広電バス赤字路線短絡化と生活路線化で経営効率を向上!
Facebook 2019.8.1
呉市は、先の呉市議会・総合交通対策特別委員会の行政報告で、今年10月から、バス路線の再編を発表しました。これは広島電鉄に委譲した路線の内、辰川線のみが黒字経営で、残り10路線全てが赤字化したことを受けての抜本的見直しです。即ち、赤字分を補填する呉市からの経営支援補助金が、昨年度末に1億9千万円もの補正予算を組み、決算では年額5億円に達したからです。これに敬老優待負担金が3億5千万円を加えると8億5千万円となり、交通局民営化時に掲げた目標、呉市一般会計からの持ち出し8億円の限度額を大幅に超えることから、私もその抑止策を訴えて来たのでした。
具体的には6路線を生活バスに移管し、その内の苗代~浜田橋間を廃止します。その6路線とは、阿賀音戸の瀬戸線、呉倉橋島線、広長浜線、仁方川尻線2路線、焼山熊野苗代線です。これにより、令和元年度において、経営支援補助金を4億8,800万円から4億1,300万円に減額することで、敬老優待負担金を加えた8億円の枠に収めようとするものです。その結果、生活バス運行負担金が新たに4,900万円増額となります。しかしトータルでは2,600万円の縮減効果があるのです。つまり路線バスでは乗客の少ない区間も走りますから不効率な訳で、その区間を短絡化することで効率性をアップできる意味があります。
その代わり市民にとっては、生活バスと路線バスの乗り継ぎという不便さを甘受して頂く必要があります。その結節点は、新たに鍋桟橋、広市民センターに加え、仁方駅南口を新設します。そこでその乗り継ぎによる乗車運賃の二重払いを防ぎ、パスピーシステムを通じ、既存運賃と同額になるように致します。
道路運送法に基づく路線バスにおいて、呉市では路線毎の経常収支率50%を切れば生活バスへの移行、更に15%を切れば乗合タクシー等への移行を検討するとしています。現在10路線ある生活バスは、川尻が下蒲刈が11.4%、10.6%と、基準値を割っており、先ず川尻をモデルケースとして、地元関係者や運行事業者等で構成するワークショップを開催して、今後の方策を探ることとなります。
また、中国労災病院から川尻小用入口間が生活バスに移行するに伴い、小用から安浦町を生活バスで連絡することも、今後検討の視野に入って来る可能性があります。
新たな8路線の生活バス移行区間に、既存6路線を加えた14路線において、この7月中旬に運行事業者を公募し、10月からは新事業者で運行がスタートすることになります。
呉市は、昨年度に公共交通網京成計画を策定する予定でしたが、西日本豪雨災害の影響で、策定が遅れていました。今回のバス路線の再編は、本来ならばこの計画を策定した上で、その指針に基づいて行うはずでした。それが計画が後回しになったのは、一日も早く再編を行わなければ、広電への経営支援補助金が膨らみ、今年度末に昨年度に引き続き大幅な増額補正予算を組まざるを得ない苦しい台所事情があったらかと容易に推察できます。当初の予定通り、昨年度中に計画を策定しておくべきだったと思います。
一方、当初からの生活バスを運行して来た倉橋、安浦、下蒲刈各町及び、合併町である川尻、音戸町においては当面公募は行わず、運行を既存事業者で継続することとしています。
ところが、その倉橋町内を運行していた㈲倉橋交通において、収支報告に大きな錯誤があったことが、この度のバス再編の検討過程において発覚しました。PASPYのチャージ収入を、導入された平成26年10月から今日まで計上して来なかったのです。
先ず、PASPYの運営は広電が行っております。例えば、乗客が千円をチャージし、その時の乗車運賃が300円だったと仮定します。
すると現金の流れとしては、次の如くとなります。
- 千円を倉橋交通が広電に支払う
- 広電は300円を倉橋交通に支払う
- 倉橋交通の運賃収入は300円として計上される
ところが、現金が行ったり来たりで事務が重複することから下記の処理となり、これを月毎に精算しています。
- 倉橋交通は差額の700円を広電に支払う
- 700円が倉橋交通の支出として計上される
- 倉橋交通は収入として千円を計上する④倉橋交通として結果的に300円の収入となる
結局、倉橋交通は千円の収入を計上しなかった訳で、このことが解らなかったのは理解に苦しみます。この度発覚した後、平成30年度の未計上分は納付することにし、残りの29年度までの1,038万1千円は、呉市が赤字補填して来た経緯から、今後割賦払いで呉市に対し納付するものと推察しております。
私としては、納付計画を含め、今後の執行状況を監視して参る所存です。