Facebook 2020.11.8
個別施設計画というのは、呉市が平成27年度末に策定した公共施設等総合管理計画の下位計画に当たります。この上位計画は、平成26年度に国土交通省がまとめたインフラ長寿命化計画に沿うもので、全国の自治体が策定しています。
この呉市公共施設等総合管理計画では、平成27年度末時点におけるハコモノ総合床面積を、令和22年度末までに3割削減するという目標を掲げました。それを裏付ける具体計画として、去る6月に提示されたのが個別施設計画素案で、今年度末までに計画を策定するとしています。但し素案では、23%しか削減できない脆弱な内容となっています。
その中で、生涯学習施設分野の集会所に含まれるのは、老人集会所等条例などに位置付けられる行政財産の他に、条例設置に基づかない普通財産としての集会施設があるのです。
行政財産とは、行政目的に基づき設置された公共施設で、条例でその位置付けが根拠付けられています。これに対して普通財産は、行政目的を持たない、或いはその役割を終えた財産のことで、基本的には売却若しくは貸与することで資産運用することになります。
ところが、普通財産としての集会施設は、地元の地縁団体に無償貸付をしているのが殆どなのです。その維持管理は老人集会所と同様、建物の駆体に係るものを除く修繕は、貸与先団体が行っており、そのために席貸業を行わざるを得なくなっています。
合併町にはこれらが最も多く、自治会館として代用している施設とか、他の公共施設の部屋貸しと重複が多いことも相まって、少子高齢化や人口減少のため稼働率が極めて低くなった施設も多々あります。加えて、旧市内には昔民間から寄附を受けた集会所が2箇所あります。また旧市内や合併町を問わず、学校廃校や保育所廃園によるグラウンドを含む校舎や体育館、園舎跡が該当します。
では、これら普通財産としての集会施設は、個別施設計画ではどのような位置付けになっているのでしょうか?
それは、行政財産と同様普通財産も現有総床面積にカウントしており、削減対象にも入っているのです。つまり、23%削減するとの目標に対する積算対象なのです。
にも関わらず、行政財産たる老人重解所等の様に、個別施設の具体的名称が計画素案に記述されていません。その理由は、行政財産の場合、総床面積が千㎡未満であれば使用年限を50年に設定し、その後は廃止と位置付けているのですが、普通財産では同じ年限を50年に内々に設定しつつも、満期後は廃止することが明記されていないためです。
これでは普通財産の個別案件の扱いが極めて不明瞭になり、行政目的を持つ老人集会所を廃止しても、本来売却を基本とするはずの普通財産が存続するという逆転現象を招き兼ねません。
しかも中央集会所は令和2年度に使用期限満了、東中央集会所に至っては、平成17年度に既に満期を迎え、現時点で築後65年を経過していたことが判明しました。つまりこれら施設は、表面上計画に掲載されていないため、曖昧なまま今後も無償貸与が継続する可能性が高い訳です。
実際、地区毎に当局が説明会を実施しましたが、行政財産たる老人集荷所等は個別名称が記載されているので、地元からかなりの抵抗がありましたが、普通財産たる集会所は質問はあっても、さしたる紛糾していません。当局も曖昧に回答してごまかした訳です。
そうなりますと、到底3割削減目標は達成できず、計画は掛け声倒れに終わってしまします。しかも、廃止に関し地元の強烈な反対があったところは、政治的判断で継続し、計画に忠実に廃止を受け入れた地区は正直者が馬鹿を見る結果になってしまいます。廃止を受け入れるとは、無償譲渡もその選択肢の一つではあります。
一方、この計画素案は今年12月から来年1月にかけて、パブリックコメントを募集するスケジュールになっていますが、普通財産の集会所の存在については、市民は恐らく気付かないでしょうから、これが抜け落ちていることの指摘はないと容易に推察されます。そうなったら、ほぼこのまま計画が策定されることになります。パブリックコメントと言ってもアリバイ作りで、過去の例を見ても、微修正しか行われないからに他なりません。
ということは、パブリックコメントに出す前段階で、追加修正をする必要があるのです。具体的には、
- 普通財産の位置付けの明確化
- 個別の普通財産の廃止年限を記述
この2点に尽きます。
私は、来る12月定例会での一般質問において、この問題を糺して参る所存です。