2023.5.26
コロナ禍以降、学校現場でマスク着用が推奨されて来ました。これは文科省が全国教育委員会に対して発出した衛生管理マニュアルにあります。その中に、マスクについては、「体育を除き、マスク着用を推奨」と記述されていたためです。
去る4月1日付け同マニュアルVer.9が発出されました。この36ページには、初めて下記文言が記述されました。
- 教職員や児童生徒においては、マスクを外すことを基本
- マスク着脱において、差別や偏見等が行われないように適切な指導
更に、新型コロナ感染症が5類に引き下げられた5月8日付けで、同マニュアルがVer10として再改正。上記内容が5ページに繰り上げられ表記されました。これらにより、学校現場での児童生徒へのマスク警察は事実上なくなったと言えましょう。
ところが、これら改正マニュアルにおいても、マスク着用事項に関しては但し書きが付いておりました。即ち下記事例では、相変わらずマスク着用を推奨するとしているのです。
- 登下校時において、ラッシュ時の通勤電車やバスに乗車する時
- 学校主催の社会見学で、老人福祉施設や医療施設等を視察訪問する時
- 社会一般的にマスク着用が推奨されている場面
そして、上記Ver.10においては、下記が追加記述されていたのです。
ということは、校長や教職員の裁量部分が継続し、マスク推奨場面の判断がまちまちになることが予想されます。例えば、マンモス校での集会ではソーシャルディスタンスに加えてマスク着用を児童生徒に強いる場面も出て来る可能性が高いです。
実際、今年度に入って呉市立小中学校の登下校では、殆どの児童生徒においてマスクを着用していたのです。令和4年5月24日の文科省通知「学校生活における児童生徒等のマスクの着用について」では、熱中症対策として、登下校についてマスクを外すよう指導と書かれているにも関わらずです。
そこで、私が呉市教育委員会に対して、このことを指摘しました。ところが教委は驚くべき回答をしたのです。即ち「マスクを外すことは強制しない」と逃げを図ったのです。コロナ禍においては、児童生徒に対し、マスク着用を事実上強制して来たことの反省が全く見られませんでした。ある意味この逆を行くことが本来の姿でしょう。
また過去の衛生管理マニュアルの悪影響で、茨城県の某市立小学校では教育委員会と結託して、ノーマスク児童の兄弟に対し、2年間も登校できなかった事例があったのです。或いは、静岡県の某市立小学校においては、ノーマスク児童に対して、一人卒業式を強いられたこともありました。広島県立高校では、校長と県教育長が結託して、ノーマスク宣言生徒の意志を踏みにじり、人権侵害を行ったのです。
山形県立擁護学校では、男性教諭が、健康上の理由を申告してノーマスクが認められたにも関わらず、校長と教育委員会の結託により担任を外され、教頭の事務補佐という立ち場に追いやられ、訴訟に発展したケースまであります。
一方、衛生管理マニュアルを発出した文科省健康教育・食育課は、下記の事例は不当な差別に該当すると認めました。
- ノーマスク児童生徒の席をアクリル板で囲うこと
- ノーマスク児童に対して、一定の距離を確保すること
これらは、衛生管理マニュアルやその上位である学校運営ガイドラインにも、「差別や偏見は許されない」と記述されており、これに明確に違反するのです。
そこで、上記のような差別事例において、最寄りの教育委員会も機能しなかった場合、私は、文科省健康教育・食育課に何度も電話で直訴しています。ところが、同課は「我々はマニュアルで指針は既に示している」「個別の事案にはタッチしない」と逃げの一手だったのです。
このため私は、令和3年6月1日を皮切りとして、「ノーマスク学校生活宣言」の方程式を確立し、保育園、認定こども園、学童保育にも宣言を推奨しました。この結果、昨年度末までに、南は沖縄県、北は北海道に至るまで、278例が宣言に成功しています。これらに伴い、ノーマスクサポーターが全国に60名誕生しました。
結局コロナ禍において、令和3年度は個々のノーマスク宣言、令和4年度は教育委員会単位でのマスク自由化声明、実際17団体がこれを行いました。ということは、令和4年度末を以てノーマスク宣言運動は、一旦使命を終えたと見ています。実際、今年度に入ってから、学校現場等において、ノーマスクに係る相談は受けておりません。
ということで令和5年度は、それでも継続する学校以外での企業等のマスク差別との戦いが中心となりそうです。実際に、由布市の私立保育園では、現在に至っても保護者にマスク着用を強要しています。このため、お子様の退園を余儀なくされた保護者も出現したのです。事業者の判断でマスク着用を事実上強制している事例が多々あり、戦いは今後も続きそうな気配です。