街頭演説集

第244回 広域バスなきバスタと再開発ビルへの公共施設を問題視!

Facebook 2020.7.8

 本日7月8日は244回目の街頭演説。2日連続での大雨により、2日間順延となりました。テーマは、呉駅周辺地域総合開発基本計画についてです。

 市長は、去る4月に呉駅周辺地域総合開発基本計画を公表。3月の素案段階と比較し、1期計画において、新たに呉駅舎建て替えによる橋上駅化を追加しました。これは、駅前広場2階デッキ部分と連結する必要があり、橋上駅設計とセットにする必要があるとの、基本計画検討会での意見を踏まえたものです。
 先ず、耐用年数に満たない駅舎を建て替えることそのものが、無駄な投資ですし、呉市が過去2度に亘り建設した自由通路も耐用年数を迎えてなく、税金の二重投資になります。
 しかも、近年呉市内における広駅や安芸阿賀駅の建て替え、呉ポートピア駅や新広駅の新設、吉浦駅周辺整備や安浦駅自由通路の建設には、全て市民の血税を投じており、JR西日本は一切費用負担しておりません。そればかりか、新広駅舎は呉市からの寄附を受けず、未だ維持管理は呉市が行っていますし、安芸阿賀駅ではトイレ部分や通路分は、呉市が維持管理を行っているのです。つまり、呉駅舎を建て替えるにしても、JRは殆ど支出しないのではないか、との疑念が大きく渦巻く訳です。
 これに係る去る6月定例会での不肖一般質問に対して当局は、国がJRと呉市の負担の棲み分け基準を示すので、それに従って方針を決めたいということでした。JRが応分の負担をすることが国庫補助の条件だと推察されます。そうであったとしても、JRとの交渉で呉市は、かなり妥協を強いられるのではないかとの疑念が消えない訳です。

 次に駅前広場整備は、2階の歩行者用デッキ広場建設を含め、国道31号改修工事との位置付けで国直轄事業で施工するとしています。これは国の交通結節点改善事業に選定されることが条件で、国2/3、県が1/3の負担割合となり、結果、呉市の負担はかからないとの触れ込みです。
 とろこが駅前広場の地権は、呉市が5/6、残り1/6がJR西日本であり、この土地を国が買い取るのか、現段階では未定ということです。加えて広場を現そごうの1階東側部分にまで拡張してバスの発着場所にしようとしていますが、この部分は公共施設であるため、呉市が購入するか、民間所有のまま呉市が借り受けるか、いずれにしても公共が費用負担する必要があります。公共とは呉市なのか国なのか明確にしていませんし、恐らく呉市負担となる可能性が極めて高いと推察しています。
 しかも、2階部分にデッキ広場を国直轄で整備しても、エレベーターを設置しなければ利用度が落ちますので、それらの維持管理費は末代まで呉市が行う必要が出て参ります。
 加えて、デッキ上でのバス待ち合わせの上屋を建設することが、人口減の呉市に果たして必要かどうかも疑問です。ましてやこのデッキは、そごう建て替え後の複合ビルには連結しても、阪急ホテルには接続しませんので、甚だ効率が悪い訳です。更にはデッキ上に店舗を誘致することが計画に上っていますが、現実的ではないでしょう。

