街頭演説集

第323回 農地取引面積の規制緩和で、無農薬栽培者の移住促進を!

2023.5.5

 去る5月1日は、323回目の街頭演説。前日を以て呉市議会議員としての任期切れに伴い、自然共生党代表として、事実上のスタートを切りました。テーマは、農地法改正に伴う下限面積の撤廃についてです。

20230505第323回街頭演説

 さて、農地の貸し借りや譲渡においては、その直後の耕作面積が一定規模に満たなければ、各市町村毎に設置した農業委員会の許可が下りません。農地法第3条第2項第5号において、この面積は50a、特例の北海道は2haに定められています。この面積のことを下限面積と言います。これを都道府県知事が省令基準(農地法施行規則第17条第2項)に基づき、別段面積として、10aを下限に定めることができるとされていました。これを受け呉市では、農業振興地域では30a、それ以外で20a、10aと3段階に分けていました。
 他にも同法第3条第2項では、

  1. 全農地の効率的耕作
  2. 必要な農作業への常時従事
  3. 周辺農地への影響がない

との条件を満たすことで許可を得ることができたのです。これは、農業への安易な新規参入を防ぎ、既存農業者の所得を保護する目的がありました。平成30年度まで継続した減反政策とセットで行われて来たのです。
 しかしながら、農業所得は一向に増えず、若者が都会に就職し後継者不足に陥り、遊休農地の激増を招いてしまいました。これでは食糧自給率の低下に歯止めがかからず、森林の荒廃に伴って、イノシシ被害も後を絶たなくなったのです。
 この農地法規制が厳然と横たわっていたため、堂々と農地の売買や借地ができず、これが都会からの有機栽培による農産物生産や家庭菜園の道を阻んでいたのです。しかも、後継者不在の農家が闇の農地貸し出しをして、年貢を得ていた実態が横行していました。

20230505第323回街頭演説

 ところが、平成21年の農地法改正により、地域の特性に合わせ都道府県知事ではなく、市町村農業委員会の判断で、空き家を取得する場合に限り10a未満の極小農地の取り引きが可能になっていたのです。北広島町は全国で最も小さい.0.01aを農業振興地域以外を条件として実現していました。
 私はこのことに注目し、空き家付き農地の場合、農業振興地域以外であれば、0.1aの別段面積を可能にするよう提唱。その結果、空き家バンク登録を条件に、令和元年12月から実現の運びとなっていたのです。その際呉市全域に対して10aを別段面積に統一しました。
[農業委員会だより(令和2年8月)]

20230505第323回街頭演説

 ここで空き家バンクとは、宅建業者による登録に入らない商業的不利な物件を行政が仲介をする制度です。私はこれを、秋田県仙北市のように、宅建業者物件でも可能にして、門戸を拡大するよう、更なる要請もしていたのです。

20230505第323回街頭演説

 ところが、この下限面積が令和4年5月20日の農地法改正により完全撤廃され。第3条第2項第5号の規程がそっくり削除されたのです。施行日は令和5年4月1日からです。
[農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律について] P.22
 そこで私は、呉市において、このことを全面的に広報し、既存の法定3条件を満たせば、無農薬栽培に対し、補助金を交付する制度の導入を提唱しました。

 一方呉市では、定住対策として、東京圏からの就業者移住支援として、単身世帯60万円、2人以上世帯に100万円の補助制度があります。これを令和5年度から、子ども一人につき100万円を加算することにしました。
 また、新婚・子育て世帯のまちなか居住支援を令和5年度から新設。市外からの移住者に50万円、市内定住に30万円を支給することにしました。
 更に、中古住宅取得支援として、市外からの島嶼部への移住に60~100万円、市外からの島嶼部以外への移住に50~90万円、市内定住に30~40万円を支給する制度があります。これに令和5年度から、島嶼部以外の居住誘導地域への移住であれば、10万円を加算することにしました。
 これらにより、年間4,500万円の予算が計上されました。つまり、人口減に歯止めをかけるため、バラマキ福祉のオンパレードです。これは対症療法にしか過ぎず、費用対効果も乏しいのです。

20230505第323回街頭演説

 それよりも遊休農地の活用と無農薬栽培を絡め、市外からの定住促進に係る政策誘導的に補助金を支出するというソフト事業に力点をおくべきでしょう。特に過疎地は自然教育が可能ですので、子育て世代と無農薬栽培をキーワードとして、政策展開を図ることこそが、真の地方創生と言えるのです。

第323回街頭演説 農地法改正を移住促進策に全面活用せよ!(2023.5.1)

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