街頭演説集

第267回 政治家同士の献金授受や企業・団体献金を完全禁止せよ!

Facebook 2020.12.17

 去る12月14日は267回目の街頭演説。肌を突き刺すような寒さと闘うこととなりました。テーマは政治とカネについてです。

 公職選挙法の買収で起訴された河井案里被告に対し、去る12月15日、東京地裁において検察側が懲役1年6ヶ月を求刑。年明けにも判決が下される見通しとなりました。自身の選挙戦勝利のため夫・克行元法相と結託して、票をお金で買った大規模な贈収賄事件です。
 これに伴い、安芸大田町長、三原市長、安芸高田市長、府中町議会議員、北広島町議会議長、安芸高田市議会の3議員が辞職に追い込まれています。加えて呉市議会と江田島市議会では、議員辞職勧告決議が採択されています。
 また、某広島県議会議員は河井陣営のみならず、溝手陣営からも収支報告書に記載はあるも政治献金を受けていたことが判明。更にその県議(けんぎ)は、自らが過去参院選に出馬した際に溝手氏側にヤミ献金をしていた嫌疑(けんぎ)もかけられました。
 更には、河井克行代議士に資金援助していた福山市に本社を置く鶏卵生産会社「アキタフーズ」を検察が家宅捜索。その関連で、同グループ元代表が当時の吉川貴盛農相に大臣室で500万円の賄賂を手渡したことが、最近表面化しました。これは政治資金規正法に基づく収支報告書に未記載であったことから、違法献金となります。この賄賂の趣旨は、アニマルウェルフェア(動物福祉)の国際基準から逃れたいことと、経営不振に陥った際に損失補償する「鶏卵生産者経営安定対策事業」の制度化を望む鶏卵業界の意向を代弁していたとされました。
 その後、西川公也元農水相もアキタフーズ側から接待や数百万円のヤミ献金を受けていた疑惑も発覚。これらに端を発して、献金を受領していた農水族議員の名前が次々と上がっており、河井疑惑から発展して鶏卵疑獄に発展しそうな勢いです。
 また、カジノを中心に据える統合型リゾート、即ちIRを巡る誘致合戦に関係して、当時のIR担当副大臣だった秋元司代議士が中国企業「500ドットコム」側から接待やヤミ献金を受けていた疑いで逮捕されました。他にも5名の族議員がヤミ献金を受けたとされています。
 そのほか、昨年発覚した首相主催の「桜を見る会」の疑惑が最近再燃。前夜祭のパーティーで、平成27年から令和元年までの5年間に、会費と懇親会経費との差額、合計約900万円を安倍晋三後援会が負担していたことが判明。後援会代表の安倍氏公設第1秘書が事情聴取を受け、立件化に向け加速しています。これは安倍氏側が地元有権者に寄附をした形となり買収に相当。しかもこのことについて、安倍当時首相は国会で噓の答弁をした疑いが持たれているのです。
 この様に、芋づる式でどんどん政界と業界や企業との癒着構造が暴露されつつあり、その勢いは留まる所を知りません。

