街頭演説集

第277回 コロナ禍での広島県内飲食店救済制度の矛盾を指摘!

Facebook 2021.2.23

 昨日2月22日は、277回目の街頭演説。テーマは「頑張る飲食業者応援事業」についてです。
 これは広島県の独自政策で、国から緊急事態宣言対象に指定されなかったことで、昨年12月12日から一昨日2月21日までを集中対策期間とし、3度延長し、4期に分けました。
 宣言指定されれば、飲食店に対し、国から休業・時短協力金を満額支給されましたが、その代替策として広島県では、1期間毎に感染拡大防止協力支援金として、休業または時短要請に応じた飲食店に各々38万円、28万円を支給していました。
 ところがそれでは、広島市以外の飲食店は対象にならなかったため、大いに不満が漂っていたのです。
 そこで広島県知事は、去る2月4日に臨時議会を招集し、新型コロナ対策に係る補正予算を議決してもらい、その中の目玉の一つが「頑張る飲食業者応援事業」だったのです。これは、県の集中対策機関における休業・時短要請対象外、即ち広島市以外の飲食店に対し、一律30万円の支給する内容です。
 但しこれには条件ががあり、昨年12月または今年1月の売り上げが、対前年度比30%以上減を証明しなければなりません。それから、県の「新型コロナウイルス感染症対策取組宣言店」に登録し、且つアクリル板やパーテーション等を設置していることが主な内容です。加えて宅配専門業者を除く飲食店、いわゆる飲食業1類若しくは3類営業認可が対象です。

 ここで問題なのは、その財源です。30万円の内20万円を県が負担し、その財源は全額国からの交付金を充てました。残り10万円は市町村が負担せよというのです。各市町村はこの時期、新年度予算に向け既に新型コロナ対策事業を組んでいました。従って、この各店舗10万円に係る予算措置は講じていなかったのです。
 各市町の新型コロナ対策は、国からの地方創生臨時交付金を充てて予算編成しますから、急なことになり、財源の工面に苦しむ自治体も出て来たでしょう。また三次市では、既に飲食店への予算を新年度に計上編成していましたので、それを合わせると、1店舗当たり30万円を超えることになるようです。
 呉市では、県議会の補正予算成立を受けて、急遽新年度予算編成に組み込み、8,300万円の計上を急遽間に合わせました。但し、これは昨日2月22日に予算議案として議会に提出され、本会議での議決は来る3月9日となります。
 ところが、この応援給付金の受付は、広島県が2月15日開始とし、3月19日までとして設定したのです。確かに飲食店を早急に支援するため受付を早くするのは十分理解できますが、呉市を初めとする多くの市町では、予算の裏付けがないままに、この制度がスタートすることになったのです。これは地方自治の観点から、議会軽視になります。
 理屈を申し上げますと、万一呉市議会で本予算が否決されたとします。そうなっても、県からは20万円が支給されますが、呉市は支給できませんので、呉市内飲食店は20万円しか受け取れず、他の市町では予算が可決されたので30万円受け取れることになり、不公平が出て来るのです。不満を爆発させた呉市内飲食店は、この責任を当然呉市議会に向けるのは火を見るよりも明らかです。マスコミも飛びついて報道するに違いありません。
 議会人として当然それを恐れますので、予算を否決することは事実上できないことになります。つまり予算計上段階から、議会の選択肢が事実上可決せざるをえない状況に狭められていることになります。
  地方自治法では、議会を招集する余裕がなき緊急事態の場合、市長が専決処分をして予算執行できる規程があります。これは後に招集された議会で追認することが必要ですが、承認されなかったらどうなるのかは自治法に書かれていません。つまり、政策的議論の余地がない場合に、専決処分できるのが通例です。
 ところが、この度は三次市の様に市独自で飲食店への支援金を予算計上していたとか、その予算そのものの費用対効果の検証とか、政策的に議論する余地があるものは、専決処分にふさわしくありません。
 となれば、呉市長がこの2月15日受付に間に合わせるよう、緊急に臨時議会を招集すべきだったと考えます。恐らく事前に議長に説明し、了解を得たものと容易に推察されますが、議長としても、臨時会招集を市長に強く要請すべきだったと考えます。

 一方、各飲食店において、アクリル板を設置するだけでも10万円はかかることから、これまで設置していなかった店舗は、30万円の応援給付を受けるため、改めてそれらを購入することになります。
 その際、県はその受け皿の補助制度として、昨年12月10日に受付をスタートした「飲食店パーテーション設置促進補助金」を使うよう促しました。これは購入費に応じ10段階で補助金を交付する制度で、最大10万円となっています。これから設置を予定する店舗でも頑張る飲食業応援給付の対象になります。
 ところが、既に自費で設置していた場合や、県の「飲食店新型コロナ予防対策補助金」を使ってアクリル板やバーテーションを設置している店舗は、追加で設置する場所がない居酒屋やスナックの様な小規模店舗では、この補助制度はもう使えません。
 この予防対策補助金は、広島県が国による「GoToイート」の受け皿として昨年9月8日に受付をスタートしたもので、パーテーション設置等飛沫感染予防対策は勿論のこと、非接触体温計やサーモカメラ、足踏み式消毒液スタンド等接触感染予防対策や、換気扇、サーキュレーター等換気感染予防対策にも使えたのです。
 この制度も、パーテーション設置補助同様10段階で、最大10万円の補助枠となっています。ということは先行実施した予防対策補助金を使って、例えばサーキュレーター設置に10万円を支給された店舗は、新たなパーテーション補助を使ってアクリル板を設置し10万円の支給を受けることができ、合計20万円が受けられることになります。
 対して、早くから感染症対策に真面目に取り組み、予防対策補助金メニューの内、一番に例示されていたアクリル板等を設置していた店舗は、サーキュレーター設置には補助金は給付されず、合計10万円で打ち止めになるということがこの度判明しました。
 これは、県による後出しジャンケンの結果、正に「正直店舗が馬鹿を見た」ことになってしまいます。つまり、県の補助制度に設計段階から制度矛盾があったと言えます。
 因みにこれら両制度共に、当初の申請締め切り日は2月26日でしたが、2月4日の県議会臨時会での予算繰越議決を経て4月16日まで延長されました。
 私はこれらの矛盾を指摘するため、県の食品生活衛生課に電話で現場の実情を直訴、制度の見直しを要求しました。具体的にはパーテーション設置補助金を、既に自費なり、予防対策補助で設置済みの店舗においては、他の予防対策にも使えるようにする内容です。
 このことを受け、庁内で急遽相談したそうですが、既に決定した制度設計は変えられないとの結論に至ったということです。
 机上で制度設計し、それを実効に移した際、歪みや不公平が生じた場合、制度設計を変更することは、呉市でも私の指摘により行ったことがあります。それにより補助対象が広がり、予算枠をもし超えるようなことがあれば、他の余剰金の流用や予備費を使って補填することが可能です。
 県は現場の飲食店の声に真摯に耳を傾け、実態に即した補助制度を執行するべきなのです。

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