グリーンピアせとうちの在り方、公募売却に再修正!
Facebook 2018.7.3
グリーンピアせとうちは、厚労省の外郭団体たる当時の年金資金運用基金と広島県から、呉市が県の補助金を活用して購入致しました。それを受け、公設民営という指定管理方式で、㈱ゆうとぴあセトウチに管理委託をして来ました。
同社は、平成17年10月から平成22年度末まで5年半の第1期期間は黒字経営でしたが、23年度から27年度までの第2期期間5年間は赤字に転落しました。赤字になったとたんに、同社の親会社である㈱アルファー・ビラは資本から撤退し、現在はペーパーカンパニーに陥っています。
第3期たる28~29年度の2ヶ年は、呉市がグリーンピアの在り方を検討するための必要期間として位置付け、初めて公募によらず、同社と暫定2年間の指定管理契約を締結しました。その際、経営を楽にするために、年間3,200万円の指定管理者負担金の納付を免除したのです。
実は、この指定管理議案を呉市議会に提出した時、既に27年度分の指定管理者負担金の未納や水道料金の未払いあったことを当局は隠していました。このことに加え、28年8月には冷温水発生装置の故障によるクーラー停止、そして電気料金もストップさせられる状況が表面化し、29年6月8日を以て指定管理契約を呉市が解除したのです。
そこで新たに非公募で、現在の㈱休暇村サービスとの指定管理契約を締結致しました。昨年9月から今年8月末までの1年間の暫定期間です。呉市はこの間に、プロポーザルによる公募売却を行う方針を発表したのでした。
ところが、昨年11月に新しい市長が誕生するやいなや、初の12月定例会の一般質問に対し、売却方針の白紙化を打ち出したのです。即ち、売却ありきではなく、これまでのように指定管理か、或いは賃貸も含め、あらゆる手段を再検討すると答弁したのです。つまり、前市長の方針をちゃぶ台返ししたと同義です。
その際私は、答弁した産業部長に対し、これでは休暇村サービスの1年間の暫定期間は延長せざるを得なくなり、民間への売却が遅れる、と懸念を伝えました。対して「その可能性はあり得る」との発言があった訳です。
私の指摘は的中し、去る5月の産業建設委員会で、指定管理期間の延長が示されたのです。その理由として、公募型プロポーザルを実施する前に、その前段として企業ニーズを把握するために、サウンディング型市場調査を今年9月から実施するとしました。
但しその前提として、「原則売却」方針を再度打ち出したのです。この当初方針を呉市が決定するに当たっては、平成28年12月定例会での一般質問で、私が民間売却を提唱したことが引き金となっていました。
何故売却が最善策かと申しますと、これまでの様に公設民営では、運営委託された企業は自社所有ではないため、長期運営計画を策定できず、そのため設備投資をしないからなのです。兵庫県が所有していたグリーンピア三木は、公募売却に踏み切った結果、㈱延田エンタープライズが購入し、平成28年7月から、装い新たに「ネスタリゾート神戸」として生まれ変わり、ホテル棟を大規模改修し、プールに巨大な水瓶を設備投資することで、見事にスタートダッシュに成功したのです。
結局、新市長が就任直後、前市長との違いを鮮明にするために、白紙化を提唱したものの、担当部署の説得工作が功を奏してか、原則売却方針に戻ったということになります。時計の針が右や左に揺れ動き、方針が不確定だったのが、元に戻った感じです。
とは言え売却方針に戻ったことは、私の主張が再び採用されたことで、取りあえず安心しました。ただ、指定管理期間が切れる今年8月末から、平成31年度末まで、1年7ヶ月事実上の延長になる訳です。
この期間が中途半端なのは、年度末で切りがよいようにしたことに加え、サウンディング調査で市場ニーズを把握し、それを踏まえ、売却に係る公募要領を練り上げるためにほかなりません。想えば過去、呉市直営で累積赤字が15億円に上り経営破綻した音戸ロッジを呉市が解体し、公募型プロポーザルを実施したことがありました。この時は、条件として100室規模の宿泊施設に設定したのですが、これでは採算が取れないとして、企業が応募しなかった苦い経験があるのです。
このようなことから、サウンディング調査に時間をかけることは、企業ニーズを十分反映したよりよい公募要領を作成するため、やむを得ないと考えています。
一方私は、本議案に対し、本会議場で質疑を致しました。
先ず第一は、再度㈱休暇村サービスと随意契約することに対してです。同社によるグリーンピアせとうちの経営状況は、昨年9月から今年3月までの7ヶ月間で赤字だといいます。これは繁忙期であるプール利用のある夏場とゴールデンウィークが入っていないためです。従ってこれから経営状況が好転し、1年を通じて収支トントンになると見込んでいるはずです。
この度の1年7ヶ月間の経営計画を見ますと、30年9月から31年3月末までの7ヶ月間は756万円の赤字になっていますが、31年4月から32年3月末までの1年間は逆に756万円の黒字を捻出するとしています。第1期の1年間で収支トントン予想となっているのが、第2期の1年間で黒字化が可能なのかと質問しますと、当初は前指定管理者との裁判闘争や指定管理解除でイメージダウンが響いたものの、休暇村サービスによる経営努力によって、修学旅行客誘致が増えており、1年7ヶ月間トータルで収支トントンになるということでした。
その後呉市は、同社による最初の7ヶ月間の経営状況を公表しました。それによると、入園者は前年同期比、即ちゆうとぴあセトウチよりも4割増となっているということです。
実際前市営管理者の27年度の経営実績と比較すると、年間2,800万円の収支改善が図られるということでした。
第二は、サウンディングの意義についてです。サウンディング調査に応じても、それが即採用されず更にプロポーザルという本番が控えており、二重応募になって事務負担が増大し、企業にとってうまみがないのではないか、との懸念です。それに対しては、プロポーザルと違って、サウンディングはできるだけ簡易な様式で企業に書類を作成してもらい、事務負担が大きくならないよう配慮するということでした。
いずれにしても、この度は失敗が許されません。サウンディング調査を踏まえた公募型プロポーザルが成功し、平成32年度から、民設民営での生まれ変わったグリーンピアせとうちの勇姿を是非見てみたいものです。