 では、何故政治とカネに纏わる問題がいつの時代にも渦巻いているのでしょうか?
 以前、リクリート事件やゼネコン疑惑で政治とカネの問題がクローズアップされた際、自民党は有権者の離反を防ぐために、政治改革法案を提出しました。
 その中で根幹を成すものが、平成6年度に施行された政党助成法だったのです。これは、政治と企業・団体との癒着を断ち切るために、政治家への企業・団体からの献金を禁止する政治資金規正法改正とセットでした。即ち、政治家へは個人献金のみ可能とし、企業・団体から禁止される献金の穴埋めをするために、公費(コーヒ)から国民一人コーヒー1配分250円の血税負担することを容認したのでした。
 ところが、これは見事に国民を欺いた内容だったのです。何故ならこれらの法律には大きな抜け道がありました。
 具体的にはこうです。某企業からは○○代議士後援会に政治献金は禁じられたけれども、○○代議士が支部長を務める△△党支部や、○○代議士が代表を務める政治資金管理団体には、企業・団体献金を合法としたのです。しかも△△支部からは同じ選挙区内であっても○○代議士後援会に寄付が可能ですから、結局は企業・団体献金は政党支部を迂回して、これまで通り政治家後援会に入るという仕組みだったのです。
 しかも、政党支部と政治家後援会の職員は同じ人物が兼務していることが多く、どちらの責任者も事実上同じ国会議員ですから、事実上一体なのです。正に国民の目を欺いたザル法と言えましょう。
 ということは、公費から政党本部を通じて政党交付金をもらい、企業・団体からは相変わらずこれまで通り献金が入るのですから、二重取りとなり、政治改革法制定以前より増して、政治家にお金が集まるシステムを構築したことになるのです。
 加えて政治資金パーティーにおいて、政治家個人の後援会が堂々と企業・団体からお金を集められるシステムを確立しました。つまりパーティー券なら、企業・団体に販売できるというもので、事実上の企業・団体献金なのです。
 例えば、或る企業が2万円のパーティー券を50枚、100万円で購入したとしましょう。企業の社長は100万円を寄附したことと同じです。しかも50枚の内、2枚を従業員に渡し、社長命令でパーティーに参加させます。これは2万円で有権者を買収したことになり、公職選挙法違反になりますが、このことで立件されたことは全くありません。正に野放しの状態です。
 更に、或る政治家後援会が2千万円分のパーティー件を売ったとします。その収支は政治資金規正法に基づき選挙管理委員会に報告が義務づけられていますが、1千万円の収入として不実記載しても、チェックは不可能なのです。このケースでは、実際の収入との差額1千万円は裏口座に回され、それがヤミガネの原資になる訳です。この典型が、平成17年、当時の広島県知事・藤田雄山後援会が県議会議長からの裏の要請を受け、15名の県議会議員にヤミ献金を配った事件です。その原資はパーティー券収入の裏口座が使われました。

 結局ここで問題になるのは、政治家は有権者に対しては寄附を禁じられていますが、同一選挙区内の政治家の後援会に対しては可能だということなのです。但し、政治資金規正法に基づき、そのやりとりを双方が記載した収支報告書を提出すれば問題ないのです。
 ところが選挙に出馬しようとする政治家は、献金相手の政治家といっても自らの有権者ですから表に出ては困るため、領収証発行を求めず、受領した政治家も違法なお金と知りつつ、自身の後援会の収支報告書には記載しない訳です。これをヤミ献金というのです。河井夫妻による政治家や後援会幹部への買収事件が正にこれでした。
 では寄附を受領した側が、正直に政治資金収支報告書に記載したらどうかと言っても、寄附をした側がそれを載せていないのですから、ミスマッチが生じるのです。それで、領収証発行を求められなかった受領側が、あうんの呼吸でヤミ処理することになるのです。 そこで河井夫妻は一貫して、買収目的ではなく、直前に挙行された統一地方選挙勝利の当選祝いとか、陣中見舞いとか、通常の政治活動への支援金であるとか口実をつけて、無罪を主張しているのです。
 検察側としては、単なる収支報告未記載による政治資金規正法違反に終わってしまっては、人材を総動員した意味がありませんから、これを公職選挙法違反の買収事件として立証したい訳です。そのためには被買収側の殆どが、

  1. 違法なヤミ献金
  2. 参院選への協力依頼

との2点の認識を裁判で証人として証言してもらう必要があります。このため、被買収者を立件しないことを条件に、上記2点を証言させようと画策した可能性が極めて高いのです。
 そもそも公職選挙法では贈収賄に関し、買収者と被買収者双方が罰せられることを想定しています。買収側のみを立件して、被買収側は不問に付すのは不公平であるし、法治制度を軽んじるものです。
 この様なことまでして、河井夫妻を罪に貶めようとしているのは、現行法が実態に即していないからに他なりません。私は、選挙区内であれば、政治家同士の金銭やりとりそのものを禁止すべきと訴えています。そうすれば、第2の河井事件への大きな抑制力になりますし、もしそのような事件が起こっても、検察は堂々と買収、被買収の双方を立件でき、裁判で処罰することが可能になるからです。
 実は、この度の河井夫妻の選挙に係る買収事件は、ほんの氷山の一角にしか過ぎません。今後このようなことを繰り返さないためにも、私が主張する趣旨に沿った、公職選挙法及び政治資金規正法を改正すべきなのです。

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