街頭演説集

第282回 呉市の民間温浴施設「汐音」の再活用を全国公募で!

Facebook 2021.3.30

 本日3月29日は282回目の街頭演説。テーマは、温浴施設「汐音(しおん)」の閉店についてです。
 呉市の音戸の瀬戸公園内に立地している民間温浴施設「汐音」は、3月30日を以て、10年間の営業実績に幕を閉じます。これは新型コロナの影響が止めを刺したものと容易に推察されます。

 先ずは、この施設設置の経緯から説明致しましょう。
 昭和36年に本土と倉橋島音戸町を繋ぐ架橋「音戸大橋」が供用開始となった以降、当時呉市の観光施策として、呉市交通局が音戸の瀬戸公園内に国民宿舎「音戸ロッジ」を建設し、直接経営していました。
 ところが、施設の老朽化が進むにつれ赤字経営に陥り、末期は宿泊稼働率が25%に陥り、平成20年度に事業を廃止し、呉市が解体撤去しました。累積赤字15億円は、市民の血税で10年間に亘って返済することになったのです。
 その後平成22年に、公園敷地が国有地から市有地として移管され、その前年に解体跡地にプロポーザルで民設民営の温浴宿泊施設を誘致しようとしましたが、100室の宿泊を伴う仕様が採算が合わないとして、応募者がありませんでした。そこで、宿泊施設に拘らない仕様でプロポーザルを仕切り直した結果、㈱共和産商と底地の占用許可契約を締結したのでした。
 それには呉市が掘削した温泉の無償提供や、駐車場部分の使用料は公園駐車場との位置付けで免除する優遇策を採りました。建物の直接の底地のみ使用料を徴収することとし、それは年額70万5千円です。
 施設も温泉法ではなく公衆浴場法に位置付け、県内統一料金の400円(現在は450円に県が料金改定)にし、露天風呂とサウナのオプション料金を平日700円、土日祝日800円に設定しました。よって、入湯税の納付義務はない訳です。そうは言っても、露天風呂部分には温泉を利用します。
 ロケーションは抜群で、眼下には音戸大橋に加え、平成25年に供用開始となった第2音戸大橋も見下ろせます。
 また眼下の音戸の瀬戸は、平清盛の日招き伝説があり、NHK大河ドラマ「平清盛」の時NHKが番組の宣伝用に製作した清盛像も施設内設置しており、正に呉市にとって観光名所の一つと言えましょう。
 土地の占有許可に係る契約期間は、平成22年度から令和元年度までの10年間で、令和2年度は暫定1年間延長していたのでした。それはコロナの収束を睨んでのことだったと思われますが、それが見通せないため、今年度末で閉鎖することを同社が決断したのです。
 契約を解除するには、建物を解体撤去した上での更地返還となっており、令和3年度の解体に係る期間に関しては、暫定的に契約期間を更新し、案分で使用料を徴収することとなります。
 昨日、見納めに同施設を訪れましたが、1階奥にあった喫茶・軽食スペースは既に閉鎖されていました。2階に温浴施設、3階に観光客をターゲットにした食事処があり、閉店間際の最後の日曜日とあって、満席でした。

 このまま、築後10年しか経っていない建物を解体するにはもったいないし、その後が続かなければ、音戸の瀬戸公園や高烏台、双子の音戸央橋といった呉市の観光資源が泣いてしまいます。
 呉市は、大和ミュージアムやてつのくじら館を中心に、合併後の安芸灘多島美等を活かした観光振興に力を入れようと、現在呉市観光振興計画を策定中ですので、それに背を向けるようなことは避けたい訳です。
 そこで私は、現建物を解体せず活用する提案を、当局に行ったところです。
 具体的には、現在の建物をそのまま活用する事業者を新たに全国公募するのです。共和産商と調整を図り、採用企業に対し建物を寄附して頂くのです。そうすれば、共和産商としても、解体費用が浮きますから寧ろありがたい話となります。しかも、寄附が決定するまでは、土地の使用料を免除する訳です。引き受け手が見つからなかった場合のみ、解体撤去を要請するのが最後の手段となります。
 応募企業としても、建物を無償譲渡されることでイニシャルコスト回収が不要となりますので、大いに有利と言えます。建物の未利用が長引けばそれほど、駆体が傷んで行きますので、公募を早急に実施することが肝要です。

 一方汐音のすぐ近くで、やはり国有地を市有地に移管された公園用地に、観光ハウスが建っています。これも音戸大橋供用後の昭和38年頃、呉市観光協会が軽食・土産店として建設しました。音戸大橋観光の一環として、呉市が土地使用料を免除しており、占用許可は1年毎の契約更新としていました。営業時期は毎年桜とつつじが咲き乱れる3~5月となっていました。
 ところが西日本豪雨災害を受けた平成30年度以降は、建物も老朽化したこともあって、営業が停止したままとなっていたのです。
 用途が終了した場合、これも更地返還する契約となっていましたが、呉市観光協会が再三に亘る呉市の要請に従わず、解体しないまま丸3年が経過しました。
 汐音には契約遵守で解体撤去を要請し、方や観光ハウスの解体撤去が進まないのは、甚だ不公平となります。よって、この機にこの問題に決着をつけるべきです。最悪の場合、平成30年度以降の土地使用料を損害賠償の訴額として、訴訟を起こすことも視野に入れるべきでしょう。
 またこの度、観光ハウスの真下で、音戸大橋のすぐそばに立地していた「グリル音戸大橋」を呉市が解体撤去しました。この建物は、音戸大橋が供用され有料だった時期に、広島県道路公社の料金所だったものです。
 同橋が日本道路公団から広島県に移管された際、県が供用開始後12年余りで無料化したため、不要となった料金所を呉市が購入したのでした。それをやはり観光協会に無償貸与していましたが、これも平成30年度以降使われていませんでした。老朽化したため、この度の解体に踏み切ったものです。
 因みに隣接の駐車場とトイレば呉市有施設であり、駐車場の底地は県管理国道の一部、グリル音戸大橋の跡地とトイレ用地は、呉市所有の公園用地となっています。
 この辺りはつつじが季節に咲き乱れ、目の前に音戸大橋、すぐ近くに第2音戸大橋が眺望でき、観光ハウスの土地と共にロケーションは抜群です。汐音の活用策が決まり、観光施策が波に乗った暁には、これらの土地の有効利用も視野に入れていければよいと考えています。

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