街頭演説集

第309回 子ども置き去り防止機器、見守りタグの不公平を見抜け!

2023.1.14

 去る1月10日は、通算309回目の街頭演説。テーマは、子どもの安全装置導入についてです。

20230114子どもの安全装置導入

 呉市は昨年12月議会に補正予算を提出。その中に2,898万円の送迎バス等安全装置導入を予算化しました。
 この背景には、昨年9月、静岡県牧之原市内において、認定こども園送迎バス内に置き去りにされた女児が死亡するという事件を受け、政府が関係府省会議を開き、再発防止対策のための緊急対策をまとめたことにあります。具体的には、幼稚園等の全国の送迎バス約4万4000台を対象に、令和5年4月から子どもの置き去りを防ぐ安全装置の設置を義務付けたのです。

20230114子どもの安全装置導入

 この中のメインは、送迎用バス等の子ども置き去り防止機器導入です。いわゆる安全装置です。対象は児童発達支援や放課後児童デイサービス事業者、私立保育所や認定こども園、小規模保育事業所、民間放課後児童会、市立小中学校が委託している送迎バスやジャンボタクシーです。委託先には、機器を貸与することになります。
 未就学児対象のバスは義務付けになることから全額国庫補助となります。
 しかしながら、これへの直接の法的根拠はありません。児童福祉法第21条の5等に基づき、児童福祉施設設備運営基準が11月30日に省令改正はされはしました。ところがその内容たるや、県条例や市町村条例、政府発出政令に基づき定めるようになっています。
 省令で省庁が自由に義務付けすることは、行政の裁量権を逸脱している可能性があります。そもそも、義務付けを官僚主導で自由にできることは立法権をおざなりにしていると言われても仕方ないでしょう。しかも同法による呉市条例はまだ改正もされていないのです。ここに大きな疑問が残りました。

20230114子どもの安全装置導入

 これに対し、就学児は義務付けはないのです。自分で判断できる能力が備わっているから当然でしょう。ところが小中学校送迎バスでは、義務付けではないために、半額国庫補助を活用しています。つまり、一般財源を使おうというのです。
 中学生に安全装置がいるのかと言いますと、呉市合併町の送迎バスやジャンボタクシーには、児童生徒数が少ないため、小中学生が一緒に乗っていることによります。
 因みにこの安全装置は、バス車内で置き去りになっている児童がいないか、運転士に点検を促す仕組みになっています。就学児が置き去りにされるというのは、先ず考え難いですし、児童は自らの危険予知能力を備えるよう教育するのが本来の姿です。しかも運転士の安全配慮が、機器を導入することで却っておろそかになるというデメリットさえあると考えます。
 ということは、未就学児なら義務付けなら仕方ないにしても、義務付けではない就学児への安全装置を市民の血税を使ってまで導入することは、大いに疑問な訳です。

20230114子どもの安全装置導入

 ところが、民間放課後児童会は小学生が対象にも関わらず、全額国庫補助であることにも政府の縦割行政の矛盾を露呈しています。何故なら学校の所管は文科省、学童保育の所管は厚労省だからです。今回の施設節義運営基準はあくまで厚労省所管の児童福祉法の省令改正だからです。同じ小学生にも関わらず、学校は安全装置の設置義務がなく1/2補助、学童保育は義務ではないにも関わらず全額補助というのは、そもそも制度の破綻を意味しています。

 更に民間放課後児童会の送迎バスは、学校送迎バスと同様、GPSで位置確認が可能な子どもの見守りタグは配布しません。これは国が3/5、市が1/5、事業者負担が1/5あることに加え、対象が小学生だからです。
 児童会において、全額国庫補助だから安全装置は付け、呉市負担が生じるから見守りタグは付けないという、姿勢も頂けません。考え方が本末転倒しているからです。
 また、未就学児の保育園等や児童発達支援、放課後児童デイサービスには見守りタグを配布するとのことでした。

20230114子どもの安全装置導入

 となりますと、民間経営の保育所や認定こども園、幼稚園には通園児童への見守りタグ配布に公費を支出し、市立保育所通園児童には見守りタグは配布しないことになり、制度的不公平感が生じる訳です。
 これらの背景には、安全装置関連業者の利権もちらついているのを見過ごしてはならないと考えます。

タイトルとURLをコピーしました