街頭演説集

第136回 くれワンダーランド構想推進会議構成員の抽出

ワンダーランド構想会議構成員に市民を無作為抽出とは?

Facebook 2018.4.28

 去る4月23日は136回目の街頭演説。テーマは諮問機関の在り方についてです。
 呉市長は、自らが選挙戦で掲げたマニフェスト「くれワンダーランド構想」を具現化するため、新年度予算を使って4月末までに「くれワンダーランド構想推進会議」の構成員を決定すると、去る4月20日に表明しました。
 くれワンダーランド構想とは、5分野の事業を想定しています。即ち、①時代を先取る産業を創造②世界に誇れる交流都市への発展③女性と若者のチャレンジを支援④ワクワク島ライフ⑤市長退職金市民評価制度-です。
 この内産業創造分野では、既に去る4月18日に、呉市中小企業振興基本条例制定検討懇話会の初会合を持ちました。交流都市分野では、青山クラブの保存を前提に、耐震診断2千万円を新年度予算化したところです。
 また、ワンダーランド構想のコンセプトとして、「都会と変わらない、女性や若者がワクワク、イキイキできるまちになる」ため、3つのビジョンを掲げています。即ち①自然と調和した未来志向の「イキイキした呉」を構築②女性と若者のチャレンジ支援と時代を先取る産業の創造③世界に自慢できる交流都市への発展-を目指すとしています。この様にコンセプトと事業分野の種分けがごちゃごちゃになっていて、よく分かりませんが、この3つのコンセプトの基に、市長の諮問機関を設置して、意見を取りまとめようとするもので、具体性に欠けるマニフェストの肉付けを、血税を投じて有識者に丸投げする感は否めません。
 しかも、この度問題なのは、この委員に市民枠を設ける際、住民基本台帳から無作為抽出することです。これは過去類例を見ない手法であって、若者や女性から意見を聴取することを目的に、18歳から39歳まで、女性2名、男性1名と計3名を選出するというのです。
 これには驚きました。呉市の方向性を審議し、呉市長に答申するという重みのある会議に、どの様な市民が選出されるのか全く分からないのです。これでは選出された市民がどの様な知識や学力、考えを持っていて、はたまたこれまでの選挙で投票に行ったことがなく、政治に無関心だったとしても、そして呉市の財政も顧みず、自己中心的意見を述べたたとしても構わないというのと同義です。
 加えて、抽出された方に意向確認書を送付し、参加同意の返信があった方に対し、これも無作為順に最終意向確認した上で、重要な立場である委員を決定しようというのです。
委員になれば、会議出席する毎に1万円の報酬が支払われますので、市民にとって不利益はありません。逆に、その場で本当にしっかりとした意見を述べるかは未知数です。
 これまで呉市に限らず地方自治体は、数々の諮問機関に公共的市民団体の代表者等を当て職で選出して来た経緯があります。私も議員の立場から審議会の委員に就任したり、或いは会議を傍聴することがありますが、その様な方々が意見を述べられることは極めて少ないのです。殆ど事務局である市の担当部署が素案を作成し、有識者の意見により微修正されることはあったとしても、大勢はそれが答申案となって固まるのが常なのです。
 ということは、諮問機関というのは、行政の隠れ蓑と言われても仕方ないでしょう。既に亡くなられた某先輩市議会議員がよく指摘されていたのを想い出します。ましてや、地域で何の世話もしていなかったり、自治会にも加入されていない方、学歴の短い方が選出されたとして、市の方向性を占う重要な意見を述べられるとは、私には到底思えません。
 確かに、諮問機関に専門家や公共的団体の当て職だけでは、市民ニーズを反映できないとの考えは以前からありました。呉市の場合、純粋な一般市民枠で選出した諮問機関の委員は、市民協働推進委員会や環境審議会の2つ程度しかなかったと記憶しております。
