街頭演説集

第281回 呉市人権啓発費、新年度から地区人推協交付金が公平に!

Facebook 2021.3.25

 去る3月22日は281回目の街頭演説。テーマは、人権啓発推進についです。

 呉市は令和2年度における人権啓発推進費の予算を、対前年度比63万8千円増の1,111万9千円を計上しました。
 人権啓発は、法務省による同和対策の根拠だった地域改善対策財政特別措置法が、平成13年度末を以て廃止されたことに伴い、それに代わって人権教育を行政、地域一体となって進めているものです。
 呉市においては、その根拠法がなくなった平成14年度から地区自治会連合会単位に、地区人権教育・啓発推進協議会(人推協)を起ち上げ、その各事務局を本庁各課が担当しています。こうすることで、地域住民だけでなく、行政職員も関与させることができるためです。
 因みに人推協には、地区内の自治会長、女性会長、民生委員児童委員協議会(民児協)会長、PTA会長、学校長等に加え、地区内在住呉市管理職も充て職で役員に任命されます。
 また、その連合体として、前身の呉市同和教育推進協議会を発展させる形で、呉市人権教育・啓発推進協議会(人推連)として組織化し、その事務局を本庁の人権・男女共同参画課が担っています。
 平成13年3月、14年3月、15年3月と3回に亘って周辺8町と合併した際、一部の合併町は独自施策として人権啓発映画を、地区住民に対し上映していました。合併協議段階において、各町を地区自治会連合会と位置付けると同時に、旧市内と同様、人推協を起ち上げ、8町を含めた人推連に拡大しようとしました。
 その際、一部の合併町から人権啓発映画上映を継続して欲しいとの強い要望が出たため、一足早く呉市に編入合併した下蒲刈町を除く7町において、人権啓発映画上映を予算化したのでした。下蒲刈町が外された経緯は今となっては定かではありませんが、上映会の必要性を主張されなかったか、同町合併時には地対財特法が有効機能していたことと関係があるかも知れません。
 1地区につき上映費が15万円かかりますから、呉市は7地区分で105万円を毎年度別途予算化していたのです。ところが、旧市内における人推協には上映会はありませんので、不公平が内在することになったのです。このことは議会に一切説明はなく、伏せられたままでした。これを私が、平成29年に開催された決算特別委員会で暴露したのです。差別をなくそうとする部署が、合併町をなだめるため、逆に差別を生んでいたとは皮肉な結果です。
 私はこれらの不公平是正を議会で何度も訴えた結果、令和3年度より映画上映は廃止されることとなりました。
 ただいきなりでは反発を受けますので、先ずは暫定措置として、令和元年度と2年度は、合併7町を3地区に分けることで7箇所を3箇所に縮小しました。具体的には、安芸灘4町、川尻・安浦町、音戸・倉橋町の3地区です。上映会場として、2年度は元年度に行っていない町で実施するという手法です。このため、両年度は17万円の上映費の3地区分で、51万円に予算を縮減できた訳です。そして令和3年度はこれがゼロとなり、映画に関してはようやく公平化を実現できました。

 一方、この人権施策は呉市としての責務であるにも関わらず、(社福)呉市社会福祉協議会(市社協)から永年の慣習として、人推連や一部の人推協に限定して補助金が交付されていたのです。具体的には旧市内の市民センターのない中央地域9地区にのみ毎年度2万円です。
 これを財源に、例えば不肖が充て職で会長を務める第四地区人権教育・啓発推進協議会では、人推連が年1度主催する「人権の集い」の500円の参加券を自治会長分を中心に22枚購入し1万1千円を支出。残りの9千円で、年2度開催する人権研修会に支出し、丁度収支がトントンとなっていました。
 ところが、市内に28地区ありますので、残る19地区、即ち市民センターのある地区と合併町地区に対しては、市社協からの補助はなかったのです。ということは、19地区の活動経費は、同じ市民部が交付するゆめづくり地域交付金が充てられていたと推察されます。これは私が第四地区自治連会長に就任の充て職で市社協評議員になったことで、この実態が分かり、これも不公平であると市社協に対し検討を要請していました。
 そこで市社協会が過去の経緯を調べましたが、それが解る職員が存在せず、不明のままとなっています。この9地区人推協への合計18万円の支出は、地区間で不公平であり、到底評議員を納得させるだけの説明ができないといいます。
 加えて、市社協は人推連に対して、これも慣習的に毎年度18万円を交付していたことが、この度判明しました。これも過去の経緯は不明です。これも、市の人権施策に対して、市社協が交付する理由は立ち難いとしています。
 そこで市社協は呉市と水面下で交渉し、令和3年度から7年度まで、9地区人推協への補助金を各地区1万円の計9万円に減額することにしました。令和8年度からはゼロとなります。また、人推連への補助金18万円は新年度から支出せず、他への有効支出に回すこととしました。

 それを受け呉市でも、令和3年度から市社協への補助18万円分を振り替わり一般財源を使って推連へ支出することに方針転換。28地区へは各地区平等に1万円ずつ28万円を人推連を通じて分配することしました。その様な意味から合計46万円を初めて人推連に補助支出するスキームができ上がったのです。呉市は一切説明しませんでしたので、先の予算委員会で私が、初めてこの経緯と枠組みに関する答弁を引き出したのです。
 さて、旧市内で市民センターを有しない中央地域9地区においては、暫定5年間は経過措置として、2万円の収入が1万円に減額されることになります。そこでその代替策として、人推協に「人権を考える集い」の参加券を購入してもらうシステムを廃止することにします。女性会や民児協も参加券を各々独自に購入させられていましたので、併せて朗報となります。
 これは遠方より知名度のある人を講師に呼ぶことで、その経費を捻出するために行っていました。具体的には、平成30年度に料理研究家・コウ ケンテツ、令和元年度は西川ヘレンです。
 ところが、令和2年度の人権の集いは、初めて参加券購入を不要としたのです。新型コロナの影響で、会場の新日本造機ホールにおいてソーシャルディスタンスを行い動員を抑制すると共に、他自治体の人権担当者を講師に招き、講師謝金を浮かせたことによります。具体的には、山口県人権啓発センター事務局長による講演となりました。令和3年度以降も、この方式で行事展開していく方針とのことでした。
 いずれに致しましても、市社協は余計な支出を省くことができ、人推協28地区間の不公平は、映画上映会と公的補助金の有無という二つの不公平が完全に是正されることになったのです。

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