2024.3.11
本日3月18日は、359回目の街頭演説。テーマは、日本製鉄瀬戸内製作所呉地区の跡地活用についてです。
日新製鋼がまだ日本製鉄の子会社だった2020年2月、日本製鉄が高炉廃止、操業停止計画をを発表。2ヶ月後に日新製鋼は日本製鉄に吸収合併されました。その後2021年9月29日に高炉の完全停止、2年後の2023年9月14日に操業を全面停止し、72年の歴史に幕を閉じました。
その間、3,300人の従業員の内2/3は、全国に配置換え、1/3の1,100人は離職を余儀なくされ、内約9割が再就職を完了していました。
今後は、跡地をどうするのかに焦点が移り、呉市も広島県も新年度予算に、調査費を計上しています。
そのような状況下で、去る3月4日に防衛省職員が広島県と呉市を訪ね、今後、143ha、東京ドーム30個分の広大な敷地を防衛省が一括購入し、多機能複合防衛拠点にする構想を説明したのです。
これを受け、呉市長は去る3月11日に全議員で構成する議会協議会を招集し、防衛省官僚3名を招聘し、同省からの説明と質疑が行われたのでした。
防衛省が構想する3つの機能による跡地活用策は下記です。
①装備品の維持・整備、製造基盤(民間企業誘致を含む)
②防災拠点(ヘリポートや物資集積場)、
自衛隊の活動基盤(艦艇配備、訓練場)
③港湾機能(岸壁等の活用、乗員の休養施設整備)
ここで問題なったのは、火薬類取締法に係る火薬庫の整備についてです。これは、「まだ全く決まっていないが、検討課題ではある」と、防衛省地方協力局としては答弁をぼかしました。
実は電子ニュースでは、この内容が報道され、一部呉市民は警戒を強めています。それは、戦争に巻き込まれた際、巨大な軍事要塞として標的にされ、最も危険な施設だからです。共産党はこのことを全面に出し、反対目的の街宣を既に挙行しました。
実際Yahooニュースを見ますと、記事が削除されており、この点に触れなかった地元紙との違いが歴然で、防衛省からメディアに対し圧力がかかった可能性は否定できません。つまり、防衛省は確実に火薬庫を整備する腹づもりだとみます。
議会協議会でも、「防衛省が所有する火薬庫は全国に沢山あるが、過去一度も火災事故を起こしていない」と安全性に触れたからです。このことと敵の標的になることとは、別次元の問題です。
加えて、呉市広には既に米軍の黄幡弾薬庫があり、対岸にある江田島市の秋月弾薬敞が管理運営していることも忘れてはなりません。日米の違いはあるも、重複することになるからです。
また議員からは、病院船の母港としての整備要望が出ました。但し、我が国は戦後、防衛省が管理しての病院船の運航は皆無だっただけに、戦時ではない平時に災害対策として配備する必要性は得に感じません。防衛省も「全く考えていなかったが、意見を上司に伝える」と回答しました。
呉市としては、そごう撤退に続く大きな痛手であり、経済復興の視点から、防衛省が日本製鉄から敷地を一括購入して整備してくれるのはありがたい訳です。
そこで、軍事要塞化に歯止めをかけるために、現在中央桟橋付近に位置している海上自衛隊教育隊の広大な土地を民間に売却し、そこをマンションや工場群に転換することを条件に、交渉に臨むべきと考えます。今後は、呉市、広島県、防衛省、日本製鉄の4者協議を設置するということですので、市長は火薬庫整備を拒否しつつ、教育隊移転を条件に掲げるべきでしょう。
一方、現在の跡地は、戦時中に海軍工廠があった土地です。それを戦後、旧軍港4市たる横須賀市、舞鶴市、佐世保市、呉市が集まって、国有財産の処分を国に要望した経緯があります。その時呉市が提案した「旧軍港市転換法案」が採用され、1950年4月11日に国会で採択。特定の市に係る法律のため、憲法第95条に基づく地方自治法第261条により、各市で住民投票を実施し、呉市も9割の賛成票を獲得し、全市が一致して賛意でまとまったことから、同年6月28日に交付・施行されたのです。
これにより、我が呉市は「平和産業港湾都市」として生まれ変わりました。それが、防衛拠点施設になることは、法の趣旨と異なる部分も出て来る恐れが多分にあります。だからこそ、巨大な軍事要塞化には、一定の歯止めをかける必要があるのです。
実は、防衛省は今年度2023年度から2027年度までの防衛力整備5ヶ年計画で、合計43兆円の予算を見積もっています。その初年度たる今年度も、防衛力強化資金設置とそれへの繰入を含み、10兆1千億円もの予算を計上しているのです。
しかも、その財源を担保するため、昨年6月16日には、防衛財源確保法を強行採決。その直前の6月7日には、防衛生産基盤強化法を成立させ、民間防衛産業の支援策を講じることとしました。正にこれらが、今回の多機能複合防衛防衛拠点の財源と法的根拠を与えていたのです。特に民間防衛企業誘致においては、ここまで結論在りきで、法整備や整備計画を進めていたことが明白です。
また、防衛省が跡地を一括購入する際、解体・撤去費用に10年、100億円もかかると言われていますので、土地の評価額からの同費用の控除が適切に行われるよう、目を光らせておく必要があります。
我が国は憲法改正を睨み、日米合同委員会の指示の下で政策を打ち出しており、岸田政権は完全にイエスマンに成り下がっています。自民党改憲草案には、内閣総理大臣を指揮官とする国軍創設の条項が新設されていることを、決して忘れてはなりません。自然共生党としましては、呉市の再建・経済復興を前提としつつも、軍拡に歯止めをかけるべく、世論喚起に邁進して参る所存です。