街頭演説集

第121回 自閉スペクトラム症の早期発見・早期介入

自閉スペクトラム症早期発見・早期介入の導入を!

Facebook 2018.1.13

 去る1月9日は、幟旗が倒れる程の強風が吹く中、凍てつく寒さでの121回目の街頭演説となりました。テーマは自閉スペクトラム症の早期発見・早期介入についてです。
 自閉スペクトラム症、即ちASDは、これまでの自閉症のみならず、アスペルガー症候群や広汎性発達障害も含めることとされました。但し、注意欠陥多動性障害ことADHD
や、学習障害ことLDは、これに含まれません。
 発達障害においてこのASDに限っては、1歳代に発見・診断が可能であり、国内外での研究で早期療育効果が裏付けされ、導入のニーズが高まって来たところです。
 しかも、アメリカで開発されたアーリースタートデンバーモデル、即ちESDMと呼ばれる超早期介入プログラムは、臨床根拠即ちエビデンスが確認され、2歳前から3歳までに療育を行った場合、子どもの知能や社会性の発達を促し、自閉症状の軽減にも効果が認められているのです。

 先ず、早期発見の方法ですが、法定乳幼児健康診査である、1歳6ヶ月児や、遅くとも3歳児の時がチャンスと言えましょう。呉市では発達障害を発見する鍵になる項目をも記載した問診票を母子手帳所持者に、集団乳幼児健診と合わせて送付しています。しかし、佐賀県が独自に開発した、ASDに特化した二次問診票まではありません。既に差が(さが)ついており、広島県が作成した問診票に満足せず、佐賀(さが)方式を導入することを検討すべきでしょう。
 ところで本市では、児童発達相談や発達検査を、広島県に委託された児童発達支援センターたる呉本庄つくし園、即ち社会福祉法人・呉社会福祉会に委託しています。その上で、広市民センター内にある児童療育・相談センターにて、児童精神科医による診断を行っています。そこで、乳幼児健診現場での早期発見から発達検査、診断のルートに載せた上で、超早期介入プログラムであるESDMへ導入することを検討すべきです。
 最先端を走る佐賀市や館林市では、既にこのシステムを導入しており、通常の児童発達支援とは異なるものです。現在児童療育・相談センターの隣室において、呉福祉会による指定障害福祉サービスである児童発達支援「つくしんぼ」があります。その場をESDMに活用できるよう委託することが可能と考えます。昨年、呉市の委託事業として呉福祉会が主催して発達障害講演会を開催しました。その際、早期介入プログラムの提唱者である服巻(はらまき)智子先生を講師に迎えましたので、その信頼基盤は既に確立しているため好都合な訳です。
 次に、早期診断や早期介入においては、先ず保護者の受容や理解が必要不可欠です。またそれこそが、家庭での療育環境を整えることができ、子育てに好影響を与えるのです。これら保護者へのフォローは乳幼児健診時、発達相談や早期診断、早期介入、児童発達支援、就学後と様々な機会を捉えて実施することができます。
 中でもトリプルPは、オーストラリアで開発されたペアレントプログラムで、ストッピングストーンズは発達障害児の保護者に対し、効果的な子育て法を紹介するものです。今年度スタートしたばかりの、発達障害児の親が同じ立場の親にピュアカウンセリングする県のペアレントメンター制度に加えて、並行実施すべきと考えています。
 因みに、ピュアカウンセリングは、以前私が一般質問で導入を促したことがあり、いよいよ実現した格好です。
一方呉市では、小中学校入学時や在校時における通常学級から特別支援学級への転換の可否など就学の節目において、これまで教育委員会のみで就学指導委員会を組織し、対応して来ました。
 しかし、これでは限界があります。私の要請で今年度ようやく開始した、主治医や保護者の意見書提出に止まるのではなく、そこに、これまで関わって来た療育機関や保育士や幼稚園教諭等、その場に応じて必要な人材を加入させる支援策が有効だと考えています。
 そのためには、障害福祉課や教育委員会が個々に問題を抱え込むのではなく、乳幼児健診を所管する健康増進課、子育て支援課や子育て施設課、教育委員会学校安全課と、障害福祉課が中心となって、関係5課が連携してこれに当たって行く体制が必要です。即ち連携会議の設置が鍵を握っているのです。
 勿論その前提には、関係部署職員が、発達障害や早期発見・早期介入の重要性、ESDMやトリプルP等の研修を受けてスキルアップし、認識を共有することが肝要なのです。
 去る12月定例会での私による一般質問を受け、呉市はようやく重い腰を上げました。但し、これからようやく研究に入る段階です。正に緒に就いたばかりではありますが、私としても、今後も発達障害福祉について力を注いで参る所存です。

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