街頭演説集

第236回 合併町地域まちづくり振興補助金

合併町振興補助金の使命は終わった!旧市内との公平化へ

Facebook 2020.5.13

 去る5月11日は236回目の街頭演説。テーマは合併町地域まちづくり振興事業補助金についてです。
 この制度は、呉市が周辺8町と合併する際の合併建設画に盛り込まれたもので、合併特例法に位置付けられています。呉市が38億円の借金をして40億円の地域振興基金を造成し、その運用利益を原資に、10年間を限度に一律300万円を各合併町に交付するもので、その受け皿として各町毎にまちづくり協議会を起ち上げました。その委員には、合併により職を失うことになる当時の町議会議員を充て職として就任して頂きました。
 因みに38億円の負債は、法に基づき合併特例債を充てますので、元利償還分の7割を10年間に亘って交付税措置、即ち国が負担してくれます。
 その合併特例債を事業費として活用できるのが、合併の翌年から10年間と法で規程されていたことから、年間300万円の交付を10年間に限定していた訳です。
 ところが、その後合併特例法が改正され、特例債を活用した合併建設事業期間が15年に延長されたこともあって、呉市が議会に何の説明もなく10年を経た段階でも交付し続けて来たのでした。因みにその後再延長があり、期間は20年間となっています。
 その後日銀や政府による金融緩和策で、低金利となり運用利益が激減。各町300万円ですから、これでは8町分で2,400万円の利息を確保することがかなわず、途中から差額を一般財源、即ち血税で補填するようになりました。この時も議会に説明が一切なく、私が平成27年3月定例会で一般質問したことで、初めて明らかになりました。即ち、平成25年度決算では、運用利益との差額1,822万円を血税で補填したということです。

 一方、当時の呉市長は財政集中改革宣言を行い、その中でゆめづくり地域協働プログラムを位置付けました。それを受け、平成20年度から旧市内にまちづくり委員会を起ち上げてもらい、そこにゆめづくり地域交付金を交付することにしたのです。
 これは年間の基礎額50万円に、人口5千人単位にアップさせる人口割と合算した額が交付されます。因みに我が第四地区は人口1万人規模ですから200万円が毎年交付されることになりました。
 この時合併町地域まちづくり振興事業補助金の300万円は、合併建設計画に基づき各町に一律交付されていたにも関わらず、これに合わせてゆめづくり地域交付金を交付するようにしました。この結果、人口が1万人強の音戸、安浦各町のまちづくり協議会に対しては、年額500万円、人口が数千人の川尻、倉橋各町の協議会に対しては450万円、人口が千人強の下蒲刈、蒲刈、豊浜、豊各町の協議会に対しては400万円が交付され続けたのです。
 問題は、これが合併時の約束通り10年間で終えればよかったのですが、それを10年経過したの後も半永久的に継続しようとしたことです。これでは旧市内20箇所のまちづくり委員会との不公平が続くこととなります。
 しかも、このような不公平が存在することは、呉市は一切広報しませんでした。ホームページをみても、この制度のことを公開していません。と言いますか、全国どの自治体も公開していませんでした。実際旧市内のまちづくり委員会の役員の殆どがこの実情を知らされていなかったのです。それを知られれば、行政にとってはまずいことになるからでしょう。旧市内の地域役員から不公平感や不満が噴出するのは目に見えています。
 私は、合併後10年間交付し続けて来たことで、この使命は終わったとみて、一般質問で追求しました。これに対して当局は、極めて後ろ向きな答弁しかしなかった訳です。
 ところが、呉市が平成28年度に中核市に移行したことで、市の態度が一変したのです。それは、中核市には外部監査が義務付けられ、その最初の年度である平成28年度監査報告書に、「合併町地域まちづくり振興事業補助金とゆめづくり地域交付金の性格はほぼ同じであり、合併町と旧市内との不公平が存続している」として、是正指導を受けたからです。
 ついに、私の主張が正しかったことが証明されたのです。呉市はこの報告を受け、改革を検討せざるを得ない立場に追い込まれました。内部監査では、この種の政策判断が伴うことについては指摘しないのが通例ですが、外部監査では政策の重複や費用対効果を中心に毎年度テーマを決め、監査するようです。

 これらの経緯を経て、ようやく令和2年度予算でそれが現れました。即ち各町300万円、8町分で2,400万円の交付を6町分の1,800万円削減したのです。これは平成16年度から交付された下蒲刈町と川尻町において、令和元年度を以て合併町地域まちづくり振興事業補助金を廃止するという意味です。1年遅れて交付を受けた、他の6町は令和2年度を以て同補助金は廃止されます。
 ただ、一気に300万円が削減されますと、地域活性化に大きな影響が出ることから、暫定措置を設けました。それがゆづめづくり地域交付金における合併町特別枠です。
 廃止された下蒲刈、川尻町においては、令和2年度はゆめづくり地域交付金にこの特別枠200万円が加算されます。つまり、昨年度に比べ、振興補助金とゆめづくり交付金の合算において100万円減額されることになります。この特別枠は令和3年度に150万円、令和4年度に100万円、令和5年度はゼロとなって、ここで初めて旧市内と公平になるという仕組みです。他の6町はこれが1年間遅れるということです。
 ということは、令和6年度から市内28地区のまちづくり委員会・協議会において、初めて公平な制度に完全移行することになります。勿論この度の制度転換においては、呉市が合併各町のまちづくり協議会役員には説明申し上げ、了承を得たと伺っています。そのための暫定期間3年間と言えましょう。
 但し、これで改革が終わりというとこではなく、他の様々な問題点を精査する自治会組織のあり方検討会という諮問機関を起ち上げる新年度予算が30万円計上されました。これも私が以前から制度の抜本改革を訴え続けて来たことによるものです。これにより、交付金に止まらず、旧市内における問題点も含め他の制度にもメスを入れ、合併町の地域特性も活かせるような改革が望まれています。

タイトルとURLをコピーしました