種子法廃止の次は種苗法改悪!各県種子条例制定を急げ!
Facebook 2019.9.26
同法は略して種子法と呼び、戦後の食糧難から、我が国固有の米、麦、大豆の原種や原原種を育成し保護することを目的として、昭和27年に制定されました。今日まで長らく食糧安全保障の役割を担って来たのです。
その種子法が昨年4月1日をもって廃止され、国が都道府県に交付税措置していた農業試験場や奨励品種改良・保存といった責務を解いたのです。
併せて農業競争力強化支援法が成立し、都道府県の品種改良に係る知見を民間に開放するよう迫ったのです。つまり大手資本や多国籍企業がその知見を買収することを可能にしました。
規制緩和というと聞こえはよいですが、我が国の食糧安保体制が崩壊し、外国から兵糧攻めを食う可能性すら出て来たということです。
種子法という根拠法がなくなれば、国から都道府県への交付税措置もなくなることから、国会では付帯決議を行って「これまで通り財政支援は行う」よう要請しましたが、これには法的拘束力はないのです。広島県では、全国で3箇所しかない農業ジーンバンクを運営していますが、案の定、この規模を縮小するか国の機関へ統合する方向性を打ち出しました。新たな農業技術者を育成していないところを見ると、本気で検討しているようです。
このジーンバンクは、独自に品種改良して風土にあった優良品種を1万9千種も冷凍保存しているのです。
広島県は法廃止直後の昨年4月2日、種子法に代わる「稲、麦類及び大豆種子取扱要領」を制定し運用に努めてはいるものの、国からいずれ交付税が断たれますと、財源確保の根拠がないため、将来におおいに不安を残します。
一方他県に目を向けますと、法廃止で危機感を強めた米の産地である新潟県、兵庫県、埼玉県ががいち早く種子条例を制定し、昨年4月1日より、即ち法廃止と同時に施行しました。その後北海道を含め、11道県に及んでいます。去る6月定例会では長野県に加え、中国地方初となる鳥取県で条例を制定したのです。
我が広島県は、農業技術センターと農業ジーンバンクを抱えているにも関わらず出遅れています。今年2月の広島県議会予算委員会で、初めて高木昭夫氏(東広島、自民)がこの問題を採り上げました。しかしその直後の4月の県議選に出馬されませんでした。
ところが、一昨日9月24日の県議会一般質問で、伊藤真由美氏(安芸郡、自民)が最大会派を代表してこの問題を採り上げるに至ったのです。彼女は条例制定の必要性を訴えたのに対し、湯崎英彦知事は、条例制定を検討すると答弁しました。これは大きな前進と言えましょう。
私が所属する呉市議会でも、去る9月13日に、種子条例制定を求める意見書を全会一致で採択し、広島県知事と同県議会議長宛に送達したところだったので、タイミング的にもばっちりでした。
因みに、呉市議会の県条例制定を求める意見書採択は、去る6月定例会における三次市議会に次ぎ、県内2番目となります。
ところで、各都道府県が種子法に代わる条例を制定したとしても、政府は第2弾の法整備を準備しています。それが種苗法改悪なのです。これは今年の通常国会に提出する予定でしたが、参院選から争点を避けるため、その後に変更した経緯があります。最新情報によると今年12月に閣議決定するとか・・・?
種苗法とは、育成者権(特許権)の期限が切れた場合は開発者以外にも自家採種が認められています。にも関わらず、イチコなどのように挿し木や接ぎ木で増殖する作物においては、現在357種類で既に自家増殖を禁じています。
この法律が改正されれば、開発者以外は例外なく一切自家採種が認められなくなります。本命は、主要農作物である米、麦、大豆がターゲットなのです。つまり種子法廃止は、これを進めるための前段にしか過ぎなかったことになります。
しかも開発者が自家採種をしようとすれば、種の登録料が1件につきかなりかかるため、大手外国資本が独占することさえあり得ます。農薬残留基準の規制緩和や、官民連携で、民への安易な公共の有する知見提供、加えて育成者権が切れた作物でも登録者以外は自家採種禁止となりますと、多国籍企業の思うツボに嵌まります。
これらは全てTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の流れの一環として着々と事が運ばれており、我が国の独立を脅かされる重大な危機を迎えていることを知らねばなりません。共に闇の巨大勢力と戦って参りましょう。