街頭演説集

第341回 65歳未満のコロナワクチン追加接種は勧奨ではなかった!

2023.9.27

 昨9月26日は341回目の街頭演説。テーマは、先週に続き新型コロナワクチンの秋
期追加接種についてです。

 今年5月5日の後にあっても、我が国
が独自に新型コロナワクチン接種を政治的に推進。それを受け9月20日からは、生後半
年からの全国民に対し接種を実施するものです。
 5月8日からの春期では、65歳以上または基礎疾患者に限定し、オミクロンBA4・5
2価ワクチンだったのを、秋期では、特例承認されたばかりのオミクロンXBB.1.5 対応1
価ワクチンに変更することになりました。


 想えば、2020年12月2日に予防接種法が全会一致で改正され、第8条では接種勧奨、第9条では接種の努力義務を謳っておりました。それが新設された第附則7条により、6条第3項
と関連して、それら公的関与の適用範囲を政令で定めることとしておりまし
た。ですから、当初は政令交付により、妊婦や子どもは接種の努力義務から外された経緯があるのです。
 そこで、この度の接種では、春期から継続して努力義務の適用除外は勿論のこと、初め
て接種勧奨から外されました。但し、65歳以上または基礎疾患者は除かれます。これは、
新型コロナワクチン接種が2021年2月より開始されて以降、実質的に初めての出来事
です。
 そこで、過去の事例を見てみましょう。2013年度改正施行の予防接種法により、子
宮頸がんワクチンが定期接種化且つ接種勧奨となりました。ところが、死亡事例が2件、
重篤副反応が多発したことがメディア報道され、政府はたまらず、施行僅か2ヶ月半後の
6月14日に勧奨を中止したのです。
 その結果、勧奨復活するまでの2021年度末まで、各市町村は接種券を対象者に送付
しなかったのです。つまり、接種券を送ることそのものが接種勧奨だったのです。実際、
接種券を送付しなかったため、そのような無料接種制度を知らず、接種率は激減しました。

 ところが、この度の勧奨接種適用除外に関しては、改めて去る9月8日付けで厚労省予
防接種課から全国自治体宛に念入りに通知しています。
 それは、公的関与たる接種勧奨と接種努力義務を法の適用外としつつ、原則接種券は送
付するとしていたのです。その上で、自治体の裁量によって、接種券を送付しない選択肢
について触れているのでした。これでは、接種券を送付する自治体が相変わらず主流とな
るのは避けられません。

 実際我が呉市では、通知2日前の9月6日から、市民に向け接種券送付を開始しており
ました。接種券を送付することは接種勧奨とイコールです。呉市は、送付したことについ
て私の質問に対し、「市民には、無料接種できる機会を確実に把握してもらうのが目的だ
った」とし、実に苦しい回答をしました。即ちこれは勧奨そのものなのです。
 ということは、国は接種勧奨の適用除外としつつ、接種券送付を相変わらず推奨してお
り、ダブルスタンダードと言えましょう。つまり、パンデミック収束以降も政治的判断で、
無料接種における臨時期間を今年度末まで1年間延長したので、その矛盾を指摘された場
合に、言い逃れる手段として、勧奨中止を主張するものと推察します。しかも、このこと
を記者会見等で発表すれば、接種率が更に激減するため、触れないでおこうとの魂胆なの
です。
 またこの通知は、改正政令を受けての事務連絡です。その根拠は、本来2021年12
月2日改正12月9日施行の予防接種法における附則第7条第4項で、しかも努力義務の
適用除外しかできないはずでした。
 ところがこの度は、昨年12月9日改正施行の附則第14条第1項となっていたのです。
予防接種デジタル化を目指す改正予防接種法の中に、附則第7条を削除して、こっそり第
14条を盛り込んでいたことが判明しました。

 因みにその条項は、第8条の接種勧奨と第9条の努力義務の適用除外を可能とし、新設
した「第9条の2」において位置付けるというものです。

 一方、新型コロナワクチン接種を根拠付ける、2021年12月2日の改正予防接種法
において、第30条に、本接種が地方自治法第2条第9項第1号に規程する法定受託事務
と位置付けています。
 これは2000年の地方分権一括法施行時に、国の事務を地方自治体に委託するという
機関委任事務を廃する代替手段として、位置付けられたものです。つまり、国の事務を市
区町村が成り代わって行いつつも、その手段については、自治体に裁量権が付与されます。

 といいつつ、実際の新型コロナワクチン接種は、接種事業主体である市区町村に有無を
言わさないシステムになっているのです。

 接種予算を市区町村長が編成しなかったと仮定しますと、都道府県から指導が入ります。
それを国と地方は対等だとする地方分権一括法の趣旨を基に、予算化を拒否すると、県を
通じて国から配分される、新型コロナ対応地方創生臨時交付金が交付されなくなるでしょ
う。これは、コロナ対策であれば地方自治体が自由に使えるお金で、全額国庫負担なので
す。つまり、兵糧攻めされます。

 それだけではなく、その市区町村に代わって都道府県が接種事業を行うことになります。
つまり、絶対接種を拒否できなくしているのであって、機関委任事務に極めて近いのです。
但し、泉大津市の南出賢一市長の様に、努力義務であっても接種券を送付しなかったり、
接種券に問診票と合わせて添付される説明書に、多くの副反応を記載した上で、「あなた
の判断に任せます」と明示する、精一杯の抵抗を示すことが、法定受託事務としての限界
なのです。

 しかも、都道府県による代理接種事業が展開された暁には、市区町村長へのリコール運
動が市民から起こされ、失職に追い込まれることは必定で、そこまで覚悟を決め、信念を
貫く首長は皆無であり、今後も現れないでしょう。

【参考】
(新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の勧奨及び当該予防接種を受ける努力義務に
関する規定の適用除外)
第二条改正法附則第十四条第一項の規定により適用する改正法第五条の規定による改正
後の予防接種法(昭和二十三年法律第六十八
号。以下「新予防接種法」という。)第八条第一項及び第九条第一項の規定は、五歳以上
六十五歳未満の者であって、改正法附則第
二条第一項に規定する新型コロナウイルス感染症に係る予防接種を既に二回受けたもの
(心臓、肝臓、腎臓又は呼吸器に慢性の機能
の障害を有する者その他の厚生労働省令で定める者を除く。)に対しては、適用しない。
2 改正法附則第十四条第一項の規定により適用する新予防接種法第八条第二項及び第九
条第二項の規定は、前項に規定する者の保護
者に対しては、適用しない。

第341回街頭演説 ワクチン勧奨適用除外にも関わらず接種券送付の矛盾!(2023.9.26)

第341回街頭演説 ワクチン勧奨適用除外にも関わらず接種券送付の矛盾! 2023.9.26
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