安易な過疎地域自立促進計画に警鐘を鳴らす!!
Facebook 2016.3.23
呉市過疎地域自立促進計画というのは、時限立法である過疎地域自立促進法が5年間延長されたことに伴って、平成28年度から32年度までの5ヶ年で17事業を追加し、110億円の事業規模とするものです。過疎地域に指定された地域に限定して、有利な財源を活用できるのが強みです。呉市では安芸灘4島と倉橋町が対象地域に該当します。
殆どが合併建設計画に盛り込まれていたものを、過疎計画に取り込んだ格好で、合併特例債が起債充率(対象事業に対し借金できる割合)95%なのに対し、過疎対策事業債は100%であることから、より有利な財源と言われています。因みに両地方債共に債務の70%が、利子を含めて交付税で帰って来ます。
私は先の本会議討論において、この中で3箇所の追加事業の問題点を指摘しました。
第一は、下蒲刈町における5千万円の観光施設整備事業です。同町の蘭島文化施設が林立する三之瀬地区には既に、学校跡の建物を活用してNPO法人・海駅三之関が物産販売店を経営しており、これ以上ハコモノを整備するのは重複することになります。合併建設計画に計上しているといっても、不効率事業は見直すべきです。
第二は、下蒲刈中学校を5億9,500万円かけて建て替えるものです。これは平成31年度までの耐震化建て替え計画を受けてのものですが、合併建設計画には盛り込まれていません。一方で対岸の蒲刈町向地区にある蒲刈小学校は、1億2,500万円かけて老朽改修する計画が上がりました。これは合併建設計画に盛り込まれていました。
実は、蒲刈小学校は蒲刈中学校と同一敷地内にあることから、私は以前から一体的小中一貫教育校を早く創立すべきと訴えて来ました。そこで、下蒲刈中学校を建て替えることを見送って、下蒲刈中学校と下蒲刈小学校を蒲刈小中学校に同時移転して、併せて一体型小中一環教育校を創立すべきなのです。児童・生徒数の激減を受けて、それだけのキャパは蒲刈小中学校にはありますし、そうすることにより複式学級をも解消できるのです。
豊町と豊浜町では、旧町堺を超えて小中学校の統合を果たしましたし、倉橋町では小中学校の統合を機に、旧豊高校を活用して、一気に一体型小中一貫教育校である倉橋学園を創立した実績があるのです。
第三は、廃校となった豊島小学校校舎改修に、5,700万円かけることです。これは、豊浜町に市外から漁業就業者を複数迎え入れ、2階をアパートメント住居に、1階を島民との交流広場に活用しようとするものです。
先ず、同町は空き家が沢山あり、島外住民を受け入れようと本気で考えるなら、地元で物件化する努力をするべきです。公共が公営住宅以外で住居を提供するのは間違っています。しかも同町には、合併前に建設したコミュニティ施設が7つもあり、あり余っているのです。地区自治会連合会単位で、まちづくりセンターが2箇所もあるのは同町だけです。島民との交流を図るなら、公共施設はいくらでもあるのです。
呉市は公共施設再配置計画で、それらの利活用を探っているのですから、新たにハコモノを整備する必然性は全くなく、却って維持管理費が未来永劫に亘ってボディブローのように財政を圧迫して来るのは火を見るより明かです。
しかも、今年度は300万円のコンサル委託調査費を繰り越し計上し、新年度は更に追加の200万円の調査費をつけるというのですから、二重投資もいいところです。
因みに、過疎対策事業債の財源枠は合併特例債と違って設定されてなく、可能な限り計画に盛り込んでおけば財源確保策の選択肢が広がる、との行政の考えは解らぬでもありません。しかし、計画の遡上に載せることで、却って事業採択断念の足を引っ張ることになりかねず、判断を狂わせるというのが私の主張です。