 第3として、そごう跡地の再開発に隣接のJA呉を巻き込む計画となっています。しかし、JAが再開発組合に加入して事業を一緒に行うかどうかは、現段階では未定となってり、これでは市長が目指す令和4年度着工には到底間に合いそうもありません。答弁では、例えJAの合意が事業に間に合わない場合でも、見切り発車することがあり得るとのことでした。市長マニフェストを実現するため、来年秋の市長選までには、何としても事業の方向性を打ち出したい思惑が透けて見えます。つまり事業ありきでどんどん押し進めようとする強引極まりない姿勢と言われても仕方ないでしょう。
 そして計画では、再開発複合ビルを防災拠点としても位置付け、そこに公共施設を設置しることにしています。避難所や防災備蓄倉庫を目的に最初から設置することは、普段使い勝手がないためできませんので、それらを副次的目的に、無理矢理公共施設を確保しようとする向きが感じられます。それがアーバンデザインセンターです。
 これは、公民学が連携してまちづくりの課題に取り組む組織拠点としての位置付けです。ワークショップや会議の開催は、ここでしなくてとも、市庁舎会議室で事足りますし、その組織を運営する人件費や、建物維持費が半永久的に市民ののしかかって来る、末代にまで悔いを残す愚策です。
 しかも図書閲覧機能を有し、市民の憩いの場を提供するとの答弁には、空いた口が塞がりませんでした。中央図書館がすぐ近くにあるのに、また図書室を整備するというのです。しかもそこに職員を配置することが必要で、新たな人件費がのしかかって参ります。
 また呉市公共施設等総合管理計画では、令和22年度には、ハコモノの総床面積を3割減じる目標を掲げていますが、現段階では2割減にしかならないのです。更に無駄な公共施設を再開発ビルに整備するとは、愚の骨頂です。
 基本計画検討会には、平成30年度に起ち上げた呉駅周辺地域総合開発懇談会の、東京から招いた専門家がそのまま残ったようですが、要は市長方針に賛同されるイエスマンを委員に任命しているだけです。いわんや呉市の経済・財政状況や公共施設の贅肉を削らねばならない内政についてどれだけ理解しておられるのか、甚だ疑問な訳です。自らの専門分野を活かした知識による都会での成功実績を、この呉市に売りつけておられる気がしてなりません。
 ただ、前市長が平成29年9月に、市長選前に打ち出した方針では、そごう跡地開発での民間事業者との引き合い交渉を経て、建て替える場合は5千㎡以上を商業施設にすることで、その部分に対し最大5億円の補助を出すと明示した経緯があります。このことを糺したところ、国のバスタプロジェクトに乗ることで、土地の価格が向上するため、現段階では再開発組合がプロポーザルで選定した開発事業者に土地や地上権を売却したとして、建て替えに公費を投じることは考えていないということでした。
 裏を返せば、バスタプロジェクトが起動に乗らなければ、開発事業者からの提案を受け、呉市が公費を負担する局面が生じる可能性は十分あり得ます。

 一方、そのバスタプロジェクトとは国の交通結節点改善事業のことです。平成26年度にオープンした新宿バスタを起点に、全国主要都市間を広域間輸送バスで連絡しようとするもので、バスターミナル、駅舎、複合商業施設が一体となって整備する一大交通拠点を指しています。広島駅はそごう等と一体化したバスタセンターと離れているため、バスタ計画にはなじめません。
 だからといって、呉市がバスタになることはあり得ないでしょう。何故なら、中国ジェイアールバスが呉駅から大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンに向け2路線を走らせましたが、どちらも11年間で5年前に廃止、または3年前に休止に追い込まれているのです。これは利用者が低迷し、経営に行き詰まったからに他なりません。
 ということは、呉駅から大阪を経由して新宿まで広域間バスを政策的に走らせようとすれば、必ず赤字分を公費で埋めなければ事業者は手を挙げないことは火を見るより明かです。因みに呉市は交通局を広島電鉄に経営移譲した以降、毎年度5億円程度を同社に支払っているのです。また同社が運行している広島空港線、いわゆるエアポートバスにしても、年間1千万円程度負担しているのです。
 大都市へ連絡する広域間バスは夜行となり、ニーズは極めて低く、その事業者に赤字補填をする必要はありません。答弁ではバスタプロジェクトとしてのポテンシャル向上に期待し、事業者への公費助成は考えていないということでした。
 となりますと、バスタプロジェクト、国直轄事業で駅前広場を整備することの意義、そのものが崩壊してしまいかねません。これに対しての明確な答弁はできなかったのです。

 その様な中で、橋上駅舎建設、駅前広場の拡張部分への負担。再開発複合ビル内へのアーバンデザインデンター設置等、公的負担が避けられない部分が見えて参りました。再開発事業への公的助成もあり得る訳です。将来は広域間バスを政治路線として無理矢理走らせ、公的補助をせざるを得なくなることも十分考えられます。
 そこで私は、基本計画によるイニシャルコスト分に対する呉市負担の見込み額を提示するよう迫りました。ところが、これから事業者を選定してそれを基に事業計画を今年度末までに作ろうとしているため、現段階では不明ということだったのです。
 これでは、先ず計画ありきで進めていることになり、事業段階でいくら公費負担が増しても、後には戻れないことになります。しかも昨年度は公費を使い、決まってもいない、イメージパネルをそごう仮囲いに5枚も設置しましたし、市民アンケートも取りました。呉市負担がどれくらいになるのかを示さず、駅前再開発に賛同するか否かを市民に問うことそのものがナンセンスです。費用対効果が不明なままでは正しい判断はできないからにほかなりません。市民アンケートは市民をあおって期待を持たせるだけで、意味のないものです。
 以上、様々な切り口で基本計画を精査しましたが、呉市はハコモノ整備にお金をかけるのではなく、身の丈に合った整備に止めるべきです。そして官主導の開発ではなく、あくまでも民主導に立ち返るべきなのです。

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