2022.12.21
本事業は、広島県が6億円の原油価格物価高騰等中小企業支援緊急対策事業補助金を、県内全市町に対し人口割で案分配分した呉市分3,080万円を活用し、不足分に対し、市民の血税5,319万円を充当するものです。
これにより、全国から呉市を訪れる旅行者に対し、宿泊費と飲食、土産物に対するクーポン券を各々千円ずつ支給するものです。支給期間は、3月12日から4月29日までと決定しました。
因みに、県内で同様の施策を展開しているのは、竹原市、広島市、福山市、三次市となります。但し、広島市、福山市、三次市は、国から交付された新型コロナ対応地方創生臨時交付金を活用します。
この新たな制度導入により、全国から少しでも呉市への観光客を増やそうという狙い自体を否定するものではありません。問題は、対象をワクチンパスポート・パッケージを条件設定したことです。
これは併用するgo to トラベルから移行した広島県による全国旅行支援割「やっぱ広島じゃ割」と同じ条件設定となっていることを、谷本議員が前日15日の予算特別委員会で、白日の下に晒し追及しました。
つまり、ワクチン未接種者は「じゃ割」を含め、利用できないことになります。これは令和3年12月2日、谷本自然共生党代表がワクチンパスポート反対嘆願書の発起人の一人として、内閣官房に対し廃止を要請したことと逆行する愚策となります。
具体的には、じゃ割を利用するための条件として、コロナワクチン接種を3回以上か、PCR検査若しくは抗原検査の陰性証明書が必要となっています。ワクチン接種の条件を満たさない者には、PCRと抗原定性検査は3日前以内、抗原定量検査は1日前の陰性結果を提出しなければなりません。となりますと、旅行代理店を通じて呉市内の旅行を申し込んでいたとしても、直前になって本人が検査を怠るか、気付いても間に合わなかった場合は、ドタキャンになってしまいます。これでは本人はおろか、旅行会社や宿泊先にも多大な迷惑をかけることになりかねません。
何よりも増して、ワクチン未接種者への見せしめ政策になっていることが、予防接種法で定める新型コロナワクチン接種は努力義務ではあるが、任意であることを踏みにじる格好になり、露骨な接種誘導策と言えましょう。
また、接種を拒否した人が検査を受けるとしても、PCRはCt値35で偽陽性率97%だったと米国医師会が研究発表していますし、抗原検査はこれ以上に精度が悪いと言われているのです。このため、ワクチン接種を拒否する人で、検査をも拒否する場合が非常に多い訳です。ましてや検査も任意であるし、受けるにしても無料の大規模PCR検査は予約が必要となりますし、それが間に合わねば自己負担となりますから、じゃ割制度そのものが破綻しています。そもそも憲法14条の法の下の平等に違反する可能性を秘めているのです。
このじゃ割と併用するため、この度の呉市観光割も同様の条件を付したのです。実は、これは呉市独自の制度ですので、ワクチン未接種者がじゃ割を活用できなくても、呉市割は活用できるよう、ワクチンパスポート・パッケージは条件に入れないことを選択できたはずなのです。それを旅行業者が煩雑になるとの表向き理由から、県のイエスマンになっていることは、言語道断です。
一方、併用条件となっている広島県の「じゃ割」は、12月27日までの現行制度では、宿泊交通費補助限度額8千円の4割補助にクーポン券が平日3千円、休日千円となっています。その後一旦休止を経て翌年1月10日から再開し、宿泊交通費補助限度額5千円の2割補助にクーポン券が平日2千円、休日千円となります。
元々じゃ割の前身である広島県の割引制度は、導入当初、県内移動だけを対象にしていましたが、途中から中国地方まで拡大した経緯があります。昨年は利用における不公平はありませんでしたが、令和4年1月から知事が突如、対象をワクパス・パッケージを条件に加えた経緯がありました。恐らく全国的にもそうなっているものと推察しています。
このような姑息な手段でのワクチン接種誘導策を呉市が独自制度といいつつ、それを踏襲したことには、主体性のなさ、県の顔色伺いと共に、ワクチン差別そのものを助長することになるのです。