街頭演説集

第14回 教育委員会の組織の在り方

形骸化した教育委員会からの脱却こそが教育改革の第一歩!

Facebook 2015.11.5

 本日は14回目の呉駅頭での街頭演説。クールビズを終え、ネクタイ着用での初登板となりました。
 さて、この日のテーマは教育委員会の組織の在り方についてです。
 自治体における教育行政は、地方教育行政法を根拠として教育委員会が担うこととしており、これは事務方を統括する5名の教育委員による合議体とされています。従いまして最高議決決定機関は5名の教育委員会議となり、毎月定例的に開催されています。
 これは首長と一線を画した独立した行政機関として位置付けられ、政治勢力の介入を防ぐ意味があります。
 その5名の教育委員は首長が推薦し、それを議会が議決同意することにより選任されます。議会は、余程の理由がない限り不同意しませんので、首長の意向を汲んだ方しか実際は選任されません。ここがこの法律の趣旨と実態が乖離している部分です。
 同法によると、教育委員会議の意思決定は多数決としており、反賛が2名ずつで割れた場合は教育委員長(本年度施行の改正法では教育長)の評決で決するとされています。ところが過去呉市は、全て全会一致で波風を立てることなく議決しています。これは全国も同様の傾向と推察されます。
 即ち、教育長を中心とする事務方の案を全て教育委員会議が承認して来たことを意味し、教育長は首長の懐刀とも言えますので、市長の意向が教育委員会議の決定とイコールに事実上なって来た訳です。
 具体的には、平成17年度試行の遠距離等通学費助成制度の創設が挙げられます。これは当時市長のトップダウンと言われた施策です。近年では、校庭の芝生化、中学校デリバリー給食の導入、全普通教室への空調設備設置があります。校庭の芝生化はご承知の様に挫折致しました。
 これら重要な教育施策に係る種々の問題点が、会議において殆ど論戦されておりません。議事録を精査すれば明かです。また、中学や高校の教科書選定は議会が一切関与できる部分ではありませんが、問題になっている歴史教科書においても、あまり議論はされていませんでした。
 もし、会議の場で異なった意見を述べますと、任期満了後市長が再度推薦されないことは目に見えていますので、言えない空気があると言われても否定できないでしょう。つまり、これが地方教育行政法の大きな問題点なのです。
 しかも、本年度から施行された改正地方教育行政法では、教育の方針策定等は、首長が招集する総合教育会議において決定されることとなり、首長権限が拡大されました。これでは首長が代われば、教育方針が転換される恐れも出て来た訳です。
 一方私は、3年前の呉市議会一般質問で、この問題を採り上げました。その際、教育委員会ホームページに教育長挨拶が写真入りで掲載されていますが、法では教育委員長が教育委員会代表とされているのでおかしい、と指摘しました。これは、非常勤である教育委員長がお飾り的存在であって、実質は常勤の教育長が最高権限者であることを自ら露呈していることになります。しかし、教育委員会はこれを是正しようとはしませんでした。この問題点を、教育委員会議の場で議題に採り上げることも全くありませんでした。
 実際一般質問に対して、教育行政における最終的な責任ある答弁者は教育委員長ではなく教育長です。これは法の矛盾であった訳です。結局昨年6月の法改正で、教育委員長が廃止され、常勤の教育長が教育委員会の代表とされたことから、この矛盾は自然解消された格好です。
 更に、法では教育委員会議は公開するとなっているにも関わらず、その場の傍聴案内が教育委員会ホームページではされていませんでした。つまり、事実上の密室会議であった訳です。それを私が糺したことにより、教育委員会議の傍聴案内がホームページに掲載されるようになりました。
 それから私は、会議の議事録をホームページ上で公開するべきとも訴えました。これについては検討するとの答弁はありましたが、改革はなされないままの状態が続いていたのです。
 そのような中で、本年度施行の改正地方教育行政法では、新設の首長が招集する総合教育会議と併せ、教育委員会議事録公開の努力義務規定が盛り込まれました。
 そこでようやく谷本提案が、去る7月の教育委員会議で結実し、今年4月に遡って、会議録がホームページ上で公開されるようになったのです。
 議事録のホームページ上での公開は、委員間の議論を活性化させるという点において、議会会議録のホームページ掲載と同様、重要な意義を持っています。
 私は、真の教育改革は、首長と独立した機関である教育委員会において、委員間議論を戦わせることこそが最重要であり、その第一歩である、と今後も訴え続けて参る所存です。
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