街頭演説集

第310回 グリーンピアの売却を渋った呉市が血税投入を迫られる!

2023.1.16

 本日1月16日は、310回目の街頭演説。テーマは、グリーンピアせとうちの指定管理についてです。

20230116グリーンピアせとうちの指定管理

 指定管理とは公設民営の一形態です。この度は、呉市が所有する100万坪の土地にある宿泊施設を中心としたプールやテニス場等の附帯施設を、一括管理委託する手法です。
 現在は、一般財団法人「休暇村協会」(旧休暇村サービス)と指定管理協定を締結しており、これが令和5年3月31日までの非公募による暫定3ヶ年となっていました。何故暫定かと言いますと、この間に売却の手法を固め公募する、との触れ込みだったからです。

20230116グリーンピアせとうちの指定管理
20230116グリーンピアせとうちの指定管理

 そこで、協会が前指定管理者の(株)ゆうとぴあセトウチの後を受けて、暫定1年7ヶ月で非公募による指定管理を受けた際、呉市は平成元年にサウンディング型市場調査を実施しました。
 その際4者から提案があり、

  1. 病院や老人ホームを兼ねての宿泊を中心とした一括購入
  2. 宿泊施設のみ部分購入
  3. 指定管理継続
  4. 新提案での指定管理

だったのです。呉市が満足の行く提案がなかったことから、令和2年度から4年度まで、新たに非公募で暫定3年間の指定管理期間を設定していたのでした。
 私は、指定管理期間の暫定3年間延長が長過ぎるとして疑問視。当時令和元年12月定例会において、売却方針に変更がない旨の答弁を現市長から引き出しておりました。にも関わらず、再度の市場調査を行うと議会に説明していたことを翻すかの如く、一切それを行いませんでした。
 そればかりか、来年度から新たに3ヶ年の指定管理を公募したのをみますと、市長は売却する方針に変更はないというのは名ばかりで、実際は指定管理をだらだら継続していると言われても仕方ありません。
 ところが、昨年10月5日に公募を開始し、11月4日の締め切り日まで、1者も応募がなかったのです。実績のある現行の休暇村協会でさえ応募しませんでした。その理由は、コロナ禍により、直近2年間に赤字を出しており、コロナの収束が見えない現段階では、安定した経営を続けることは困難であるということなのです。
 しかもこの度のコロナ禍においては、特別に指定管理者支援金を呉市は給付しています。但し、計画収益から減じた分の1/2を補填しますので、全く計画通りに行かず悪影響が大きかったため、黒字転換できなかったと推察されます。
  そうは言っても呉市として、来年度からグリーンピアせとうちが閉館になっては、多大な悪影響を及ぼすことは必定。委託料たる指定管理料を呉市が支払った上で、休暇村に暫定1年間の継続指定管理をお願いすることになりました。現在は、指定管理料の額を巡って交渉中です。

20230116グリーンピアせとうちの指定管理
20230116グリーンピアせとうちの指定管理

 ところでグリーンピアせとうちは、呉市が国の外郭団体たる年金資金運用基金と広島県から購入。平成17年10月から公募で(株)ゆうとぴあセトウチと指定管理協定を締結して来ました。当初は固定資産税を納税したと仮定した場合の指定管理者負担金3,200万円に加え、私が提案した、収益の10%を呉市に納付する契約となっていました。最初の5年半の指定管理期間は黒字、第2期指定管理期間の5年間は赤字に転落し、徐々に経営が厳しくなって来ました。
 このため、平成28年度から29年度までを暫定2ヶ年の非公募によるゆうとぴあセトウチが指定管理を継続しつつ、しかも負担金納付を免除することにしたのです。
  私は平成28年12月定例会で、グリーンピアの今後の問題を提起し、売却転換を提唱した経緯があります。それに対し、当時の前市長の前向きな答弁を返したのが発端となっていました。

 一方、売却への転換が何故望ましいかと申しますと、下記利点があるからです。

  1. 企業が施設を所有するため、経営計画や計画修繕、更に設備投資をすることができる。
  2. 民間に所有権を移譲するため、これまでの公費による大規模修繕が不要となる。
  3. 指定管理料を毎年度公費支出する必要が全くない。

 実際平成27年12月、兵庫県が所有するグリーンピア三木を民間に売却し、「ネストリゾート神戸」として再生復活。これまでなかったバーベキュー場やコテージを新設し、プールに目玉設備を設置し、既存のトンネルを活用してのイルミネーションロードを布設しました。
 つまり、呉市も早期に決断し売却しておけば、コロナ禍前だったのでよかった訳です。それを現市長が判断を鈍らせたことで、結局は市民の血税を使うはめに追い込まれたのです。
 政治家は棋士と同様、先を読む洞察力と視野を全体に拡げる大局観がないと務まらないことが実証された格好です。

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