利用者に止まらず、市営プール利用者や一般利用が可能なことはまだ知られていません。況んや食堂が復活したことも市民は知らない訳です。現在営業日に限ってスポーツ会館入り口に幟旗を立てて宣伝していますが、営業日が毎日ではないこともあって、市民に浸透していません。
 そこで私は、折角復活した食堂が持続運営できるよう、行政としてもサポートが必要であると考えています。

 その第一は、アクアパーク利用者に告知案内することです。それにはシンコースポーツと体育振興財団が連携することが必要で、共通の大家である呉市が仲介役を果たす必要がある訳です。これを受けて、取りあえず案内チラシをワタセ企画が作成し、アクアパークに置いてもらうこととなりました。
 今後は、呉市ホームページや市政だよりへの掲載、そして市自治会連合会を通じての自治会回覧などで周知を図れればよいと考えています。ただ業者も、来場者が増えれば人材を確保して対応する必要があり、それらを天秤にかけた上で手法を検討すると思われます。当面は、当然のことながら合宿者への夕食は提供体制を確立したところです。

 第二は、スポーツ施設条例を改正して、スポーツ団体に止まらず、文化団体等にも合宿利用の門戸を拡げることです。平成29年度の宿泊稼働率は年平均僅か11.8%しかありませんでした。これを利用団体の範囲を拡げることで少しでも稼働率を向上させ、食堂経営を安定させるのです。
 スポーツ団体と文化団体の差別化を図り、前者の申し込みをより相対的に早い段階から解禁すれば、スポーツ団体の合宿に迷惑をかけることはありません。民間経営者なら稼働率向上は第一優先課題ですが、呉市が不肖一般質問に対し、否定的答弁をしたのには驚きました。公共の経営感覚の甘さがにじみ出ており、現在その理由を示すよう当局に申し入れているところです。

 第三は市営プールそのものの稼働率向上策です。
 実は平成26年度に新広駅周辺再整備の調査費を前市長が計上し、同年度に、老朽化し耐震診断未実施の新広駅前にある「市営温水プール」を解体・移転する方針を議会に示した経緯があります。
 その本心は、移転先は二河にある市営プール建て替えだったことは明白です。何故なら、当時の市営プールは夏場のみでしたので、年間3万5千人の利用がありました。広地区にある市営温水プールは通年利用なので7万人の利用でした。そこで、二河地区に温水プールを建設する際は、年間9万人で設計していたことが後に判明したのです。それを広地区の温水プールを継続運営することで、二河の市営プールは年間4~5万人利用しかならず、32億円もかけて建設した費用対効果が乏しくなる訳です。
 ところが、広地区市民からは「移転先は広地区管内にして欲しい」との署名運動があり、前市長は広地区が地元だけに、二河への移転策を封印したのです。平成29年秋には市長選挙が控えていたため、選挙対策を優先したのでした。
 旧市内に温水プールは2つも必要なく、呉市中心部たる二河に集約化を図ることが当然の施策なのです。しかも市内東部には合併した川尻町には「かわせみプール」がありますし、南部には合併した川尻町には「ウィングくらはし」があり、いずれも温水プールなのです。呉市の人口規模を考えても、これから益々人口減少になることが予想されており、市内に4箇所も温水プールは贅沢この上もありません。
 現市長も来年選挙を控えているため、これまで広の温水プールを廃止することに一切言及せずに来ました。課題を先送りすることで、新広駅前再整備が滞った状況が継続しているのです。これをいち早く押し進めるには、同駅前の温水プールの扱いに終止符を打つ必要があります。

 一方呉市は、平成27年度末に策定した「呉市公共施設等総合管理計画」の下位計画でに当たる「呉市個別施設計画」素案を去る6月に発表しました。これを市民意見を公募した上で、今年度末に計画を策定するとしています。
 この中に広地区の温水プールが明記されており、建築経過年数50年を経た「令和13年度末を以て廃止」と記載されているではありませんか?つまり、新広駅前整備を後回しにしてでも、目一杯同プールを残そうとしていることが判明したのです。同駅前は、広市民センター駐車場への車両乗り入れ、路線バスや生活バスも乗り入れる交通の要衝で、広場が混雑しており、危険な状況になっているにも関わらずにです。
 耐震基準を満たしていない広の温水プールを廃止すれば、二河の「日本製鉄アクアパーク」年間4~5万人が、当初見込みの9万人になるはずです。現在広地区と中央地区に温水プール利用者が分散している訳です。この結果スポーツ会館食堂の利用者にも影響があるとみています。食堂を安定経営させ、サービス向上に繋げるには、温水プールの中央地区への統合を図るべきなのです。

タイトルとURLをコピーしました