街頭演説集

第237回 路線バスと生活バスの相関関係

路線バスの生活バス化が税負担の節約になっていない!?

Facebook 2020.5.18

 本日は237回目の街頭演説。テーマは路線バスと生活バスの補助金相関関係についてです。

 呉市は平成24年度から交通事業を広島電鉄に民間移譲して、その赤字分に対し利潤を2%上積みした上で経営支援補助金を支出して来ました。新年度予算は3億4,200万円です。昨年度の決算ベースでは4億8,800万円ですから、大幅に減額となっています。これは昨年10月から路線を短絡化し、これら7路線を生活バスに移行したからです。
 その生活交通路線維持負担金の新年度予算は2億9,980万円です。これは過去と比べて大幅増額となっていますが、路線バスを生活バスに移行したためです。
 では、路線バスを短絡化し、その切った路線を生活バスに移行するのは何故でしょうか?それはそのことにより、税金支出の無駄を軽減できる、節約できるからというのが当局の説明でした。
 具体的には、昨年10月から生活バスへ移行したことに伴う節約は、昨年9月定例会での補正予算では2,600万円ということでしたが、決算ベースでは逆に3,110万円の足が出たのです。当局の見通しが非常に甘かったことがその原因です。
 そこで新年度予算を精査しますと、通年ベースでの生活バス移行7路線分で浮く、広電への経営支援補助金は1億5,500万円になるといいます。ところが、経営支援補助金と生活交通路線維持負担金を合計すると、逆に900万円増えていたのです。これは私が去る3月定例会の予算委員会で指摘しました。乗車率が2%自然減になることで400万円の増額となりますので、それを差し引いたとしても500万円の負担増となる訳です。
 これでは、路線短絡化による税金支出効果が逆効果となっており、市民に説明がつきません。例えば、呉駅発音戸の瀬戸回り阿賀駅行きのバスをみてみましょう。途中の鍋桟橋を過ぎると乗客が極端に減ります。即ち経営が不効率です。なので、鍋桟橋で路線バスを打ち切り、それ以降は市民は乗り換える必要があります。この鍋桟橋から阿賀駅間を生活バスとして、他の交通事業者に移管した訳です。これにより路線バスが効率化されますので、全体で呉市の負担が抑制できる訳です。それが予算ベースで負担増とは?!
 しかも、このことを当局は一切説明しませんでした。私が追求したので、このことをようやく認めたのです。

 次に、新年度における広電への経営支援補助金は、昨年10月から今年9月までの1年間としました。これまでは4月から翌年3月までの年度一致予算でした。このため、令和元年度予算は1年間組んでいたのが、決算では半年に縮減され、予算と決算の比較が非常に困難になってしまい、議会審議にも大きな影響を及ぼして参ります。
 この理由として、広島市と熊野町が広電に対して補助する場合は、年度下半期と翌年度上半期をトータルしており、呉市と整合性が取れないということです。つまり広電からの要望によって、新年度から前年度に遡っての予算計上としたのです。
 私は、予算に対応するのが決算であるので、令和2年度予算を9月までの半年間計上し、令和3年度から令和2年10月から3年9月までの1年間にするべきだったと主張しました。これなら、広電の意向にも添えることができましたし、予算・決算の対応性を継続することが可能だったのです。
 これでは、広電7路線を生活バスへ移行するに当たって、当初の節約予定が逆に負担増になることを覆い隠す予算になっていると言われても仕方がありません。

 一方、交通局民営化の際、広電への経営支援補助金と敬老優待乗車制度による呉市助成金とを合わせた額を年間8億円の枠内に収めるという方針が示されました。当時当局から議会に説明があった訳です。敬老優待に係る補助は年間3億5千万円程度ですから、経営支援補助金は4億5千万円までに止める必要があります。
 ところが、一昨年度の決算ではこれが5億円を越えるようになってしまいました。だからこそ、不効率路線を生活バス化する必要があったという訳です。これは民営化後2度目のこととなります。
 その約束事の中で、経営支援補助金とは別枠でバス購入補助金を年間1億円、5年間を限度に呉市が支払うこととされました。ということは平成28年度が最後となります。
 ところが当局は、29年度予算に、こっそり3千万円の補助金を計上したのです。当初の約束とは異なる訳で、このことの説明は当時議会に全くされませんでした。これを追求したのは私しかいなかったのです。これが令和元年度まで3年間継続しましたが、令和2年度予算でついに補助金ゼロとなり、ようやく私の主張が反映されることとなったのです。このことの説明も全くなかったため私が質問すると、バスの低床によるバリアフリー化率が70%を達成したからだとの言い訳が返って来ました。

 今後公共交通に係る公的補助は、人口減に伴う乗車人数の自然減、及び高齢化率上昇にともなう敬老優待運賃助成金の増額が予想され、益々厳しくなるでしょう。そのような中にあっても、路線バスの生活バス移行で市民生活に不便をかける点については、血税負担の抑制の観点から、丁寧な説明が求められるのは当然と考えるものです。

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