 この場合は必ず公募して、意欲的な市民が論文提出を伴う応募をし、その内容を審査した上で、慎重に選任しているのです。寧ろこの手法が当然であって、全国どこでも一般市民枠での委員選出は公募制を採用しているのです。
 くれワンダーランド構想推進会議は、議論するテーマが広過ぎて、意見を絞るのは大変だと思います。呉市に限らず地方自治体は、施策の根幹となる長期基本構想や基本計画を策定しており、総合計画審議会が既にあるのです。重複して税金の無駄遣いも気になりますが、それ以上に、一般市民枠の選出方法は大いに問題ありと考えます。珍しい手法を採用することで、マスコミ受けする効果を狙ったパホーマンスであると言われても仕方ないでしょう。
 更にこの会議は、非公開となりそうなのです。つまり傍聴ができません。であるなら、情報公開条例に基づき、公文書公開請求をすることになりますが、議事録での発言者の氏名が載るのかと担当部署に詰め寄ったところ、この度の市民枠委員選出に係る意向確認の際、発言者名を公開するか否かについては全く触れていないことが判明致しました。となりますと、発言者名は黒塗りになる可能性が極めて高いのです。既に初会合を行った中小企業振興基本条例制定検討懇話会も非公開でした。
 ところが、市長は選挙マニフェストにおけるワンダーランド構想に係る宣言4で、「公平で、隠しごとのない、クリーンな市役所行政を推進」と謳っており、これと矛盾することになりかねません。
 因みに前市長も、ガラス張り政治を標榜されたものの、私が中学校給食検討委員会の議事録を公開請求して取り寄せた際、発言されたPTA代表委員の氏名が一旦黒塗りにされた経緯があります。それはおかしいと疑義を訴えたところ、行政不服審査法に基づく審査請求をするまでに黒塗りが消え、大逆転したのです。
 また、前市長時代に都市計画マスタープラン検討委員会が設置されましたが、これは流石に公開され、私も傍聴したことが何度かあります。但し一人の委員が、実現性に乏しいJR呉線立体交差事業は削除すべきと意見したところ、座長が委員間討議を行わず、事務局である市の担当部署に答えさせてそれで幕引きを図ったことを目撃しました。素案を作成した市に答弁させるだけで、委員間討議を行うことなく、それに同意するのが諮問機関の実態と言えましょう。
 ただ、この度のくれワンダーランド構想推進会議は、そもそも市長の頭の中にこうしたいという具体案がないようなので、事務局たる担当部署も素案を作成する必要性に乏しいため、闊達な議論になるよう期待はしておきましょう。
 一方、ワンダーランド構想会議の分科会として、有識者4名で構成する「呉駅周辺地域総合開発に関する懇談会」がこの度新設され、来る5月2日に初会合が持たれます。これも非公開です。
 ただこれは、市長の頭の中に、呉駅前広場に止まらず呉駅舎やそごうも含めての構想があるようなので、具体的諮問がなされる可能性もあります。くれワンダーランド構想の中で、市長選時から唯一具体的だったのが、呉駅周辺総合開発なのです。
 年4回程度開催し、委員は専門家ばかりなので、国の諮問機関ばりに突っ込んだ意見が出ることを期待しておきましょう。
 但し、大学院工学系研究科の教授と准教授とが4名中2名を占めており、市長人脈とは言え、偏っているのが心配ではあります。更に会議出席毎の報酬1万円以外に、1名は東京からの往復旅費や宿泊費が別途かかりますので、これも通常の諮問機関と比べて、かなり税金の支出が膨らむことが想定されます。
 通常は、JR西日本㈱、広島電鉄㈱、㈱そごう・西武、呉駅構内タクシー協会、呉警察署、県とか関係者で構成するものですが、今回はそれの前段となる骨子を検討するのでしょうか?だとしたら、現実性に乏しい空虚な議論にならねばと心配しております。
 いずれにしても、これら審議の行方を今後もしっかりと見守って行く所存です。
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