街頭演説集

第314回 大長ブランドを救え!フェリー航路廃止取下げへの交渉術

2023.2.18

 去る2月14日は、314回目の街頭演説。テーマは小長(おちょう)~明石フェリー航路の廃止についてです。この日も、東京から駆けつけた自然共生党役員の母子が手伝いました。

20230218小長~明石フェリー航路の廃止について

 さて2月13日、呉市議会総合交通対策特別委員会が招集。しまなみ海運(株)が、来る5月末を以て同航路を廃止する旨を、昨年12月1日に中国運輸局に届け出たことが報告されました。
 小長港は呉市の大崎下島にあります。同島内の住民が隣の大崎上島町にある明石港を利用して出作にてみかんやレモンを作っています。これが全国ブランドたる「大長みかん」です。そこで収穫した柑橘をトラックで運び、大崎下島の自宅にて家族ぐるみで第1次選果を行い、最終的には、同島内の大長にあるJA広島ゆたかの選果場で最終選別を行い、出荷されます。

20230218小長~明石フェリー航路の廃止について

 大崎上島には最終選果場がないため、同島在住農家も大崎下島の選果場を経て出荷の運びとなるのです。その出荷量の割合は、呉市と大崎上島町が7:3となっています。
 つまり、フェリー航路の廃止により、影響を受ける呉市の農家は約50戸ですが、大崎上島町の柑橘農家も打撃を受けるのです。加えて通勤では、呉市と大崎上島町とを合わせ40人弱。通学となると、呉市から大崎上島町にある呉商業高等専門学校へ10人弱がいるといいます。但し、大崎下島の小長港の近くにある大長港からは、明石港に向けて高速艇が出ており、便数が減るものの、利用料は大人片道20円安く、人の輸送には大きな影響はありません。

20230218小長~明石フェリー航路の廃止について

 但し、車載輸送となりますとそうはいきません。代替ルートとして、

  1. 明石港~竹原港(または安芸津港)までフェリー~陸路で安芸灘大橋~大崎下島という迂回ルートがあり、75分間の時間的ロスに加え、安芸灘大橋通行料を含め、コスト増
  2. 明石港~大三島~岡村島までフェリー→陸路で大崎下島のいわゆる「ブルーライン」があるものの、40分間の時間的ロスとコスト増

となります。
 これに対する呉市農林水産課による補助金支援策は考えられるものの、現在は、新たな業者を探しているところです。

 そこで、しまなみ海運が航路廃止するに至った経緯について説明します。
 元々この航路は別業者が運航していましたが、撤退により現在の企業が平成22年度から運航しています。その際、赤字分を呉市が5%の利潤を上乗せした上で補填することとし、それに対し、県が一部を補助するという図式でした。
 具体的には、平成22年度は1,800万円を呉市が負担、県が90万4千円を補助しました。その後利用客減少により、令和3年度は呉市が3,900万円を負担、県が911万円を補助したということです。
 因みに、竹原~明石~大長の航路の赤字補填は、大崎上島町が行う棲み分け方式となっていました。
 この度は、しまなみ海運が小長~明石フェリー航路に係る人件費を中心とする一般管理費だけではなく、6事業全体での一般管理費を経費に含むよう、呉市に要望して来たのでした。
 この6事業とは、

  1. 小長~明石間フェリー航路
  2. の他に

  3. 小長港の切符売り場事業
  4. 竹原~明石~大長間航路
  5. 屋形船(観光船)
  6. 廃船工事業
  7. 回漕業

です。これまでは、本社に纏わる経費としての一般管理費として、小長~明石航路分を案分していたのを、全体に被せてくれば、呉市に大きな負担増となるばかりか、呉市とは無関係の人件費に対し、血税を使うことになりかねねず、呉市が同社提案を拒否した訳です。

 私は同委員会において、しまなみ海運が大崎上島町にはどのような提案をしたのかを問い質しました。驚いたことに、同様の提案は同町に対してしていなかったことが判明。これでは呉市だけが負担増を強いられることになります。この疑問点は、今後の交渉材料になります。
 それを踏まえ、6事業中、小長港の切符売り場事業は、小長~明石航路事業の一環であるため、これへの人件費を案分負担することは呉市として理屈に合っているのではないかということです。つまり、あくまでも呉市に直結する事業の範囲で、赤字を補填するのは理にかなっています。つまり、この点が妥協線だと思うのです。
 その際、待合所を含む建物は広島県が所有しており、しまなみ海運が賃借料を県に納付しています。これを減免できないかも、県と交渉する必要があるでしょう。

20230218小長~明石フェリー航路の廃止について

 更には、大崎上島の集荷場にて第1次選果をした柑橘類をJA広島ゆたかがフェリーで大崎下島の選果場にトラック輸送していました。つまり、JAも直接航路サービスを享受していたことになります。実際平成30年度までは赤字分の10%をJAが負担して来た経緯があり、それを復活することも鍵を握っています。

20230218小長~明石フェリー航路の廃止について

 ということで、再交渉するに当たっては、呉市、広島県、大崎上島町、JA広島ゆたか、しまなみ海運がしっかり協議することが重要だと考えています。その際、廃止届を取り下げるには2ヶ月間の事務手続きが必要であることから、5月末の廃止を撤回するには、3月末がタイムリミットとなっており、早急に進める必要があります。勿論並行して、中国運輸局や中国旅客船協会と連携し新規事業者を探すことも忘れてはなりません。

小長明石航路について(2023.2.13)

小長明石航路について - 令和5年2月13日総合交通対策特別委員会
令和5年 総合交通対策特別委員会(2月13日) 呉市の大崎下島(豊町)と大崎上島町を結ぶフェリー航路「小長~明石航路」が令和5年5月末を以て廃止すると、現在の運航会社「しまなみ海運(株)」が中国運輸局に届け出を出しました。これにより、「大長みかん」や「大長レモン」に多大な悪影響を及ぼします。谷本議員は経緯に係る問...

大長ブランドを救え!~フェリー航路廃止の危機~(2023.2.14)

第314回街頭演説 大長ブランドを救え!~フェリー航路廃止の危機~ 2023.2.14
2023.2.14における呉駅前街頭演説です。 大崎下島と大崎上島を連結するフェリー航路が廃止の危機にさらされています。 大長みかんやレモンのブランドを絶やさないための、船会社との交渉術を谷本呉市議が提案しました。
タイトルとURLをコピーしました