街頭演説集

第223回 老人集会所指定管理の改善策

赤字を他団体が補填!老人集会所指定管理の根幹が崩壊!

Facebook 2020.2.20

 去る2月12日は223回目の街頭演説。テーマは老人集会所指定管理の改善策についてです。

 昨年9月定例会での、私の一般質問における老人集会所指定管理に係る指摘を受けつつも、当局は同年12月に老人集会所指定管理議案を提出しました。これは老人集会所36施設と老人福祉センター2施設です。期間は令和2年度から6年度までの5年間で、市内各地区毎にある任意団体たる地区社会福祉協議会を非公募選定するものです。
 呉市議会民生委員会に付託された審議で私は、これら施設が一律年間7万6千円弱の指定管理料となっていることで、稼働率の違いから赤字が発生している団体があるのではないかと追求しました。その結果、平成30年度で16施設あることが判明しました。
 それらは、同地区内にある、公共的地縁団体、即ち自治会や老人クラブから補填していたのです。特に老人クラブは県や呉市から補助金が支出されており、結果的に税金が目的外に使われていたことになります。
 しかも指定管理というのは、行政に成り代わって維持管理を受託するものですから、赤字であれば、受け手がないのが道理です。例えばグリーンピアせとうちでは、赤字が発生しないため、呉市が支払う指定管理料はゼロですが、野呂高原ロッジでは赤字補填分として年間3千万円ほど指定管理料が発生しているのです。
 赤字分を施設所有者たる行政が補填するのが指定管理の意義ですので、他団体が赤字を補填しているのでは、指定管理制度そのものの根幹が崩れてしまいます。それを承知でこれまで呉市が、一律の指定管理料を支払って来たのです。
 何故こんなことがこれまでまかり通って来たのかと申しますと、その会計処理を指定管理者ではなく、市民センター職員が代行して来たため、各地区社協はその言いなりになって来たのではないかと推察しています。実際各団体から提出される決算と今後5年間の予算見通しの書式が完全に同一となっており、それは職員が作成しているからに他なりません。いわゆる自作自演なのです。
 では、議会がこれまでこの点を見抜けなかったのは何故かと言いますと、議案提出の際、細かい決算、予算が資料に含まれて来なかったからです。それを前回の大和ミュージアム指定管理議案の際に委員会が紛糾したことから、それ以降、行政が詳細書類を添付するようになりました。
 但し、老人集会所は同類が多々あり、地縁団体における非公募なので当局はこれまで通りの簡易資料で済ませようとしていました。それを私が、「それでは他の指定管理議案と整合性が取れない」と指摘し、その資料を提出させたのです。
 すると、他団体からの補助金は「その他の収入」の「補助金」の項目に記載されていたことで、それが初めて読み取れたのでした。
 またある集会所では、30年度決算では「補助金」になっていたのが、令和2年度からの予算では「雑収入」に置き換えられました。これは他団体からの補助金ではなく、内部留保での補填だったからです。5年前の表記では他団体補助金と同じ項目にした予算だったため、それとの整合性を図るため決算では補助金にし、予算では雑収入に項目替えをしたのです。これも全て市当局がそのように変更を団体に依頼したからに他なりません。
 中央地域9地区では市民センターがないため、住民自ら会計処理をしており、住民提出と市が議会に提出しようとする様式とに違いがあったためです。
 そもそも内部留保がある団体、ない団体というのは、そのまま黒字、赤字ということなのです。指定管理でこの様な開きが出るのは、指定管理料を一律にしている弊害と言えましょう。
 当局は損耗料、即ち「光熱水費使用料」という項目を立て、使用料規程を実情に応じて設定すればよいとの強弁が過去ありました。それでは使用料の差違が生じて利用者間で不公平が出ますし、赤字を出すまいと使用料を高額にすれば、稼働率の低下を招くのは必定です。これでは条例の趣旨にそぐわないことになります。
 そもそも、老人集会所等条例や老人福祉センター条例では、使用料規程がありませんので、それを徴収するというのは、条例違反と言われても仕方がない訳です。それを当局は、「利用料」ではなく、「光熱水費使用料」であると詭弁を使って来たのです。
 税務署によると、光熱水費使用料も利用料と変わりなく、収益事業たる「席貸業」に該当するということです。いわんや、指定管理そのものが収益事業たる「請負業」に該当しますので、法人税の申告義務が生じているのです。当局はこれを黙認して来ました。税の申告を各地区社協に指導しようものなら、地域協働そのものが崩壊する危険性があるからです。

 そこで私は、「実費弁償届」を税務署に提出することを昨年12月の委員会で提案しました。これは規約や損益計算書、協定書を提出することで、収益が発生しないことを税務署が了解し、向こう5年間の納税申告を留保する手法です。そうすれば5年間に一度だけ、税務署に足を運べば事足り、更に自動的に法人県市民税も賦課されません。本来収支トントンであれば、所得割しかない法人税は非課税となりますが、法人県民税均等割2万円、広島県森づくり県民税千円、法人市民税均等割5万円と、合計で年間7万千円の納税義務が生じます。それを回避するための現実的な手段であると考えています。
 しかも丁度指定管理期間が5年間なので、この年度末に各地区社協がその手続きを踏めば好都合となる訳です。私は呉市に対し、全体的にこの指導を行い、この度の新指定管理期間の著につく時期に、きちっと整理するべきと訴えました。
 私が会長を務める地区社協においては、呉市の対応を待たずに率先的に届を提出することに致します。
 また、38施設における各地区社協での内容が同じであれば、既存の地区社会福祉協議会連絡協議会として、一括指定管理することが考えられます。これなら、税務署に各地区社協が足を運ぶことなく、税務署も実費弁償の適否審査が楽になります。これは5年後の新たな指定管理期間を踏まえた、課題の一つになります。このことも私は、当局に改善策としての検討を促しました。

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