街頭演説集

第98回 呉市農業委員の選考方法

農業委員の選出方法を透明化せよ!

Facebook 2017.6.29

 去る6月26日は98回目の街頭演説。テーマは去る呉市議会6定例会最終日に緊急上程された呉市農業委員の任命についてです。
本議案は、昨年度から施行された改正農業委員会法に基づき、これまでの選挙による委員選出ではなく、推薦と公募によって選定された委員候補者を市長が議会の同意を求めるものです。従いまして、過去における様々な市長任命に係る人事案件とは異なり、議案提出に至るまでに評価委員会が採点評価を下した上での候補者となっている点が大きく異なっていることを、先ず押さえておかねばなりません。
 具体的には、被推薦者11名、応募者20名と合計31名の中から、法改正に伴う農業委員等定数条例により、定数枠の19名の候補者が挙げられている訳です。つまり、評価段階での落選者が12名おられることとなります。
 そこで、同意を求められた議会としては、31名の中から19名に絞られた基となる選考基準、即ち、評価項目と配点表が示されなければ判断ができません。
 ところが、議案提出時点でこの評価項目配点表は非公開となっており、それを明示する議案資料もないのです。人事案件ですから、どうせ議会は否決しないだろうとの執行部の意図が透けており、議会軽視も甚だしいと考えます。
 しかもこの評価項目と配点表は、本議案の可決を待って、ホームページで公開されるとの答弁がありました。つまり、被推薦者や応募者にとって、結果が明らかになるまでその選考基準が分からないことを意味しています。加えて、募集を締め切り、候補者名簿が出揃った時点で始めて評価委員会を開催し、4名の委員によって評価項目と配点表を決定し、同時に採点し選考しているのです。候補者名簿を見て選考基準を決めるとうことは、恣意的に特定の人物を当選させることが理論上可能となりますので、選考過程において不透明感を払拭できません。つまり、後出しじゃんけんと同じ理屈であって、相手の手を見て有利な手段を講じていると言われても仕方ないでしょう。
 この度の法改正は、現場の実態を鑑み既存の選挙制度を廃止したことで、最も公明で透明度の高い選考ができなくなっているのですから、不透明感のある選考方法は極力避けなければならないのは当然です。ということは、募集前に第1回評価委員会を開催し、そこで評価項目と配点表を予め決定し、それを公開した上での募集に踏み切るべきだったのです。
 実際、この度の委員候補者を見てみますと、被推薦者が11名中8名も当選しています。方や応募者は20名ですが、2名は利害関係のない第三者を選ぶ必要がありますので、実質18名の内、半数の9名しか選定されていません。しかも認定農業者等7名、認定農業者等に準ずる者1名と計8名の内、1名の認定農業者が落選しているのです。
 法の原則は、認定農業者等が過半数である10名いなければならないのを、例外規定を議会の可決を以て採用し、認定農業者等、及びそれに準ずる者とで1/4以上である最低5名を必要としました。ということは、法の趣旨からすれば、認定農業者等は最優先されるべきと考えますが、その1名を落としているのです。ではどのように採点したのか、採決に当たって議会には示されるべきが、それがなされていないのが実情なのです。
 一方、この度の募集に当たっては、農地利用最適化推進委員も併せて実施されました。その結果、農業委員との重複応募者は僅か6名で、しかもその内4名が落選しています。 推進委員は条例で20名となっていますから、大いに定数割れとなるため、その後第3次募集まで行っています。
 ということは、推進委員も併せて立候補した方は、農業委員が落選しても、ほぼそちらで救済されることになりますので、推進委員立候補者を敢えて落選させたのではないかとの疑念さえ生じて来るのです。うがった見方をすれば、これまでの農業委員の定数は38で、有識者枠の8名を除くと30名いました。それが 19名に減らされる訳ですから、現職農業委員の救済策が推進委員という訳なのです。
 第2として、評価委員会は僅か1度しか開催されておらず、法の例外規定採用案が本定例会初日に議案提出された時には、既に19名の候補者が内定していたという点です。ということは、認定農業者等及びそれに準ずる者を1/4以上にすることを、議会が否決することはないことを前提にしていたのは明白です。これは、議会軽視の何ものでもありません。
 実際、本会議4日目に例外規定採用案である議第60号を可決した直後に、間髪を入れずに代表者会議が招集され、本定例会最終日に提案される予定の本案における19名の名簿が示されたのです。しかもこの名簿には、被推薦者や応募者の区分は記載されていません。これも議会に対して説明不足です。人事案だから議会は慣例によって否決することはあり得ないとの当局の目算が透けて見える訳です。
 結局、例外規定採用の可決前に既に任命案が内定していたという事実は、二元代表制という民主主義のルールを逸脱しており、大いに疑問を感じざるを得ません。
 第60号の議案質疑で私が提案した様に、同議案を可決した後速やかに2回目の評価委員会を招集し、そこで採点すべきだったのです。幸いにも4名の委員の内1名は現職農業委員であり、後の3名は本市の管理職ですから、それは可能だったはずです。もし外部委員が多く同一定例会中に速やかに招集できない場合は、早めに募集をかける手法も一法でしょう。即ち、3月定例会で例外規定適用を一旦採決し、可決を受けて6月定例会で人事案を提出する訳です。同じ議会でどちらも採決しよとする場合は、長丁場である3月定例会で両方の議案を提出する方法もあり得たでしょう。
 ということで、法改正後初めてとはいえ、呉市の不透明な農業委員選出方法に対し、私は苦言と疑問を呈しました。任期満了となる3年後において、適切な選出方法への改善を強く求める意思表示から、討論を行った上で、本議案に唯一反対票を投じたものです。
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