街頭演説集

2023.12.20「第350回街頭演説 グリーンピア売却!呉市長の決断遅滞が損失を拡大」追加

2023.12.18

 谷本呉市議が唯一人訴え続けたグリーンピア売却が実現!
 昨12月18日は、350回目の街頭演説。テーマは、久々に呉市の事案となるグリーンピアせとうちの売却決定についてです。

 先ず「グリーンピア」というのは、国民の厚生年金保険料を原資にそれを国の特別会計で運用し、利益を得る目的で、バブル期の1980年から特殊法人たる年金福祉事業団が全国に13箇所を建設した大規模年金保養基地(施設)です。
 ところが、バブルがはじけて以降軒並み経営が悪化。「4,000億円もの年金財源が消えた!」と、過去大問題になりました。
 これを受けた当時の橋本政権が、事業団を2001年に年金資金運用基金に改組。その後森政権時に廃止を決定し、小泉政権の構造改革に絡めて、廃止を断行しました。そこから、2005年までに激安で各地元自自体に売却した経緯があります。
 呉市においては1985年、編入合併前の安浦町に、グリーンピア安浦が135億円で建設され、同事業団が運営委託経営していたものの、国の方針に沿って、2005年に呉市が4億250万円で購入。その内、337万㎡(102万坪)の底地評価額である2億2,400万円を、広島県が補助しました。
 当時私は、第3セクター経営で失敗した呉ポートピアランドや直営により経営赤字に追い込まれた国民宿舎「音戸ロッジ」の二の舞になるとして、購入に反対。ところが小笠原市長は、合併協議に入っていた安浦町の条件を受け入れ、購入在りきで事を進めたのです。つまり私は、安価で購入したはいいが、その後の経営において足枷になるリスクを主張したのでした。
 結局、公設民営である指定管理者制度を導入して、㈱アルファ・ビラが急遽設立した小会社である㈱ユートピアせとうちがその任を受け、呉市と指定管理協定を締結。その任に当たることになり、「グリーンピアせとうち」と名称変更した上て、経営を再開しました。2005年10月のことでした。

 当時呉市は、固定資産税と同額の3,200万円を指定管理者負担金として、毎年度納付することを第1条件にしていました。これに私が、利益の1割を呉市に追加負担する案を提唱。交渉段階で、それが受け入れられた経緯があります。
 第1期指定管理期間の5年半は、黒字経営となり、その利益は内部留保として、親会社であるアルファー・ビラが吸い上げたようです。ところが第2期指定管理期間の5年間は、経営が徐々に悪化し、赤字に転落してしまいました。
 2016年12月定例会で私は、「グリーンピアせとうちの一括売却」を提唱。当時の小村市長は、前向きな答弁をし、その方向で事が進められ、当時の担当職員も、私が視察したグリーンピア三木を兵庫県が地元民間企業に売却し、「ネスタリゾート神戸」として再生復活した現場を後追いで視察したり、検討を重ねたのです。

 ところが、2018年秋の市長選挙で、新原政権が誕生。売却方針をトーンダウンさせ、売却に拘らず、貸付、指定管理、PFI等様々な風呂敷を拡げて、様子見に転じたのです。
 その後は、指定管理者負担金を免除した上で、暫定指定管理を繰り返して来ました。途中でユートピアせとうちが呉市を訴え、呉市が協定を一方的解除したりして、大紛糾。その後、現在の一般財団法人休暇村協会(当初は㈱休暇村サービス)と指定管理協定を締結して来たのです。結局、コロナ禍に突入したこともあって、売却のチャンスを逃してしまいました。
 それでも新原市長は、休暇村協会との暫定指定管理が切れる2023年度以降も再度暫定3年間を設定し、公募で指定管理者を選定しようとしたのです。これで分かるように、ここでも決断できていなかった訳です。
 ところが、コロナ禍で大幅な赤字を抱えた休暇村協会が、その公募に手を挙げず、他の企業も見向きもしませんでした。そこで仕方なく、休暇村協会に頭を下げ、初の指定管理料5千万円を呉市が支払うこと、それでも赤字が出たら、呉市が補塡することを内々の条件として、暫定1年間の指定管理を依頼したのです。
 つまり2023年度中に、売却か長期貸し付けを条件とする公募型プロポーザルに踏み切らざるを得なくなるまで、追い詰められたのです。市場認識が非常に甘かったと言わざるを得ません。
 この結果、プロポーザルを2023年3~5月に実施。観光業を主軸とした地域振興拠点としての活用を条件として6月1日には、甲府市に本社を置く㈱シャトレーゼ・ホールディングスを優先交渉権者に選定。同社は、ホテルを含むセンター棟は全面活用して、宿泊事業経営を継続。敷地内にケーキ工場を建設する提案をしました。桟橋の対岸にある無人島柏島の活用策も今後探って行くようです。6月30日には、仮協定締結に漕ぎ着けたのです。

 因みに同社は元々食品メーカーですが、業種を拡大して現在の持ち株会社を設立。北海道夕張郡の温泉宿泊施設を買収し、経営再建に漕ぎ着けた実績を有しています。
 売却額は2億5千万円。準温泉施設である「お湯都ぴあ」やテニスコート、海水浴場併設プール等、全部で45棟の施設を含め、呉市が委託鑑定した不動産評価額は4億4,400万円でした。そこから、今後の継続運営に必要不可欠となる空調設備と浄化槽の修繕費、及び「こどもの国」遊具除却費を合わせた2億2,700万円を控除した2億1、700万円が、最低売却予定価格でした。
 ともあれ、長期貸し付けではなく、私が提唱していた一括売却で決着したこと、評価額より高い価格の提示があったことで、胸をなで下ろしています。私としては、呉市への政策提言が有終の美を飾り、実ったことになりました。
 また、万一経営が悪化したりした場合に、他への転売を10年間禁じ、買い戻し特約を設定しています。これも私が2016年度一般質問の際に、提案していたのでした。
 これらを受け、去る12月15日に招集された呉市議会本会議では、2025年4月1日におけるグリーンピアせとうち設置条例廃止案、及びシャトレーゼHDへの財産処分案が可決されました。

 一方で、私が平成28年に売却提唱した後も、呉市は指定管理者の意向を受け、バーベキュー棟を新設したり、プールや空調予備機の大幅改修を余儀なくされました。加えてコロナ禍における、指定管理者損失額の1/2を補塡するなど、呉市からの歳出が増加したことは否めません。

 最終的には、グリーンピアを呉市が取得した2005年10月から2022年度末までの17年半で、呉市歳入は9億2千万円。それに対し、歳出は、12億7千万円に膨らんだのです。ということは、差し引き3億5千万円は市民の血税を投入した格好となります。私が購入前に予想したことが現実となったのでした。

 しかも、購入時に広島県から受けた補助金は、民間売却したために、今後一部返還することになるのです。
 新原市長が2018年11月に就任した際、決断して売却公募していれば、ここまでの損失はなかったというのが、反省点であり、大きな汚点を残したと言えましょう。

第350回街頭演説 グリーンピア売却!呉市長の決断遅滞が損失を拡大(2023.12.18)

谷本誠一 第350回街頭演説 グリーンピア売却!呉市長の決断遅滞が損失を拡大 2023.12.18
国による厚生年金保険料運用の失敗で、4,000円億円が消失した、全国13基地の大規模保養施設「グリーンピア」。その煽りを受け呉市は、地元に建設されていた1基地である「グリーンピア安浦」を平成17年に買い取り、公設民営である指定管理者制度を活用して、継続経営して来ました。 ところが、それ自体に無理があり、谷本誠一呉...
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