街頭演説集

第20回 消防団報酬と民生委員報償金の実態

消防団員報酬や民生委員報償費は個人毎に支払うべき!

Facebook 2015.12.15

 昨日は20回目の呉駅頭街頭演説。テーマは、消防団員報酬や民生委員報償費の在り方についてです。
NHK朝ドラ「あさが来た」において、北九州の炭坑での出来事。坑夫への給金支払いを納屋頭が取りまとめてピンハネしている実態があり、皆それに甘んじていました。それを直接経営者から坑夫へ支払うと共に、石炭を掘り出す実績に応じて、報酬加算をする改革をあさが提案します。当然既得権益を享受していた納屋頭は大反発。坑夫は内心歓迎しつつも、納屋頭に盾突くことができない状態が続きます。古い慣習を打破するには、勇気と大きなエネルギーが必要とされたのです。
 これに似ているのが、消防団員報酬の呉市消防局からの支払い方法です。消防団員は特別職地方公務員ですから、通常は報酬支払いは直接行うことになっていますが、労働基準法による労働とはみなされないため、直接支払わなくても違法とはなりません。
 呉市の場合は、消防局から消防分団長の口座に団員全ての報酬をまとめて振り込んでいます。この方は振り込みに係る事務が簡易で済み、消防局としては助かる訳です。各消防分団によって多少やり方は異なりますが、分団長から分団員に団員毎の報酬を分配しているところはあまりありません。寧ろ、全分団員の報酬を一括管理しているところが殆どです。
 分団内での打ち上げ懇親会や親睦旅行に使われたりしています。これでは親睦旅行に行けない団員や、お酒を飲めない団員にとって、極めて不利になるのは自明の理です。
 また、消防団報酬は二重構造になっています。即ち、階級に応じた固定報酬部分と、火事や訓練での出動旅費(費用弁償)の流動報酬部分です。サラリーマンの団員ではおのずと出動回数は少なくなりますから、出動旅費はその分少なくなります。しかし、これら全てが自身の報酬に跳ね返って来ませんので、出動回数の多い団員から見れば不公平となります。
 このような支払い方法に対し、一応各分団員に同意を取り付け判をついてもらってはいますが、個人情報に関しては同意書がありませんでした。階級によって異なる固定報酬は問題ないかもしれませんが、出動回数によって異なる出動旅費は、明らかに個人情報に該当致します。分団長宛の支払い明細書には、当然団員毎の階級報酬に加え、出場回数が記載されているからです。つまり、呉市個人情報保護条例に違反する可能性を秘めています。 これは私が、去る9月の決算委員会で指摘したところです。今後善処することになろうかと思います。
 ところで、広島県内を調査したところ、分団員個人口座に報酬を振り込んでいる自治体消防局は4団体ありました。即ち広島市、廿日市市、三次市、海田町です。「消防団員はボランティア意識で加入しているのだから、個人毎に報酬を振り込む必要はない。寧ろ団員の結束を図ることが大事である」との声もありましょうが、団員活動が家計を支える糧になる場合もあり得る訳ですから、個々の本音と全体の建て前は違って来るはずです。
 しかし、現場の坑夫と同様、そのような改革を口にしようものなら、仲間外れにされることは往々にしてあり得ます。つまり全体の空気を読んで、それを言える団員は稀少だと思いますし、この手法が気に入らないなら、当初から団員志望しない訳です。
 ただ、勇気を出して改革を進言し、出動旅費だけは各団員に分配することを勝ち取られた分団もあるそうです。
 一方、民生委員の報償費も全く同様の構図となっています。
 民生委員は消防団員とは異なり、民生委員法でボランティアと位置付けられています。従って報酬ではなく、活動に係る経費を補償する実費弁償的な性格の報償費が支払われることになります。報酬ではありませんから、源泉徴収はされません。
 具体的には委員1人当たり年額79,800円です。ところが、市内28地区毎に設立されている地区民生委員児童委員連絡協議会(地区民児協)毎の口座に一括して振り込まれます。これも各地区民児協で多少やり方は異なるにしても、一括管理しています。
 加えて呉市民児協には、要介護3以上や重度心身障害者を対象に、地域を巡回する要介護者等見守り支援事業を呉市が委託しており、この委託料も28地区に分割して地区民児協に振り込まれます。地域で巡回訪問されるのは末端の民生委員でして、委託料はその費用弁償的性格が濃い訳ですが、これも民生委員の手元には支払われていません。もし支払われれば、1人当たり年間18,000円となります。
 それら一括管理された報償費や委託料は、呉市社会福祉協議会等福祉関係団体への寄附、研修費用、呉市職員歓送迎会の費用に活用されます。大体呉市社会福祉協議会へは各自治会からの上納会費や団体・個人からの寄附、そして呉市からの補助金、委託料があり、民生委員の報償費を原資に、それが寄附に回るのは本来の姿とは決して言えません。
 これらの活用方法の結果、年度末残高を配当のような格好で、民生委員に分配している地区民児協もあり、その額は地区によって差があります。
 「民生委員のなり手がいない」と地区民児協の間で嘆かれ、75才定年を越えても、引き続き活動されている方もおられます。市内で空白地区は11地区もあり、それらは隣接地区を担当する民生委員でカバーしておられ、益々負担が増大しています。
 福祉保健部署を定年退職した呉市職員が、率先して民生委員を引き受けて下さればいいのですが、地域協働に力を入れている呉市にも関わらず、敬遠される方が多いのが現実の姿です。民生委員の大変さを最もよく知っておられるからでしょう。これも各委員に報償金や委託料の分配分の大半が手元に残るような仕組み作りができれば、民生委員の引き受け手も増えるかも知れません。
 よく「民生委員はボランティアだからお金を目当てにして就任する人などいない」との声が聞かれます。実はこれも末端の民生委員に確かめたところ、「そんなことは決してない」との声が多々帰って来ました。やはり消防団員と同様、本音と建て前を使い分けているのが実態の様です。
 呉市は、消防団員の報酬支払い方法にしても、民生委員の報償費支払い方法にしても、「各分団や地区民児協に任せていて、介入できない」との一点張りです。その背景には、事務量を増やしたくないとの思惑がちらついています。
 あさちゃんの様に末端で働かれる坑夫のためになる抜本改革を、今後とも進言して参る所存です。
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