まちづくり計画策定は、地域住民代表等の手作りで
Facebook 2019.1.25
まちづくり計画とは、地方公共団体が行う行政サービスを、地域の特色や個性を活かし、新しい公共として、地域住民が行政に成り代わって行う際の計画のことです。全国どこでも、人口減少や高齢化の危機に直面し、税収減にも関わらず、以前より増して行政サービスが求められている現状を打破するために、新たに展開。呉市では平成20年度より地域協働プログラムとしてスタートしました。
その受け皿として、21年度から22年度にかけ、市内全28地区でまちづくり委員会を発足させ、各地区毎にまちづくり計画を策定するよう政策誘導したのです。そして、計画に則った施策を遂行する際の財源となるのが、ゆめづくり地域交付金です。これは毎年度各地区に対し基礎割50万円に加え、人口割として50~400万円が交付されます。但し余剰金が出た場合は、呉市に返還を義務付けられていますが、かつて返還した地区は皆無です。
さて、私が会長を務める第四地区まちづくり委員会における年度毎の交付額は200万円です。同地区ではまちづくり計画を平成21年度末に策定し、22年度から31年度で丁度10年が経つ訳です。呉市では、まちづくり計画を概ね10年で更新する方向性を打ち出しており、今年度予算ではまちづくり計画策定費として、各地区最高25万円の10地区分、250万円が計上されています。そこで我が第四地区は翌元年度中に計画を策定し、2年度から11年度までを第2期10ヶ年計画として位置付けることにしています。と申しますのも、新たに計画を策定しなければ、理論上はゆめづくり地域交付金の交付を受けられないことになりかねないからです。
ところで既存計画を見ますと、敬老会やふれあいいきいきサロン、防犯パトロール大会、地域に根ざした健康づくり運動など、まちづくり委員会主催ではない事業が目立ちます。当然これら事業を実施するに当たっては、ゆめづくり地域交付金は一銭も使われていません。或いは第四地区を構成する各自治会単位での、公園や河川清掃なども計画に盛り込まれていました。
つまり、ゆめづくり交付金を執行する根拠となるのがまちづくり計画と位置付けながらも、実際は同交付金を使わない、或いは別の市補助金を使う事業も混在しているのです。これは、第四地区に限ったことではなく、呉市全体に言えることだと思います。この背景には、地区自治会連合会や地区社会福祉協議会、地区民生児童委員連絡協議会等、公共的団体が縦割行政のひもつき補助金で活動しており、人材不足もあって、ほぼ同じメンバーがそれらの役員に就任しているからにほかなりません。
具体的には我が第四地区を例にとりますと、自治連会長は同時にまちづくり委員会、地区社会福祉協議会の会長であり、自治連副会長は交通安全推進協議会、青少年補導員連絡協議会の会長でもあり、これら組織の会計は全て自治連会計が兼務しているのです。それだけ役員の負担が大きいと言えましょう。しかも、事務局は会長が請け負っているため尚更です。
結局第四地区では、既存計画通りテーマに沿った分類毎に計画を計上するものの、それぞれの事業に財源別に4分類することにしました。具体的には、
- 主催者共催事業で、財源を殆どゆめづくり地域交付金によりもの
- 他の地区内公共的団体の主催ではあるが、そこにゆめづくり地域交付金をまちづくり委員会負担金として支出
- 地区内他の公共的団体の主催であり、ゆめづくり交付金を一切使っていない
- 地区内の各自治会や老人クラブ、女性会等単位組織における自主的活動
の4分類です。
例えば、①の本来のまちづくり計画に堂々の掲載すべき事業としては、盆踊り大会、防災教室、まちづくり研修、まちづくり情報紙製作が該当します。敬老会は地区社会福祉協議会の主催事業ですが、財源不足のため、まちづくり委員会が負担金を支出、即ちゆめづくり地域交付金を活用しているため、上記②となります。防犯パトロール大会は地区自治連の主催であって、ゆめづくり地域交付金を活用しており、同様です。
一方、支所管内であり、まちづくりセンターが設置されている地区においては、それらの書類作成や会計事務は、全て同センター職員、即ち市職員が行っています。ということは、これらは見せかけの地域協働とも言え、人材が育たないばかりか、まちづくりセンターがない中央地区と比べ大きな不公平が生じています。
加えて、まちづくりセンターがある所は、地区内の公共的団体が行う会議やイベントにおいて、会場費が全額免除されるの対し、中央地区では自前の自治会館等を使用しており、その都度会場費がかかるという不公平もあります。
そればかりではありません。合併8町においては、ゆめづくり交付金に加え、合併町地域まちづくり振興補助金が一律300万円交付されているのです。即ちゆめづくり地域交付金と合わせれば、中央地区より人口が大いに少ないにも関わらず交付額が400万円と、逆転矛盾が生じているのです。当然これらは、呉市ホームページ等では一切広報しておりません。それが市民に知られたら困るのがその理由です。これらは平成28年度の外部監査でも指摘されており、早急な抜本的改善が望まれます。
いずれに致しましても、今年度と来年度にかけての各地区まちづくり委員会や協議会におけるまちづくり計画の策定は待ったなしです。その際自分達が手作りで汗を流して原案から策定することが長い目で見れば肝要なのです。呉市はこの機会に、計画策定において直接携わるのではなく、アドバイス程度に抑制すべきと考えます。