阿賀マリノ第2次計画変更、造成地売却面積を最大限に!
Facebook 2019.5.18
阿賀マリノポリスは、呉市の貿易、港湾物流を中心とした経済の起爆剤として、呉市港湾計画に定められたものの、平成初期にバブルがはじけたことで、大いに歯車が狂いました。
そこで第2期埋立計画を削除する港湾計画の変更を経て、現在の第1期のみ46.4haに止めた経緯があります。その決断は賢明だったと思います。
その埋立が平成18年度に竣功し、港湾関連用地の売却がスタートしました。但しマリーナ用地を含む交流厚生用地が宙に浮いたのは、バブル崩壊により、当初予定していたマリーナ業者が土地購入を拒否し、その結果海洋産業、即ちレストランや釣り用具店などの進出の可能性が消えたことによります。
私は前々市長の時に、「民間が手を出さないマリーナ計画は変更して工業用地に転換すべし」と一般質問で訴えましたが、当時の市長はこの計画は残すと答弁したのです。
結局埋立申請から10年が経過し、呉市は先ず交流厚生用地の大部分を工業用地に変更しました。既存の港湾関連用地では、物流拠点や倉庫業に限定され雇用を多く生まないため、製造業の誘致が望まれたためです。
この埋立造成に係った費用は債務金利を含め、造成地の民間売却収入でペイするとの考えがあります。そこで宝町と阿賀の埋立事業をセットで臨海土地造成特別会計を組みました。これらの造成単価坪35万円対し、平均売却単価は坪20万円で逆ざやとなります。そこで呉市は平成19年度に財政集中改革プログラム策定に合わせ、阿賀マリノポリス計画の見直しを提示したのです。
即ち宝町埋立の一部は㈱イズミに売却し、この利益分を相殺したことで、逆ざや分を坪15万円から10万円に抑制することとしました。その差額分金利を含めた81億円を平成20年度から34年度までの15年間、5億円ずつ、最後の35年度に6億円を一般会計、即ち市民の血税から補填するという計画です。その際本来売却予定だったマリーナ用地5haは、護岸・道路用地の7.3haを含めて、造成単価である坪35万円で一般会計で購入することにしたのです。
ところが、逆ざや坪10万円はとっくに意味が希薄になっていったのです。それは地価の下落もあり、加えて大きな土地売却は総じて単価が安価になることで、近年の売却単価が坪11万円から20万円の間に陥ってしまったのです。この結果、差額分が81億円から132億円に膨れ上がったのです。これでは早晩計画を見直さざるを得ない状況に当局が追い込まれることは目に見えていました。
そこで呉市は、昨年11月に呉市は港湾計画を再度変更し、マリーナ計画を廃止しました。併せてクレイトンベイホテルに隣接する船だまりスペースを、阿賀マリノポリスに集約しました。
これは、旧市内の放置艇約600隻を、将来条例を制定して、区域指定した阿賀マリノポリスに有料停泊地として簡易マリーナを公共整備することを意味します。そのプレジャーボート陸揚げ施設用地1.9haを埠頭用地にして300隻を受け入れ、残り300隻はそれに隣接する海面を小型舩だまりとする計画です。
併せて、税金補填する予定の膨れ上がった差額分を圧縮するため、港湾計画の線引きを見直し、それに併せ近々都市計画を変更する予定となっています。
具体的には、工業用地として売却するための用地内道路本数を減じることで、道路用地における一般会計からの取得費を抑制し、マリーナ用地を一般会計で購入することを民間への工業用地としての売却に変更したことがポイントです。つまり売却面積を前計画の22.9haから1.3ha増やし24.2haに拡大します。それでも売却単価の逆ざや分を埋めることはできず、全売却価格137億円は98億円と、39億円の減収になる訳です。
一般会計から逆ざや分を補填するのは51億円増え、132億円(利息30億円を含む)となりますが、道路用地の縮小とマリーナ用地を民間売却に再変更したことで15億円減り、差し引き一般会計の負担額はトータル213億円から249億円と、36億円増えることになります。
尚一般会計補填分、即ち繰入金が51億円増えることで、令和元年度から7年度まで毎年10億円ずつ、最終8年度まで、即ち既存計画より4年間延長し、最終年度は7億円、今後77億円負担することで終了することとなります。即ち、これまで血税から毎年度5億円ずつ注ぎ込んでいたのが、これが10億円ずつに増える訳です。
助かったのは、超低金利時代のため、借換債利息が現計画の33億円から3億円減ったことくらいです。
一方、これらの大幅な第2次計画変更では、緑地帯3.6haの形状が大幅に変更となります。これには、平成19年の計画変更時における工業用地と交流厚生用地を分離する緩衝地帯としての位置付けがありました。工場にレストラン等が連なるのは環境上好ましくないという訳です。
ところが、この度の第2次計画変更においては、交流厚生用地が工業用地になるため、緩衝地帯で分離する必要性がなくなりました。また緩衝地帯があることで大規模工場用地として売却する選択肢が狭まる不利もあります。
そこで、緑地を細長い帯状からまとまった土地に海岸沿いに移転集約しました。但し、これを0.4ha増やす4haとしています。この土地造成費には63億円が投じられており、その内国庫補助が11億円です。従って、面積を狭めることは補助金適正化法に抵触して不可能ですが、増やすことはできるということになります。
ただ増やせばそれだけ売却面積が減り、それが減収に繋がる訳ですから、私は「何故増やす必要があるのか、同一面積とすべきではないのか」と、疑問をぶつけました。
それに対し当局は、「現在ある埠頭用地の岸壁は260mしかなく、将来的に着岸船を増やす必要がある」と答弁。それなら、「護岸に接する部分ではなく、内陸部を0.4ha削ればいい」というのが私の意見です。それには明確な答弁がありませんでした。
いずれ適化法の期限が切れた際、緑地を埠頭用地に変更することは容易に予想されます。官製マリーナ陸揚げ用地を増やすことがあったとして、当初から0.4ha分を工業用地に変更しても何ら問題はなく、寧ろ売却収入が増えることになり、呉市にとってプラスだと考えています。