2023.3.4
さて、この日のテーマは児童館の在り方と放課後児童会・子ども教室一体型モデル事業についてです。
児童館は、子どもが自由に遊びに訪れる居場所空間で、呉市内には現在僅か3箇所。合併時点では豊町にも1箇所ありましたが、既に閉館しています。
旧呉市において、何故3箇所しかないのかと申しますと、過去厚労省の補助金を活用して建設し、その後補助制度がなくなったため、建設をして来なかった事情があるのです。
その3箇所とは、宮原、大坪谷、二川(ふたかわ)です。この内の一つ、二川児童館を今年度末を以て休館すると、呉市は去る11月の呉市議会民生委員会で発表しました。理由は老朽化が進み、耐震基準もIS値が僅か0.09しかありません。0.7未満で倒壊の可能性が高いということです。近年建物の壁が剥離し落下しており、大変危険な状況です。
実は、呉市が令和3年3月に策定した公共施設に係る個別施設計画によると、集会施設は、築後50年を経過した時点で廃止するとしています。老人集会所がその主な施設ですが、児童館もそれに漏れません。ところが地元に説明する段階で大紛糾したため、計画案を修正し、廃止時期未定にしたのです。曖昧にした政治的配慮と言えましょう。
実際、この二川児童館は築後54年を経過しており、本来なら廃止施設です。それを休館という形でお茶を濁し、児童館条例の改正議案も出さないというのです。と言いつつも、地元団体が無償譲渡を受けるなら歓迎という姿勢は、事実上の廃止と言えましょう。
本音は指定管理を受けている呉市社会福祉協議会が、老朽化のため修繕費が嵩むと苦情を訴えたことで、呉市は廃止予定施設に対し、これ以上の抜本修繕はできないことから、指定管理期間2年間を残して休館を決定した訳です。
これに対しては、地元自治会やPTAから反発や反対請願が提出されました。否決はされましたが、致し方ないことでしょう。
と申しますのも、放課後の居場所づくりとしての鍵っ子対策として、厚労省の放課後児童健全育成事業(学童保育)があり、呉市は全市域で放課後児童会を運営しています。これは有料です。ところが児童館は無料なため、夕方5時までと言えども、パート勤務のご家庭の児童が利用できる実態があり、児童館のある地区は選択肢が広がり、しかも無料で預けられることで、他の地区と比べて甚だ不公平な状況が継続していたことを見逃してはなりません。
一方、呉市は今年度予算に、文科省補助事業である放課後児童会・子ども教室一体化モデル事業の3年間の債務負担行為を予算化しています。これは令和5年度から6年度まで2ヶ年にかけて、市内2箇所でモデル実施をして、成果を確認しようとするものです。
週2回、各2時間程度業者委託して、子どもの遊びや研修をサポートするのです。学校内の余裕教室を活用し、参加費は無料です。つまり放課後児童会の会員児童も、その日はそちらを利用する選択肢が増えることになります。
ここで問題なのは、受益者負担がなく、全て公金を投入することで、受益者負担のある放課後児童会の鍵っ子も放課後児童会対象外の児童も利用できます。となりますと、放課後児童会で血税を投入していることと重複し、税金の無駄遣いになることです。
しかも市内僅か2箇所ですから、これを全市域に公平に展開すると大きな税負担が生じることです。しかもこの補助事業はいつまで継続するか分かりません。いずれ文科省補助が廃止されると、全額市民の血税を投じることになりかねません。
更に、過去やはり文科省事業だった放課後子ども教室を市内2箇所、即ち昭和西と音戸町で開設しましたが、いずれも続かず、廃止となった苦い体験があるのです。これは地元老人クラブにボランティアで運営してもらったことで、世話人の負担が大きく、続きませんでした。
それをこの度は血税を投じて業者に委託しようとする訳です。その2箇所の内、1箇所を二川児童館休館への代替措置として、地元の両城小学校が選定されたのです。正に、地元の反発を和らげる政治的配慮は明かです。
結論として、児童館廃止を築後50年と、老人集荷所と同様にし、廃止後は旧公民館たるまちづくりセンターに児童館機能を付与して、市域全体の子どもの居場所づくりとしての公平化を図るべきというのが私の主張です。つまり、ハードからソフトへの転換を図ることが鍵を握っているのです。
二川児童館は小高い位置にあり、駐車場もなく不便ですが、同地区にある二川まちづくりセンターを活用することが今後の方向性と言えるでしょう。
第316回街頭演説 児童館の不公平を解消しソフト事業への転換を！(2023.2.27)
