街頭演説集

第315回 呉市「県民の浜」指定管理、第3セクター初敗北の余波!

2023.2.27

 去る2月20日は、315回目の街頭演説。テーマは、「県民の浜」指定管理の余波と教訓についてです。

20230227「県民の浜」指定管理の余波と教訓

 県民の浜は、県立宿泊施設である「輝きの館」に加え、呉市立たる「かまがり天体観測館」、「かまがり海と島の工作館」、「コテージかまがり」、かまがり温泉「やすらぎの館」、「B&G海洋センター」の合計6施設があります。この度呉市長が提案した議案は、これらを令和5年度から9年度まで5年間を一括指定管理するものです。

20230227「県民の浜」指定管理の余波と教訓
20230227「県民の浜」指定管理の余波と教訓
20230227「県民の浜」指定管理の余波と教訓
20230227「県民の浜」指定管理の余波と教訓
20230227「県民の浜」指定管理の余波と教訓
20230227「県民の浜」指定管理の余波と教訓
20230227「県民の浜」指定管理の余波と教訓

 元々県有施設と呉市有施設は別々に指定管理者公募をし、期間も不一致でしたが、私の提案で、平成30年度から県有施設を含め、呉市が一括公募することになりました。この方が効率的だし、応募企業にも配慮できるからです。
 過去の指定管理協定は、呉市有施設の場合全て公募でしたが、(株)県民の浜しか応募がありませんでした。県有施設においても全て公募。平成17年度から順に3年間が2回連続、続いて5年間、2年間の各指定管理期間において、各々3者、4者、1者、2者が応募したものの、全て(株)県民の浜が指定管理者に選定されて来た経緯があります。
 つまり、県有宿泊施設に関してはやりがいのある、単独黒字が大幅に見込めたことにより、競争原理が働いたものと推察しています。しかしながら、第3セクターたる(株)県民の浜が独占受注していたことになります。

 同社は、蒲刈町が平成17年度から呉市に編入合併する1年前の平成16年度当初に設立し、初代社長は当時の蒲刈町長が就任されています。ある意味では、合併後に職を失う当時の町長の天下り先としての、無報酬なる名誉職を作った感は否めません。当時、蒲刈町が48%の1,200万円を出資し、町民が52%の1,300万円、計2,500万円の資本金となりました。
 因みに一株5万円で114名の町民が株主となられました。それだけ地元町民の熱い思い入れがある会社とも言えましょう。しかも定款では、県民の浜各施設を管理運営することを謳っていますので、正にそのためだけに設立した会社なのです。従って、指定管理者から漏れることはあってはならなかったのです。
 但し、他の参入意欲を見せた会社と比較して有利な材料がありました。それは(株)県民の浜の本拠地事務所、即ち登記簿が県有施設たる「輝きの館」にあったからです。他の会社が参入しようとすれば、どうしても本社に纏わる経費たる一般管理費がかかって来ます。それに対して、登記簿が同施設内に最初からあるため、一般管理費が大きく削減され、それだけ有利となるのです。
 これは呉市が出捐する他の公益財団法人たる呉市文化振興財団、呉市体育振興財団、野呂観光開発公社、安浦町生涯学習財団、蘭島文化振興財団にも同様のことが言えます。これらは全て呉市有施設に事務所・登記簿を置いていて、指定管理者公募の際、有利になっているのです。これは私が以前から指摘している課題の一つです。
 さて公募の結果は、ビルックス・JTB共同企業体が76.0点。(株)県民の浜の71.5点を抑え、優先交渉権者に選定されました。因みにこの両者は、大和ミュージアムと入船山記念館の指定管理を担う運営グループを構成する4者の内の2者で、運営実績があります。特にJTBは大手旅行会社ですので、修学旅行以外にも全国からの誘客や、大和ミュージアム来観客への誘導にも期待がかかるところです。

 一方、(株)県民の浜が落選したことで、同社に勤務する地元住民を新たな指定管理者たるJVが再雇用するための希望者面談が先に行われました。
 そこで、雇用条件が悪化することが新たな問題として急浮上したのです。即ち、月給においては人材や部門によって差異を付けるというのです。具体的には現状維持、5万円削減、10万円削減、12万円削減と4段階に分けて減額されます。そればかりかボーナスはこれまで3ヶ月分だったのが、初年度たる令和5年度はゼロというではありませんか。加えて早朝・夜勤のパート勤務の場合、時給1,050円から一律広島県最低賃金に近い950円を提示しておられます。
 これに関しては、大きな疑問が残ります。労働基準法では夜10時から翌早朝5時までの勤務は通常勤務の1.25倍と定めているからです。現状の広島県最低賃金の時給単価は930円ですので、それを踏襲しても1,163円となります。それが950円になるというのは、そもそもおかしい訳です。これについては、今後精査して参る所存です。
 また、(株)県民の浜の支配人は無期契約となっていたということです。これも実態に即しておらず、指定管理期間に合わせた有期雇用契約を締結するべきでしょう。半永久的に第3セクターとして指定管理を続けられるものと、あぐらをかいていた証左とも言えましょう。
 加えて、海水浴場へのサメ避け防護ネット設置に係り、地元漁業協同組合と平成27年度から令和6年度まで10年間の契約を結んでいたことも判明しました。広島県条例に基づいて、海面使用許可を得るには、漁業権を設定している漁協の同意が必要となっています。そこで漁業保証料として、年330万円を(株)県民の浜が漁協に支払っていたとのことです。
 これも、指定管理期間の5年間での契約を締結するべきだったでしょう。今後は漁協、(株)県民の浜、ビルックス・JTBが、残された2年間を整理するために協議に入るものと思われます。

 では、(株)県民の浜は今後どうなるのでしょうか?会社を存続させるためには、たちまち拠点事務所が「輝きの館」から追い出されるため、登記移転をしなければなりません。
 しかも営業を継続せず、収益が出なくても、法人県民税や法人市民税の均等割、ひろしまの森づくり県民税は毎年賦課されます。具体的には、資本金2,500万円、従業員数50名以下と仮定しますと、年間182,500円、穴があく5年間で912,500円がかかって来ます。定款により他に事業がありませんので、この負担は非常に大きい訳です。
 幸いにも、累積損益はないとの答弁ですので、解散すると仮定した場合、加配の上で株券精算し、呉市の持ち株分は呉市への新たな歳入となります。
 今後の焦点は、継続再被雇用者の人件費や雇用形態に加え、(株)県民の浜の存続可否に写って参ります。特に前者においては深刻な問題ですが、呉市が民々契約に直接関わることはできません。しかしながら、労働基準法を逸脱しないよう目を光らせ、必要によっては指導することがあってもいいと考えています。

第315回街頭演説「県民の浜」指定管理公募 第3セクターが初敗北!(2023.2.20)

第315回街頭演説 「県民の浜」指定管理公募 第3セクターが初敗北! 2023.2.20
2023.2.20における呉駅前街頭演説です。 呉市の蒲刈島にある観光施設「県民の浜」の指定管理者を決める公募において、第3セクターである㈱県民の浜が、初めて敗北を喫する結果となりました。この会社は蒲刈町が呉市に編入合併する際に、町長の天下り先として設立され、登記簿は公共施設内にあるといういわく付きです。 相手は...
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