街頭演説集

第254回 老人集会所の廃止は無償譲渡制度構築とセットで!

Facebook 2020.9.15

 昨日9月14日は254回目の街頭演説。テーマは老人集会所の一律廃止です。
 呉市は、去る6月に平成27年度末に策定された公共施設等総合管理計画の下位計画である個別施設計画の素案を発表しました。上位計画は国の主導で全国自治体にに策定を求められたもので、本市においては、令和22年度末にハコモノ公共施設の総床面積を3割削減することが大目標となっています。それに基づき下位計画では、市内の全老人集会所38施設において、10年後に使用年数50年を迎えた時点で一律廃止としたのです。これに該当するのが29施設、残り9施設は現状維持となっていますが、これらとて、令和22年度以降に50年満期を迎えれば廃止となるのです。
 例えば、私が会長で指定管理を担っている第四地区社会福祉協議会においては、畑老人集会所と鹿田集会所があります。前者は令和11年度、後者は令和16年度に廃止となります。ということは、市内の老人集会所は今年度から令和6年度まで5年間の指定管理が一斉にスタートしたばかりなので、畑は令和7年度から5年間の再指定管理で終了、鹿田は令和7年度から2回の指定管理を経て終了となります。

 これに驚いたのが、指定管理を担っている市内各地区社会福祉協議会や各地区自治会連合会です。これら老人集会所は確かに一部地元にとって不要な施設もあるでしょう。例えば宮原老人集会所は老朽化し、近くに市営坪内アパートの敷地内に同住宅専用集会所が建設されたことで、現在は休止状態になっているからです。
 ただ、殆どの老人集会所は例え稼働率が大幅に下がってはいても、地域のコミュニティ施設として必要とされていると推察されます。
 当局の説明によれば、廃止の理由として2点を挙げています。
 第一は、老人集会所本来の目的は老人の教養の向上と福祉だったのが、介護保険制度導入により、民間事業者による多種多彩の介護サービスが根付いたことで、そのニーズが減少したため、その使命を終えたというのです。
 確かに、老人集会所等条例が制定された昭和46年度当時は、このことが設置目的に記述されていましたが、その後高齢者のみが使うのではないことから、昭和53年度に同条項が改正。設置目的に地域のコニュニティとしての位置付けが付け加えられたのです。
 第二は、自治会館を自前で運営している自治会と、公設たる老人集会所に近い地区で自治会館を必要としない自治会とで不公平が存在しており、その解消になるというものです。
 ただそれをいうなら、まちづくりセンターがある地区とない地区とでは、最初から不公平が存在します。旧市内では宮原、警固屋、川原石、吉浦、天応地区、合併8町には全てにまちづくりセンターが存在しますが、中央地域、即ち第2、第3、第四、第5、第6、中央、第8、三条地区にはありません。それを補う形で老人集会所が活用されて来た訳ですので、老人集会所の廃止は、地域協働の拠点を失うことになります。
 中には畑老人集会所の様に、第一開設避難所に指定されて、防災の観点からの重要なポテンシャルを有している地区もあるのです。通常第一開設避難所には小中学校が指定されるものですが、この地区にあるもう一つの第一開設避難所は東畑中学校となっています。ただこれが高台にあるため、高齢者には避難に適していないことから、畑老人集会所が重宝されて来ましたし、2年前の豪雨災害時も、地域住民の長期間の避難受け入れとして、重要な働きを担ったのです。
 近くにまちづくりセンターがない所や自治会館を有していない自治会では、老人集会所が、確かに地域協働において要の施設となっているのです。自治会役員会や自治会総会、祭の準備会合等、公共的な会合もそこを使用して来た経緯があるのです。

