街頭演説集

2024.1.22「第353回街頭演説 ポストコロナを見据すえた自治法改正は全体主義への道!」追加

2024.1.15

 本日1月22日は、353回目の街頭演説。テーマは、地方自治法改正についてです。
 去る1月17日、政府が来る1月26日招集予定の通常国会に、地方自治法改正案が上程されることが判明しました。

 これは、昨年12月21日に、首相の諮問機関たる第33次地方制度調査会が「ポストコロナ経済社会対応地方制度のあり方答申」を首相と総務相に提出したのを踏まえ、所管の総務省が地方自治法改正案策定に着手していたものです。

 その概要は、コロナ禍の経験を踏まえ、大規模災害やまん延する感染症が発生するような非常時において、政府の権限を強化する内容となっています。具体的には下記4点が挙げられます。

 ①個別法の規程がなくても、国が地方自治体に指示できる
 ②指示する場合は閣議決定が条件
 ③地方自治体に対し、指示に応じる義務を課す
 ④国が対処方針検討に際し、地方自治体に資料提出を要求できる
 つまり、「非常時」という建て前において、国が地方自治体の上位に来るというのです。しかしながら、非常時を一体誰がどのような基準で判定するのかと言いますと、政府の判断、医学パンデミックの場合は、WHOからの勧告を受けてのやはり政府の裁量となる訳です。
 ところで、戦後成立した憲法第92条で地方自治が位置付けられ、自治本来の趣旨に基づくことが謳われています。これは戦前の全体主義の反省を踏まえ、地方自治に自立性を持たせるものと解せられます。しかしながら、国が上位で地方自治体が下位であるかの如くの実態が長らく続いて来ました。その象徴が国の機関委任事務を地方自治体に課していたことです。
 そこで、1990年から地方分権改革がスタートし、1999年に地方分権一括法が成立。2000年4月1日から本格施行された経緯があるのです。これは475本の法律等改正を束ねるものでした。その中での中心は、何と言っても地方自治法改正で、第1条の2第2項には、地方自治体の自主性と自立性が明確に記述され、このことで、国と地方は対等であることが打ち出されたのです。
 それを受け、第2条第9項第1号は、国の機関委任事務が廃止され、本来国が行うべき事務を自治体に依頼する形の法定受託事務が明記されました。同様に第2号では、都道府県による市町村への法定受託事務が明記されたのです。
 コロナ禍に突入し、2020年12月2日には、コロナワクチン接種を国民の努力義務、国の接種勧奨によるものと位置付けた予防接種法改正が成立、12月9日から施行されました。その際第30条には、コロナワクチンの臨時接種事業は、全額国費負担となる、国から市町村への法定受託事務と位置付けられたのです。
 これとて、主体性のある市町村長が、ワクチン接種予算を編成しないと、都道府県知事からの指導を受け、それに従わない場合は、都道府県知事による行政代執行が行われることになっており、国と地方が対等というのには、尚疑問が残っていた訳です。
 ところが、この度地方自治法が改正されますと、非常時には国と地方は対等ではなくなり、中央集権体制になるのです。これがどの程度継続するかは、あくまで政府裁量のため、地方自治体の自主性と自立性は、その間完全に消失することは明白です。
 一方、今年5月に予定されているWHA(国際保健総会=WHO年次総会)では、パンデミック条約と国際保健規則(IHR)の大幅改正案が採択されようとしています。このことに関し、昨年12月6日の衆院厚労委員会で武見敬三厚労相は、前者は締約国に法的義務を負わせるものと本音を漏らし、締約国の2/3を必要とするため、その成立を困難視しました。しかし後者においては、WHOによる法執行能力の強化であるとし、1/2で成立することから、合意される見通しを答弁して見せたのです。
 また岸田首相は、自身の自民党総裁任期中に、改憲を成し遂げたいと意欲を表明しているため、最も早ければ、1月末からの通常国会で、衆参両院憲法審査会での与野党意見を集約し、改憲発議。今年6月の通常国会終了後、総裁任期の9月までに国民投票に持ち込むのではないかとも危惧されています。

 万一、これらが予定通り事が運ばなかったとしても、最低限地方自治法改正をしておけば、WHOが発出する医学パンデミックに対応できると、担保を取ろうとしていると推察しています。
 つまり、WHOによる国際的な公衆衛生上の緊急事態、いわゆる医学パンデミックがパンデミック条約やIHRが不成立、若しくは緊急事態条項を含む改憲が実現しなかったとしても、その代役を担わせようというのが、今回の地方自治法改正なのです。
 自然共生党と致しましては、国民世論の喚起と併せ、野党による徹底抵抗に期待するものです。

第353回街頭演説 全体主義に逆戻りの地方自治法改正を阻止せよ!(2024.1.22)

谷本誠一 第353回街頭演説 全体主義に逆戻りの地方自治法改正を阻止せよ! 2024.1.22
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