Facebook 2020.11.24
プロポーザルというのは提案型公募のことで、通常の公共事業発注では入札による価格競争が原則なるも、それに適さない場合、市が定めた仕様書に基づき、企業から提案して価格を含めその内容を競うもので、地方自治法における随意契約の一形態とされています。場合によっては価格提案を度外視して評価する場合もあり得ます。
呉市は入札の場合、契約課に集約して発注しますが、随意契約は各担当課に任せていたため、以前は手法がばらばらでした。
例えば平成28年度にプロポーザル実施された「呉氏」誕生となったシティ・プロモーション業務委託では、(株)電通西日本広島支社が最高点を獲得し随意契約へ移行しましたが、その評価点数を事後公表しませんでした。その代わり選定委員会名簿は事後公表したのです。それに対して、同年度にプロポーザル実施された補助対象の民間放課後児童会では、(株)エピックが最高点で優先交渉権者になりましたが、選定委員会名簿は事後も非公表でした。
ところが過去には、斎場PFI(民間資金活用事業)や大和ミュージアム展示物制作業務をプロポーザルした際は、全評価項目における獲得点数が公表されたことがありました。或いは介護保険事業計画に基づく介護保険施設やサーブス誘致のプロポーザルでも、全評価点数を公表して来た経緯があります。
ここで問題になるのは2点あります。第一は、各部署がその手法において統一性がないということです。第二は、プロポーザル方式の随意契約というのは、地方自治法施行令第167条の2第1項第2号、即ち「入札に適さない場合」に該当します。入札であれば、単純に価格評価のみなので、条件範囲内であれば安価な提案をした企業が落札しますので、誰の目にもその決定理由が明らかです。
これに比べプロポーザルは、価格以外に例えば経営の安定性とか、過去の公共実績とか、地元への貢献とか、複数の評価項目毎に点数評価し、その総合獲得点数で競う訳です。つまり、提案者の中で最低価格を提案し、価格評価で最高点を獲得しても、他の評価項目で逆転される場合が多々ある訳です。であれば、何故この企業提案が最優秀なのか、誰の目にも分かるように透明性を確保することは当然です。もしそれを曖昧にしたまま契約すれば、出来レースとか、裏で取り引きがあったのではないかと、疑われる材料を与えることになるからです。
そこで私は、これら2点を克服するため、契約課に対し、マニュアルの作成を要請。その結果、昨年8月23日に「プロポーザル方式の実施に関するガイドライン」が策定されました。因みにこのようなガイドラインを策定している市町は殆ど見ないそうです。
但し、これはまだ曖昧な点を残しており、煮え切らない内容に留まっています。
先ず選定委員会の設置に関しては、外部有識者の採用検討まではよかったのですが、これを事後公表する点が欠落しています。選定委員を公募段階から明示することは、裏交渉の恐れが出て来ますので、当然事後公表となります。同種のプロポーザル案件が年度内にある場合は、非公開でも構わないと思いますが、そうでない単発公募の場合は原則事故公表するべきです。非公開の場合はその理由を示すよう、ガイドラインに明記すべきだったでしょう。
次に、結果の公表についてです。ガイドラインには「審査結果は評価項目別の点数も公表するよう努める」とし、努力義務となっています。勿論次点者移行はB社、C社と代名詞でよいとも記述していますので、低評価だった企業のイメージダウンには繋がりません。 ただこの努力義務が問題で、これは「公表する」と義務化すべきです。そうしなければ選考過程の透明性が確保されず、何故この企業と随意契約を行ったのか、その理由が不明となるからに他なりません。価格競争ではないのですから、項目別の評価点数と合計点数をセットで公表することが発注者たる行政の責務と言えましょう。
この努力義務故に、今年度行われたプロポーザルでは、悉く総合評価点数のみが公表されるに留まってしまったのです。
具体的には、
- 情報通信基盤整備助成(民間の光通信回線)→NTT(株)広島支店を代表とするJV(共同企業体)
- 市立学校通信ネットワーク環境施設整備業務(WiFi)→(株)協和エクシオ中国支店
- 市立小中学校タブレット端末等導入事業(オンライン授業化)→(株)協和エクシオ中国支店
です。これらはいずれも総合得点しか公表していないため、努力義務を怠っていることになります。勿論これらに対し、正当な理由説明は当局からは得られませんでした。
加えて、選定委員会名簿は全て非公表です。実際は呉市ICT担当顧問を含み全員内部登用だったことが私の追求で判明しています。外部委員を入れるのは経費が嵩みはしますが、公平性を担保する上である程度必要ではないかと考えています。
結局これでは、市民目線での疑いを払拭し切れないばかりでなく、応募業者にとっても、自社提案のどこが足りなかったのか反省して次回に臨むにしても、その手立てがありません。
去る6月に公募された呉駅南2街区市有地利活用についても、11月当初、やはり総合点数のみ公表されました。そこで私が、ガイドラインに沿っていないではないかと指摘した結果、当局は反省し、早速各評価項目毎の得点数と選定委員名簿を遅ればせながらも公表しました。具体的には(株)レクレが最低基準点を満たし、優勢交渉権者となった次第です。
この場合は応募者が1者だった訳ですが、その後に同じ管財課がプロポーザル実施した旧早瀬小学校跡地活用においても、評価項目毎に採点を公表しました。
ただ、この場合は応募者が1者だった訳ですが、その後に同じ管財課が発表した旧早瀬小学校跡地活用では、4者が応募したものの、優先交渉権者のみ項目毎の得点公表に留まりました。他の応募者を代名詞で得点を公表するよう務めるというのが、ガイドラインに記載されている内容ですので、やはり不完全です。
一方公共施設の指定管理者の選定過程は、これらプロポーザルと実によく似ています。
これは地方自治法で定められていることから、議案提出する際は議案資料に、各項目毎の評価点数が掲載され、選定委員会名簿まで丁寧に記載されているのです。応募者が独自の工夫を行う提案をするのも、正にプロポーザルそのものと言っていいでしょう。
ということから私は、指定管理者選定手法をモデルに、それに沿った形でのガイドラインの改定を要請したところです。しかしこれには後ろ向きの回答があり、引き続き主張して行く所存です。