 そこで私は、満期廃止後のビジョンを呉市が併せて提示すべきと訴えています。
 具体的には第一に、地元が地域協働拠点として必要不可欠と判断した場合は、無償譲渡を受けるのです。その際の底地は無償借地となります。この手法は、生活保護擁護施設「広風園」、各市立保育所、各隣保館(人権コミュニティ施設) を地元公共的団体に無償譲渡した手法と同じです。この場合コミュニティ施設を解体して他の活用はできないこととし、その場合は土地の更地返還を求める契約を締結するのです。
 第二は、無償譲渡の際、耐震診断と必要に応じての耐震改修、アスベスト対策工事を市の負担で施工するということです。市立保育所無償譲渡による民営化の際も、私の指摘もあって、過去そのようにして来た経緯があります。
 但し、例えば鹿田集会所は昭和57年の建築で、昭和56年の新耐震基準を満たしているので、耐震診断・改修は不要となります。
 第三は、持続可能な運営ができるよう市が支援することです。例えば現在各地区まちづくり委員会や協議会に交付されているゆめづくり地域交付金は、内部留保ができず、年度毎に余剰金は全額市に返還することになっています。ハコモノには、将来の建て替え、畳の取り替えやエアコン設置など、一度に支出が嵩張る場合がつきものです。そこで減価償却費や修繕引当を、毎年度分散支出することによる内部留保を認めるのです。
 更に稼働率が低い地区においては、せいぜい収支の均衡が図れるように、公的補助のシステムを確立するのです。これには限度額を設定して、それでも赤字になる施設は、自治会連合会等が補填することにするのです。
 丁度今年度と来年度を以て合併町まちづくり地域振興事業補助金が廃止され、その暫定措置としてゆめづくり地域交付金に合併町加算が付加されますが、3年間でそれもなくなり、その間ゆめづくり地域交付金制度改革も行われます。また、自治会組織の在り方検討会議も今年度から発足します。加えて、地域間格差がある不公平な老人集会所指定管理も、今年度から5年間の指定管理期間内での抜本的改革が叫ばれています。正に地域協働改革元年と言ってもよいでしょう。この様な改革と老人集会所無償譲渡制度の確立は一体となるものです。

 私は先の9月定例会一般質問でこの問題を採り上げ、同制度確立を提唱しました。当局からは、私の指摘した問題点や課題を認めた上で、検討するとの答弁を引き出したところです。
 であるならば、制度確立の目標期限を設定し、関係部署で早急にプロジェクトチームを起ち上げるべきです。具体的には、個別施設計画の所掌部署である今年度新設された行政改革課、老人集会所等条例の当事者で、これも今年度新設の高齢者支援課、総合調整を図る企画課、地域協働やそれに係る補助制度を所掌する地域協働課、補助制度の財源を確保する財政課、そして市民税課です。
 因みに計画素案で最も早期の廃止案は、桜ケ丘老人集会所で令和7年度、続いて長浜老人集会所の令和9年度となっていることからも、方針決定が急がれる所以です。
 市民税課の参画は、無償譲渡先である公共的団体における納税指導が必要との理由からです。と申しますのも、老人集会所をコニュにティ施設として運営する地元の公共的団体は、利用者から使用料を徴収していますので、席貸業という収益事業を行うこととなり、法人税の申告義務が生じるからです。もし年間の収支がトントンだったり、赤字だったりする場合は、法人税は賦課されませんが、法人県民税や法人市民税等は均等割がありますので、各々2万円と5万円が確実に賦課されることになります。
 現在の地区社会福祉協議会においても、老人集会所の使用料を徴収していますので法人税申告義務がありますし、百歩譲って例え使用料を徴収しなくてとも、指定管理そのものが請負業という収益事業に該当し、法人税の申告義務があるのです。これは法人格の有無に関わらず課せられますが、このことに関し、当局は指導を怠って来た経緯があります。
 この問題は老人集会所廃止からの無償譲渡に併せ、老人集会所指定管理の抜本改革にも連動するものです。
 呉市は個別施設計画素案を12月から来年1月にかけパブリックコメントを募り、今年度末に策定する予定としておりす。ということは、プロジェクトチームの設置と改革案検討の加速化をしないと地域住民の理解は得られず、間に合わないことになりかねません。市民の皆様もこのことに是非ご関心を持って頂き、声を上げて欲しいと切に願っています。

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