街頭演説集

第194回 安芸灘地区小中一貫校の提唱

安芸灘4島から自然教育の小中学校を消滅させるな!

Facebook 2019.6.24

 本日は194回目の街頭演説。テーマは安芸灘4島における小中学校の在り方についてです。

 去る6月12日、呉市議会文教企業委員会で呉市教育委員会は、来年度から下蒲刈小学校を蒲刈小学校に、下蒲刈中学校を蒲刈中学校に統合移転すると発表しました。その直接のきっかけは、昨年度を以て下蒲刈小学校の全学級が複式になり、当面この状況を回避できない見通しとなったことです。
 即ち呉市立学校統合基本方針では、全学年が1学級になった小規模校を統合対象校にしていますが、例外として、同一中学校区に1校しか小学校がない場合は統合対象に含めないとしていました。ところが、その学校が全学年複式になった場合は中学校区を超えた統合対象になるとしているのです。
 つまり、昨年度時点での下蒲刈小学校の児童26名に対し、蒲刈小学校の児童数は34名で全学級ではなく、一部複式だったため、下蒲刈小学校のみが統合対象となったのです。下蒲刈小学校が廃止されますと、下蒲刈中学校に入学する生徒が皆無となるため、自動的に下蒲刈中学校も統合対象となったのでした。
 そこで市教委は、もし下蒲刈小と蒲刈小とが統合しても全児童数は僅かに60名で、数年後には複式学級が誕生することを踏まえ、統合先候補を第一に仁方小学校、第二に川尻小学校に設定し、地元PTAへの説得に昨年度から動きました。
 PTAがアンケートを採ったところ、たまたま蒲刈小学校への統合要望が多数を占め、市教委はその意向を汲み蒲刈小学校への統合移転、同時に蒲刈中学校への統合移転を決定したのでした。

 ところで市教委は、全保護者の意向を忖度して波風を立たないように努めたことで、ここで大きな失態をやらかしてしまいました。
 それは校区を事実上廃止したことです。即ち、下蒲刈小中学校統合移転に伴って、蒲刈小中学校以外に、仁方小中学校や川尻小中学校を選択することを認めたのです。しかも、今後半永久的にそれを認めるというのです。しかも、自己都合ではないとして、その通学費も生活バスの定期代を全額公費負担とするというのです。
 これでは、今後本土でも残された統廃合があった際、校区自由化を認めなければ不公平となってしまい、思わぬほころびが市内全域に拡大することが予想されます。しかも過去音戸町内の小学校統合時に、既にこの施策を実施しており、このことは未だ議会に報告されていません。過去、統合時に安易に妥協して悪しき前例を作ったが故に、この度の統合でもそれが波及した格好です。

 そもそも、市教委が下蒲刈小中の移転統合先を仁方若しくは川尻に設定したことは、近い将来生じるであろう蒲刈小学校の全学級複式に伴う統合移転先を早めるだけです。その時には、蒲刈小中学校も廃止した上で、仁方、若しくは川尻小中学校に統合移転させようとした節が窺えます。つまり下蒲刈島、上蒲刈島から小中学校を消滅する構想だったことは想像に難くありません。
 そうなりますと、安芸灘4島の内、残された豊島、大崎下島の小中学校をどうしようとしていたというのでしょう。それらも本土への統合移転を考えていたのでしょうか?それでは通学時間がかなり長くなり、通学費の公費負担も大きくのしかかり、これが半永久的に継続することになります。
 下蒲刈小学校が統合対象になったから、先ずその問題をクリアすればよいという短絡的な視点ではなく、安芸灘4島全体の小中学校の在り方を検討するべきだったのです。
 この度の下蒲刈小中学校の統合移転により、来年度から下蒲刈小でマックス60名、蒲刈中では僅か36名にしかなりません。但しこれは、あくまでも仁方や川尻を選択しなかった場合の話です。ならば、益々統合先の蒲刈小中学校の児童生徒数が減り、再統合が早まってしまいかねません。少なくとも校区の撤廃とそれに伴う通学費公費全額負担は、蒲刈小中への通学を除き、するべきではないのです。個人負担がないから、益々本土への小中学校を選択することに歯止めが効かなくなる訳です。

 一方、同じ安芸灘でも豊島の豊浜町、大崎下島の豊町では、5年前の平成26年、一足先に小中学校の統合を果たしました。即ち豊浜町には中学校、豊町には小学校と、各々の島でそれぞれ中学校と小学校を1校ずつとすることで、妥結を図ったのです。具体的には、豊浜中学校に豊中学校を統合移転、豊小学校と豊島小学校を豊中学校のあった場所に統合移転したのです。
 ということは、将来、安芸灘4島で小中学校を1校ずつに集約を図ることが検討されるべきなのです。併せて一体型小中一貫教育校、転じて義務教育学校を創設することを私は提唱致します。その前段で、来年度からの蒲刈町向地区の同じ敷地内に統合移転後に一体型小中一貫教育校、義務教育学校にするのです。
 安芸灘4島の小中学校を再統合するのはかなり先ですので、それらの統合移転先は改めて検討するのです。豊町久比地区にある豊小学校の校舎が最も新しく、以前県立豊高校があったことからグラウンドは広いので、ここを安芸灘の小中学校拠点にする考えもありますが、これでは下蒲刈からの通学距離が遠くなってしまう難点があります。
 かといって蒲刈町向地区での蒲刈小中学校も、豊町からは遠いので、校舎の建築年数を見て慎重に見極める必要があります。
 また、蒲刈町大浦地区にある旧蒲刈小学校は売却先が決まらず、校舎と体育館は解体しないまま残されていますが、ここは安芸灘4島の距離的中心であるので、検討対象には入って来るでしょう。

 いずれにしても、安芸灘義務教育学校の創立が私の言わんとするところです。何故なら、今後地方創生を進めるに当たり、自然環境の中での教育、即ち「自然教育」を全面に打ち出し、売り込んで行くことできるからです。
 また、小中学校のない安芸灘4島にUターンやIターンは益々遠のくばかりです。地域おこし協力隊員もまちおこしに魅力を感じず、応募も激減するでしょうし、そこで3年間の契約期間を経て定住するのも困難になるに違いありません。市長の掲げる「くれワンダーランド構想」の一つ「いきいき島ライフ」にも逆行します。自然環境下で学べる学校を消滅させては決してならないのです。

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