Facebook 2021.1.18
これは、呉駅の裏側を土地区画整理事業を行い、呉市が当時の国鉄清算事業団から政策誘導目的で購入した土地を20年前に公募を行ったことが発端です。結果、㈱辻硝子による事業用20年定期借地に加え、スポーツセンターとカフェ、回転寿司、焼き肉店を誘致する案が採用されました。但し、スポーツセンターとカフェは、計画通りに誘致が進まず、車両用品量販店「イエローハット」とカラオケ店「ビッグエコー」が各々テナントビルの1階と2階を借りています。その他は当初の計画通り、回転寿司は「寿司鮮」、焼き肉店は「大福」がテナント入居しています。
土地を購入することも選択肢としてありましたが、当時の借地借家法の最長年である事業用20年定期借地の手法を応募者たる同社が選んだ訳です。
この様な状況下で、賃借契約満期を令和3年10月31日に控え、呉市は昨年6月24日に再公募の公告を行いました。4,230㎡の土地で、最低賃料は月額226万4千円というものです。
既存契約では、辻硝子は満期終了までに、更地変換しなければならず、解体費用等大きな財政負担を強いられます。テナント事業者も、そうなると出て行かねばならず、転居費用が嵩みます。建物を解体せずに済ませるためには、辻硝子が再度応募して最優先交渉権を勝ち取るか、新たな応募者が、既存建物を継承する契約を辻硝子と締結するしかありません。
しかも、この度の募集要項には、購入や借地借家法改正による最長50年までの事業用借地の選択肢が与えられず、あくまで10年間の事業用定期借地しか認めていないのです。これでは、新規事業者が応募するには、あまりにも不効率で、うまみがありません。
これは市長が呉駅周辺地域総合開発基本計画において、駅前広場とそごう再整備に続き、第2期計画に呉駅南地区を位置付けていることで、呉市の自由度を担保しておきたいとの思惑が滲んでいます。
当初令和2年10月初旬に、最優先交渉権者をプレゼンテーションにより、選定委員会にかけて決定する予定でした。ところが、コロナ禍により審査が遅れ、11月9日にまでずれ込みました。
結果的に(株)レクレ1社しか応募がなく、市内部6人の選定委員の平均点が、100点満点中最低ラインの60点をクリア、即ち67.5点を獲得し、同社と契約を締結することになったのです。
実は、(株)レクレの社長は㈱辻硝子社長の息子に当たり、文字通り親子会社です。ですから、既存建物を取り壊す必要はなく、息子の会社に事業をスムーズに継承(けいしょう)できるという訳です。これでは出来レースと言われても仕方ないと警鐘(けいしょう)を鳴らさざるを得ません。
この様に、既存契約者の関連会社しか応募がなく、競争原理が全く働かなかったのは、10年定期借地しか認めないという市長の意向にありました。正に時代にそぐわない呉駅周辺地域総合開発を強引に押し進めようとするその手法がたたったものと言えます。
行政というのは、公正な競争のための環境を整備し、公募条件を整える責務がある訳で、この度の公募結果は、非常に後味が悪いものとなりました。
私は昨年9月定例会での一般質問で、この問題を採り上げました。
レクレビルが建つ3街区では、令和7年10月22日で、大和システムの事業継承者オリックスのと20年定期借地が満期となります。その時も同じ要件で公募するのか質したところ、その後の経過を見て手法を検討するということです。その際私は、売却や事業用長期定期借地も選択肢に入れ、幅広く事業者を募るべきと訴えました。